2004/03/20

幸せの黄色いホーン 40話 ケーブルのこと



使用しているスピーカーケーブル(ケーブルというには細すぎるのでコードということになると思います)は、太目の家庭用電気コードであるVFF2.0mmSQを使用しています。メインシステムでは3ウェイのユニット毎に配線していますのでトータルでは6.0mmSQということになります。長さはスピーカーユニット端子からアンプまで3m程度で足りるはずですが、ラックの移動等の使いやすさを考慮して4mほどの長さになっています。

また、メインシステムに使用しているSH-D1000に入力するための光ケーブルはSONY製の普及品、EP1500と222ESJに入力するためのピン/ピンケーブルは、SH-D1000になぜか2組も付属してきたものを使用しています。電子ピアノのシステムに使用しているのは、サウンドハウスで入手したHOSA社の安価なケーブル類です。

その昔、秋葉原で入手したかなり太いスピーカーケーブルや、モンスターケーブル社のスピーカーケーブルを奮発したことがあったのですが、音が変ったような、変らないような、という印象しか得られませんでした。VFF2.0mmSQとはそれ以来の付き合いです。ところでVFF2.0mmSQという規格は共通していてもメーカーによって一本一本の芯線の太さや数が違うようです。聴き比べをするほど勤勉ではないため安い方を購入することにしています。

音質のちがいではありませんが、光ケーブルで不思議な経験をしたことがあります。SH-D1000に現在使用している光ケーブルはL字型のプラグがついています。これをストレート型のプラグを備えた光ケーブルに交換すると、時々プチッというノイズを伴って音が途切れる現象がSH-D1000に出るのです。ストレート型プラグの方が優れているように思えるのですが、L字型だとこのような現象が全く生じません。どうしてでしょう?

インシュレーターの類も使用していません。レコードを聴いていたころは、プレーヤーのインシュレーターをあれこれ試しました。これは純粋にハウリングマージンを稼ぐためであり音質の改善というような意識は持っていませんでした。




そういうわけでケーブルやインシュレーター類には興味を持てないままでいます。業務用ユニットを使用したスピーカーを自作し、測定やイコライジング等の調整を行っているため、それだけで自分の意向(失敗も含めて)をオーディオ装置に反映することができるからかもしれません。

逆に、そういうことをしないのであれば、機材、ケーブル、ラック、インシュレーター類の交換が関心事になるのだな、というのが寺島靖国氏の「オーディオ快楽地獄めぐりガイド」という本を読んでの感想です。装置にかかわっているという満足感を彼はそういうふうにして獲得したということなのでしょう。

高能率型の大型スピーカーユニットや安価な業務用機材ばかりに関心を持つようになり、オーディオ雑誌の最近の評論家や編集者が考えているようなオーディオとは遠く離れてしまったようです。




2004/03/19

幸せの黄色いホーン 39話 初期調整



約9年間に渡り徐々に変化したメインシステムの満足度に点数をつけるとこんな具合になると思います。ちなみに100点が満足度100%になります。

1.2155HをA501により駆動(04話)  涙の30点
2.アンプを222ESJに変更(07話)      60点
3.さらにYSTを加えて低音を増強(09話)    80点
4.2360Aとマルチアンプ駆動の導入(24話)  120点
5.測定とEQ調整(25話と26話)        140点
6.低域用アンプをEP1500に変更(28話)   150点
7.ウーハ-部をローライダー18へ変更(38話)  180点

これ、結構真面目に採点したつもりです。やはり大型ホーンの導入、マルチアンプ駆動、18インチウーハ-の導入が大きかったです。また、測定とEQ調整は単なる調整手段というよりは、周波数レスポンスと実際の聴こえ方の関係を勉強する良い機会を提供してくれました。また、EQにより低域特性を補正できることを知ったためバスレフ箱の設計に対する考え方が変わりました。

本格的な調整はエージングが落ち着いた後ですが、とりあえず初期調整を行いました。現時点ではクロスオーバー周波数は高めの500Hz(18dB/oct)になっています。これはウーハーのエージングを進めるためです。とりあえずチャンネルデバイダーの設定はそのままにしておいて位相とEQの調整を行いました。

ところでウーハーとミッドのホーンとの位相調整は振動板の位置を合わせればよいというような単純なアプローチではうまくいかないようです。ホーンの種類によって聴感上の音源の位置(音像の位置ではありません)に差があるからです。

オーディオ彷徨の中で岩崎千明氏は以下のように書いておられます。
「今度は、ラジアルホーン(2350や2355)をここでやめ、金色のスラントプレートをもった例のHL89に替えてみた。この場合、音色はかなり変わり、まず中域がぐっとおとなしくなり、かなり控え目になってしまった。そのかわり、中高音が少々派手になってきた。ただここで注目したいのは、音の広がりが非常によくなり、首を左右に振ってみて、さらに左右各1mぐらいずつ、リスニングポジションを変えてもほとんど音像に変化はみられない。ただ、聴き込んでいくと、どうも音像に不自然さが感じられてきた。」

「これは、どうも中高音の音が、低音にくらべてイメージ音源として比較的前にきてしまうように聴こえるのが原因らしい。つまり中高音の音像が、4560の前面にできるのだ。にもかかわらず、低音のほうは、4560の中から後ろにかけて音源があるように聴こえる。この辺の違いが、どうも不自然さをかもしているようだ。フルバンドなどでは、この不自然さがそれほど感じられないのだが、単一楽器でのソロを聴くとそれが目立ってしまう。たとえば、バリトンサックスやテナーサックスなどを聴くと、演奏者の音像の前後の位置、奥行きなどが不確かになる。これは前の2350や2355では、ほとんど感じられなかった。」




2350や2355のようなラジアルホーンやマルチセルラホーン等では聴感上の音源がホーンの奥に位置します。このため、コンプレッションドライバーの位置をウーハーの振動板の位置にだいたい揃えれば聴感上の音源が一致し、また、12dB/octであれば逆相接続にして理屈上の調整はオシマイということになります。

ところが、ホーンレンズを装着したものでは聴感上の音源がホーンレンズの位置にあるため、ホーンレンズとウーハーの振動板の位置が揃うように配置すると、ウーハーのディレイが必要になります。逆に、ホーンレンズではなくドライバーの位置をウーハーの振動板に揃えてしまうと聴感上の音源の位置が揃わず、岩崎千明氏が指摘しているような問題が生じます。この場合ディレイをかけても問題は解決しません。

2360Aの聴感上の音源はベル部の奥にあるスリットの位置近傍にありホーンレンズ型と同じような問題があります。このためスリットとウーハーの振動板がだいたい揃うように2360Aを設置し、ウーハーのディレイはこのスリットからドライバーの振動板の位置までの距離である60cmに設定しています。

測定を行うと、定在波の影響と思われる80Hz付近の谷と2402H-05のコンデンサ容量を減らしたためと思われる高域端の落ち込みがありました。また、2360Aの特性である中高域のカマボコ型の盛り上がりもあります。これに応じて最低域のブースト、80Hzのブースト、カマボコ型を和らげる減衰、高域端のブーストを行い、それから250Hzから500Hzあたりを調整して音の豊かさ加減しました。2402H-05のコンデンサ容量は再調整が必要のようです。

その昔、大抵のアンプで音量に応じたラウドネスコントロールが可能でした。このSH-D1000ではそういう気楽なコントロールができず不便です。音量を絞っても低域の迫力が失われるということはないのですが、3つのメモリーには低域側3素子のブースト量を変えた3パターンを設定し時々聴き比べています。この手のデジタルチャンネルデバイダにもMIDIコントローラのように5個ぐらいのアサイナブルノブがあるといいな、なんて思っています。



2004/03/18

幸せの黄色いホーン 38話 新しいウーハー部の音出し



2004年12月27日の夕方、やっと音出しになりました。ローライダー18のユニットを購入したのは8月半ばでしたから、例によって5ヶ月ぐらいモタモタしていたことになります。その間何をしていたかというとサボっていたわけで、箱の製作時間はのべ3日程度のものでした。楽しみながら作業を進めることができたものの、箱が重くて一人で作るのは限界という感じです。




設定は以下のようなものでした。ローライダー18と2446Hとのクロスオーバーは500Hz(18dB/oct)。2446Hと並列に接続されている2402H-05のフィルムコンデンサの容量は2.47μF。ロー、ミッド、ハイは全てアブソリュートでの正相接続。ロー側のディレイは60cm、EQ等の設定はしていません。チャンネルデバイダはSH-D1000+EQCDソフト、ロー側のアンプがEP1500、ハイ側のアンプが222ESJです。もはや意味がないように思えたのでサブウーハーのYSTは接続していません。




音出しをしてみると低音が硬く、ドンというような詰まった音でした。最低域のノビもなく分解能が低いです。これはエージング不足が原因でした。外出するたびにウーハー部だけを駆動して一週間ほど無責任鳴らし込み?を行うと、徐々に低音の分解能が向上し硬さがとれてきました。最低域のノビや躍動感も出てきたので一安心です。測定してみたところ最低域まで十分に再生できていました。

2155Hのウーハー部と比べると、低域の再生能力は大したものだと思いました。2155Hのウーハー部は最低域の極端なブーストを行い、さらに最低域の迫力を補充するためにYSTを約50Hz以下の領域で動作させていました。しかし、ローライダー18は、EQがフラットな設定にもかかわらず十分な満足感が得られます。もちろん、エージングが落ち着いてきたら最低域のイコライジングを行う予定ですが、2155Hのウーハー部に施していたような極端な設定は不必要ではないかと思っています。

2360A+2446Hとローライダー18の相性は悪くないと思いました。46cmウーハーの中低域の再生能力について若干不安がありましたが、エージングの進行に伴い素直で自然な感じになり、こうした不安は解消されました。ローライダー18を裸で鳴らした時のカンが当たっていたようです。このローライダー18のキャラクターは、1808-8SPSと同様に重苦しくなく、その一方、JBLのような細身になりがちな傾向でもありません。素直で癖がないため2360A+2446Hのキャラクターとぶつからないのだと思います。

箱鳴りもありませんでした。箱を24mm厚のシナ合板で製作したこと、24mm×75mm×520mmの補強材を天板と両側板に各2本づつ計6本、24mm×120mm×520mmの補強材を底板に2本配置し、これら計8本の補強材によりバッフル板と背板を連結するように接着したのが効いているようです。

今回、2402H-05のコンデンサ容量を減らしました。これは正解でした。エージングを進めるため大きめの容量(3.47μF)にしていたのですが、これはやはり大きすぎたようです。高域のしなやかさが増し、繊細な感じが出るようになりました。

JBLエベレストDD55000を低域側にシフトしたような構成の今回のシステムは、そういう意味においてオリジナリティがありませんが、長い付き合いになるような気がします。それに、これ以上の大きさの箱を作ろうという気には当分なれないでしょう。エージングにより1808-8SPSのように改善されていくことが期待できそうなので先が楽しみです。






2004/03/17

幸せの黄色いホーン 37話 箱を作ろう



ローライダー18を入手したころは、今の箱を改造して流用するということを考えていました。奥行きを10数センチ延長すればそこそこの内容積が稼げるからです。なんとなくローライダー18に対して半信半疑だったのでしょう、手軽な改造でごまかしてしまおうと思っていたのです。

ある夜、ユニットを包装箱から出し、フランジの取付けボルト穴の周囲にはみ出している接着剤を電動ドリルに装着した円筒型の砥石を用いて削り落としていました。作業が終わると、裸で鳴らしてみよう、と思い立ちました。電子ピアノ用のシステムにつないで聴いてみると、低音も高音も出ていませんが、コーン紙の上に音楽がふんわり浮かび上がります。サブウーハー用のユニットなので、力まかせの強い音を想像していたのですが、そういう音ではないです。素直で自然な感じ。これは真面目にやる価値がありそうだと思いました。




こうした訳で計画変更、ちゃんと箱を作り直すことにしました。今までは21mm厚のシナ合板ばかり使っていたのですが、今回は24mm厚を使用することにしました。板材の値段の価格差が小さいことと、ローライダー18のパンフレットには20mmから30mm厚の高品質の合板で作れと記載されていたからです。

同パンフレットには実効容積で142L(5キュービックフィート)、191L(6.75キュービックフィート)、255L(9キュービックフィート)の小中大3種のバスレフ推薦箱について丁寧な解説がなされていました。箱の計算ソフトを使って計算してみると220L前後が適しているようです。

JBLの2242Hのパンフレットには、225L(8キュービックフィート)バスレフ箱の特性グラフが、また、2241Hのパンフレットには、280L(10キュービックフィート)バスレフ箱の特性グラフが掲載されています。いずれもダクトチューニングは30Hzです。ローライダー18の255L(9キュービックフィート)バスレフ箱のダクトチューニングも30Hzです。このクラスのユニットは、この程度の実効容積を想定して開発されていることが分かります。

CADと箱の設計ソフトを使用して設計を進めてゆきました。箱が大きいので設計では一人で作業可能な作りやすさを考慮しました。今回は、最初に天地板や側板にそれぞれ補強材を接着し、それらT字型の端面により、裏返しに寝かせたバッフル板の上に天地板や側板を自立させるようにして接着しました。

内寸容積が273L(内寸772W×681H×520Dmm、外寸820×750×568mm)です。補強材、ダクト、ユニット、少量の吸音材により減少する容積を計算すると約30L。したがって実効容積は243Lになりました。ダクトチューニングは約30Hz、ダクト開口は120×120mm、ダクト長224mmが2本です。25Hzまで再生できそうです。

最低域はEQで調整できるためダクトの設定は欲張っていません。また、ダクトのもやっとした音が好きではないためダクト長を短め、そして開口面積も小さめになっています。なお、今回ははかまを作らず上げ底にし、底板の振動が直接床に伝わらないようにしました。

メインシステムから退役した2155Hをピアノモニターにするための小型のバスレフ箱も同時に製作しました。4つの箱で21mm厚サブロク板2枚と24mm厚サブロク板を4枚使用するという今までで最大規模のDIYです。渋谷の東急ハンズでカットしてもらいました。また、今回はスピーカーターミナルにスピコンコネクタ(ノイトリックのNL4MPR)を使ってみました。





2004/03/16

幸せの黄色いホーン 36話 LOW RIDER 18



46cmユニットはJBLではなく、PEAVEY社のローライダー18(1808-8HPS)を選びました。一本約2万円でした。残念ながらJBLの46cmウーハーである2241Hや2242Hには手が出ませんでした。これが最新のSRXシリーズに使用されている2268H(単品で販売されていません)なら話が変わってくると思うのですが。

このローライダー18は、アルミダイキャスト製フレーム、4インチ銅リボンボイスコイル、ケブラー繊維入りのコーン紙、重さ10kgと立派なものです。フェライト磁石の大きさもJBLの2242Hとほぼ同等です。また、重さは1808-8SPSよりも1.8kgほど重くなっています。

このユニットは比較的小容積のバスレフ箱と組み合わせるサブウーハー用ユニットです。ブラックウィドウBWXシリーズの上位機種であり、振動系や磁気回路が強化されています。銅ボイスコイルと重めの実効質量から強力な大口径ウーハーの音が期待できそうです。

一方、こういうサブウーハー用のユニットを通常のウーハーとして用いることに不安があります。2360A+2446Hとうまくつながるのかという心配です。2155Hのウーハー部は最低域が伸びていませんが、その代わりにこの「つながり」という点では成功していたように思えるからです。結局、このローライダー18を使用したサブウーハーシステム(QW-118/QW-218)のパンフレットには1.5kHzまで±3dB以内の平坦なレスポンスがあると記載されていたため、賭けてみることにしました。

ローライダーの包装箱は8角柱形状の変わった形でした。今度はハーレーダビッドソンの絵(同名のオートバイの機種があります)でも描いてあるのかな、と思ったのですが、その代わりに「STOP WIMPY(弱虫の)BASS」と大書きされていました。ユーモアのあるメーカーですよね。

フレームが黒色塗装されており仕上げもそんなに悪くないです。1808-8SPSよりも明らかに手がかかっています。このローライダーもエッジがウレタンではなかったのでホッとしました。真っ黒なコーン紙にはコルゲーションがあり独特の面構えです。1808-8SPSと同様、これにもガスケットや取付けネジが付属してきませんでしたので5mm径のネジとT型ナットを購入しました。鬼目ナットは少し締め上げただけで板の内部へ沈み込んでいくため使いません。最初に製作した箱に鬼目を使用し、みごとに失敗しました。







2004/03/15

幸せの黄色いホーン 35話 棚上げになっていた計画



2155Hの代わる新しいウーハー部として、2226H×2を水平方向に横並びにした38cmダブルウーハーを考えていました。理由は簡単、カッコいいからです。ところが、4675(11話 終着兵器(2)に画像が掲載されています)のウーハー部である4648Aのパンフレットに掲載されているレスポンスグラフを見てから考えてしまいました。このグラフによると、水平方向の指向性に比べて垂直方向の指向性が乱れています。




4648Aはウーハーが縦並びですから、この250Hz以上での垂直方向の指向性の乱れはウーハー間の干渉によるものなのでしょう。ダブルウーハーを水平方向に並べれば、当然、水平方向の指向性が悪化してしまいます。

そういえば4350のクロスオーバー周波数は250Hzです。これは、ダブルウーハーの相互干渉による音の濁りを回避するためかもしれません。また、4435では箱を2室に分け、片側のウーハーを100Hzでカットしています。これも同じ目的だと思います。

一方、上記の4648Aの推薦クロスオーバー周波数は500Hz(12dB/oct)から800Hz(18dB/oct)になっています。音の混濁感を問題にしなければ、水平方向の指向性は悪くありませんし、垂直方向の指向性はさほど重視されないからでしょう。また、4350等のスタジオモニター用の設計とPA用の設計は違う、ということなのかもしれません。

解決方法としてクロスを250Hz程度まで下げればよいのですが、2360A+2446Hではそんなに下まで使うことができません。4350のようにミッドローを加えればこの問題は解決しますが、それでは2360Aのような大型ホーンを使う意味が薄れてくるように思えます。2つのウーハーを縦に並べると箱の高さが高くなりすぎますし、高さを詰めると下側のウーハーと床との距離がとれません。

高校生のころ10F-60(コーラル製の25cmフルレンジ)を縦並びにしたダブルウーハーシステムを作りました。このシステムの箱の内部は55リットルと90リットルの2室に分割されていました。そして、容積による影響がどのようなものであるのかを知るために、一つのユニットだけ駆動するという実験をしてみたことがあります。結果は、容積の影響よりもダブルウーハーとシングルウーハーの差の方が顕著でした。ダブルだと迫力が増すのですが混濁した感じを受け、シングルの方が鮮明な音だったのです。ダブルの方が良いに決まっていると思い込んでいたので、この結果にはショックを受けました。

こうした経験のほかに、業務用の高能率型ユニットを使用して家庭用のシステムを作る場合、業務用システムとは異なったアプローチを考える必要があると思っています。また、大音量ではなく中音量で聴く程度ですから、大音量再生に有利なダブルウーハーシステムのメリットを活かせないような気がします。

こうした理由から38cmダブルウーハーへの興味が冷めてしまいました。その後、46cmのシングルウーハー部を考え始めたのですが、1808-8SPSの音を聴くまでは46cmウーハーの音に対して自信が持てず、結局、新しいウーハー部の計画は棚上げになっていました。





2004/03/14

幸せの黄色いホーン 34話 ピアノモニター



1808-8SPSを一ヶ月ほど鳴らしこんでみると、だんだん低音が変わってきました。低音感というのではなく低音がちゃんと出ているという感じがするのです。もしかしたらと思いMG10/2のイコライザをフラットに戻して測定してみると、31.5Hzから明確にレスポンスがあり40Hzからは十分に再生できています。300Hzぐらいから最低域に向かって緩やかに下降してゆくという特性です。

この1808-8SPSの音は、2155Hのウーハー部の音とかなり違うような気がします。低音の質感が高く非常に明瞭です。低い方が良く出るというような単純な話ではなく、100Hz前後の低音の分解能に差があるような気がします。コーン紙の前面に存在する空気を極めて正確に駆動しているような、そんな感じです。もしかすると、38cmウーハーと46cmウーハーの本質的な違いかもしれません。

それから電子ピアノの再生だけなら、LS-11EXを鳴らさずに1808-8SPSだけを使用しても結構満足できます。46cmウーハーですが3kHzまで十分に再生できるからです。岩崎千明氏はオーディオ彷徨の中で、1m四方の平面バッフルに取り付けたJBLのD130について以下のように述べられております。「そのD130が一番力を発揮したのはピアノであった。多分、今日の標準では高音がずい分足りなかったはずなのに、ピアノのタッチのきわ立った音、フルコンサートの床を圧するような低弦の響き。それは、今までのスピーカーには到底なかったパワフルなエネルギーを、直接体に感じさせた。」

下のグラフ図はMG10/2の取扱説明書に掲載されていたものです。これによると3kHzまで再生できると、ピアノの基音がほぼカバーされていることが分かります。




話が戻ってしまいますが、キーボードスタンドを作る際に、46cmウーハーを組み込むのではなく、LS-11EXに代わる新しいピアノ用のモニタースピーカーを購入しようと考えていました。LS-11EXの重たい感じの低音が電子ピアノの音色とうまく合いません。歯切れが悪いと演奏しにくいです。

ピアノモニターとして検討していたのはPEAVEYのPR12です。サウンドハウスで一本2万円ぐらい。30cmウーハーのボイスコイル径は6cm、ドライバーのダイアフラム径は3.5cmで、重さ15kgという立派なものです。デザインのまとまりが良いので気に入っていました。しかし、いつもの通り?土壇場で安さにひかれ46cmユニットを購入してしまった訳です。

この冗談半分の1808-8SPSですが、本当は46cmウーハーに興味を持っていたので実験的な意味がありました。もし、うまくいくようならメインシステムにも46cmを導入することを考えていたからです。




PR12




2004/03/13

幸せの黄色いホーン 33話 BLACK WIDOW(3)



とりあえず右側のLS-11EXのコードを外し、1808-8SPSに接続しました。CDを再生しながらパワーアンプ(A501)の入力ボリュームで左側のLS-11EXと1808-8SPSのバランスをとります。すこし、モコついているので、モコつきがなくなるまでミキサー(MG10/2)のハイ(10kHz)を上げてゆきます。

低域は下の方まで伸びていないようですが素晴らしい低音感です。音楽が躍動し、気持ちが高揚してくるエネルギー感があります。それに、ユニット自体の音がそのまま聴こえ、バスレフのダクトから聴こえてくるようなモヤッとした感じがありません。LS-11EXだけの音がいかにつまらない音だったかを思い知らされました。そのLS-11EXも同時に鳴っているのですが、1808-SPSのキャラクターにシステム全体の音が支配されています。

1808-8SPSに耳を近づけてみると、ウーハーとしてはかなり高いところまで出ています。あとで気づいたのですが、このユニットを取り付けたSP118Xというサブウーハーの周波数レスポンスグラフを見てみると3kHzまできちんと出ていました。

背面開放型の問題点は、裏側のパイプ共振や背後の壁からの反射だそうです。しかし、それと判断できる音は出ていません。でも、やるべきことはやっておこうと、とりあえず近所のホームセンターで吸音材になるようなフェルト等を探してみました。どれも重さが足りないようで今いちです。帰りがけに特売されていたトイレットペーパーに目が止まり購入。24ロールほど箱の内側に積み上げたところ、すこしだけクリアになったように思いました。

今度は、1808-8SPSと右側のLS-11EXを並列に接続して聴いてみました。離れて聞くとさすがに定位が変ですが、電子ピアノを演奏するには問題なさそうです。大き目の音量にすると凄い迫力。エネルギーがみなぎる感じで少し恐いぐらいです。

真面目に取り組めば相当な音が出そうです。遊びのつもりだったのに。バッフル板の上下の隙間から裏側の音が回り込みにくくする改造や、専用のアンプの購入など、あれこれ考え始めてしまいました。







2004/03/12

幸せの黄色いホーン 32話 BLACK WIDOW(2)



46cmと背面開放型の組み合わせに興味を持ったのは、ステレオサウンド誌の別冊のビンテージユニット特集を読んだためです。背面開放型の小さな箱と組み合わせたジェンセンのHF18(励磁型46cmフルレンジ)の解説から、これはいいかもしれないと思ったからです。この大昔のHF18の中古参考価格は一本48万円と記載されていました。

長岡鉄男氏はこんな風に背面開放型を解説しておられました。「小口径ユニットを大きな平面バッフルに取付けても低音は出ない。なぜなら空振り現象があるから。46cm以上の大型ユニットなら裸で鳴らしてもある程度低音は出る。空振り現象が少なく、ユニット自体がバッフル板の役目もするから。」だそうです。

1808-8SPSが届くとその箱に大きな蜘蛛が描かれていました。ユニットの磁気回路の裏側にも。コルゲーションがないコーン紙は真っ黒でなかなか精悍。エッジはウレタンではなく布を基材にしたものです。

同包されていたスペックシートには、トラディショナルな構成を備えたユニットであると記載されていましたが、現在の46cmウーハーとしては例外的に実効質量が小さく、わずか106.7gしかありません。JBLの46cmフルレンジユニットのK151とE155が共に125gです。また、サブウーハー用46cmウーハーの実効質量は通常140gから200gぐらいです。

フロントマウント用のガスケットと取付け用ネジは付属していませんでした。それに、フレームはアルミ地肌のままで仕上げもあらいです。しかし、値段が値段ですからこれでいいでしょう。ガスケットを包装箱のボール紙から作ろうか、と思ったのですが面倒なのでやめました。こうしたこともあろうかと取付け用ネジやワッシャ類をちゃんと買っておいたのですぐに取付けることができました。さあ、音出しです。






2004/03/11

幸せの黄色いホーン 31話 BLACK WIDOW(1)



46cmウーハーは業務用サブウーハー用のものがたくさん出回っています。JBLやEVの他に、EMINENCE、SELENIUM、FANE、BEYMA等の様々な46cmウーハーがあります。

今回は、サウンドハウスで取扱っているPEAVEYのスピーカーユニットにしました。PEAVEYのウーハーユニットには、中堅のブラックウィドウ(BWX)シリーズ、廉価版のスコーピオ(ウルトラ)シリーズがあり、そして、プロライダー/ローライダーシリーズが最上位ということになるようです。いずれも安く、値段の開きもありません。

ちなみにブラックウィドウの意味は、北米に生息する黒後家毒蜘蛛のことです。ウーハーユニットにクモやサソリの名前をつけたのは、ピービー社のウーハー開発担当者が女性にふられたからだ、と妻が真面目な顔で言いました。本当?

ブラックウィドウ(BWX)シリーズには、4種類の46cmウーハーがあります。1808-8SPS、1808-4SPS、1808-8CU、1808-8HEです。これらは振動系が異なるだけのようです。アルミダイキャスト製フレーム、4インチボイスコイル、ケブラー繊維入りのコーン紙、重さ8.2kgという点で共通しています。残念ながら購入前にスペックシートを入手できず、このため、前モデルのブラックウィドウ1801-8のスペック(Fsが40.2Hz、Qtsが0.61)を参考にして1808-8SPSを選択しました。46cmなのにサウンドハウスで約2万円でした。

スタンドは、サブロク21mmシナ合板2枚を渋谷の東急ハンズでカットしてもらって作りました。奥行きがとれないので背面開放型(後面開放型)にしました。バッフル板の幅は140cm、高さは52cmです。バッフル板の4辺に取り付けた天板、底板、両側板の奥行き寸法は15cmです。平面バッフルとして考えると幅方向は170cmになりますが、高さ方向はわずか80cm程度しかありません。







2004/03/10

幸せの黄色いホーン 30話 MP9500



KAWAIのMP9500を衝動買いしました。pf70は20年間一度も故障しなかったので、またYAMAHAにしようかと思ったのですが、P250のデザインがpf70とよく似ているので、今度は木製鍵盤でガンバっているKAWAIにしました。

MP9500は素晴らしい弾き応えです。というかpf70が悪すぎました。妻の実家のアップライトピアノと比べるとハンマーの感触に乏しいですが、これで十分だと思います。これ以上の手ごたえがあると、エレピ、シンセ、オルガン音色を選択したときの違和感がかなりなものになるでしょう。最近のデジピではあたりまえですが、3段階のダイナミックサンプリングで音に表情がつけられるのが一番感心した点です。このためMP9500のピアノ音色ばかり弾くようになってしまいました。

チェンバロの音色がMU100Bよりも厳しい感じで印象的です。チェンバロをまじかで聴いたことがないので判断しかねますが、おそらくMP9500の方が本物に近いのではないかと思います。弾く機会がまず持てない楽器のサンプリングは興味津津です。

MIDIコントローラーは扱いやすいです。pf70ではプログラムチェンジしかできなかったのですが、バンクセレクトができるようになったのでパソコンを立ち上げなくてすみます。MU100Bのエフェクト類のエディットはできませんが、いろいろ試しているうちに、エフェクトに依存しないのもいいかもしれないと思うようになりました。

キーボードスタンドはガッチリしたものを自作することにしました。pf70専用のスタンドは今ひとつで、ガンガン弾くとピアノ全体が揺れていました。ところで、キーボードスタンドの足元のスペースは無駄な空間になります。そこで、自作ついでにウーハーを取付けることを思いつきました(よせばいいのに)。音を良くしようという意図はなく遊びです。設計してみると46cmウーハーがなんとか取付けられそうです。







2004/03/09

幸せの黄色いホーン 29話 リコーダー



電子ピアノのほかにギターとリコーダーを演奏します。リコーダーは、ヤマハのYRT-304Bというテナーリコーダーを良く使います。ゆったりした気持ちになれるからだと思います。癒し系。しかし、リコーダーの音としてはテナーよりもソプラノやアルトの方が美しいと思っています。

リコーダーは長い歴史をもち、また、身近な楽器にもかかわらず、その発音の仕組みは完全には解明されていないそうです。ウインドウェイを通った空気の膜がラビュームの外側と内側を交互に流れることで音が生じるそうですが、それにしても誰がどのように吹いてもちゃんと音が出るのですから、たいした楽器だと思っています。トーンホールの塞ぎ方を考えると、単なる共鳴管の動作ではないような気がします。

あたりまえのことですが、リコーダーではピアノやギターのように持続音(サステイン)を得ることができず、また、音の強弱をつけることができません。このため普通の部屋や屋外で吹くとぶっきらぼうな感じになってしまいます。しかし、教会やホールで録音されたリコーダーのCDでは、残響音が効果的に働いて「天使のような」と表現される素晴らしい音色を聴かせてくれます。リコーダーは安価な楽器ですが、部屋代を含むとなると、これは高価な楽器だということになります。

ある夜、リバーブをかけたらいいかもしれないと思いました。それなら、MU100BのA/Dインプットが使えるし、ラジオシャックの騒音計がマイク代わりになるなと。これならすぐに実験できます。

電子ピアノ用のシステムを使いました。騒音計、MU100B、MG10/2、A501、LS-11EXというものです。MG10/2はヤマハの小型ミキサーです。A501を電子ピアノ用のアンプにした際にプリアンプの代わりに購入しました。ヤマハとしては驚くほど安いのですがSNは非常に優秀だと思います。それにブロック図を眺めていると変則的な使い方ができそうです。最初は、マイクスタンドの代わりにカメラの三脚を使いました。ペンタックス67と組み合わせているマンフロットの055Cと410です。しかし、測定するわけではないので机の上にそのまま置いてもいいことに気付き、それ以来、三脚は使わなくなりました。

これはなかなか楽しめました。騒音計のマイクは無指向性なのでハウリングに弱いはずですが、感度をそこそこに設定すれば問題はなさそうです。騒音計とリコーダーの距離をあれこれ変えてみたのですが、部屋のどこで吹いても広いホールのような響きが得られました。

リバーブタイムを長めにして、コーラスも薄くかけ、EQは「コンサート」を選択しています。EQなどで調整してゆけば木製リコーダーのようなふっくらした音が出せるかもしれません。MU100Bのエフェクトは70種あるのでリバーブ系以外もどんどん試してみようと思っています。将来はピックアップを取付けてエレリコ?に変身するかも。



2004/03/08

幸せの黄色いホーン 28話 新しいパワーアンプ(2)



ローカットフィルターとリミッターはOFF。EP1500のスイッチを入れると、即座にファンが回転し始めました。スイッチを入れた直後は低温だから、連続可変型のファンは回転しないと思っていたのに。それに、このファンノイズがうるさいです。

ファンノイズよりも問題なのは、音の方がさっぱりということです。ファンが回転しているとアンプはいつまでも冷たいままです。これでは、本来の音が出ないのでは。低音がヤセた感じでいただけません。

結局、天板を取り外し、ファンの接続を調べてみました。ファンからはリード線が出ているだけで、基板上の端子に小さなソケットで接続されています。しばらく大型の放熱器を眺め、このソケットを引き抜いてしまいました。どうせ限りなくB級に近いだろうし。

ふたたび電源スイッチを入れると正常に動作します。数時間、結構な音量で動作(黄色のシグナルインジケータが点滅する程度、常時点灯はしない状態です)させたのですが、天板がほんのり暖かくなるだけでした。再び天板を開け、放熱器やパワートランジスターに触れてみたのですが、暖かいものの熱いというような温度ではありません。取扱説明書によると、オーバーヒートの保護回路もあるようなので、神経質にならなくても良いように思いました。夏になって問題があれば、リード線を引き出してスイッチでもつけます。

なお、2155Hのウーハー部の能率は101dB/w/m(100Hzから500Hzまでの平均値)ですので、家庭内での大音量時(110dB程度)でもアンプ出力は10W程度ですみます。また、マルチアンプゆえ全帯域で動作していないため、アンプの負担が少ないとも考えられます。その一方、最低域のブーストを行っているため、この点では、アンプの負担は普通かもしれません。

アンプが暖かくなると本来の音が出てきたようです。A501よりも透明感と深みがあり、ノイズ感を感じさせない低音です。ズシンとかドッシーンというようなライブのような音ではなく、モニター的ともいえる正確で演出されていない低音だと思いました。もっとも、この感想は500Hz以下で使用した場合の話なので、全域で使うとどういう音なのかはわかりません。こうして、25年目を迎えたA501は電子ピアノ用として活躍することになりました。




2004/03/07

幸せの黄色いホーン 27話 新しいパワーアンプ(1)



電子ピアノ用のアンプとして使用していた大昔のオンキョーのプリメインアンプがダメになりました。ノイズが増えてヘタクソな演奏がさらにヘタクソに聴こえます。代わりにプリメインを買うのもつまらないので、新しくパワーアンプを購入することにしました。A501と比べてみて、良ければA501を電子ピアノ用に回そうという算段です。

低域用ということもあり、安価な業務用アンプの中から選ぶことにしました。AMERICAN AUDIOのV-plusシリーズ、PEAVEY、PHONICSのXPシリーズ、BEHRINGER、YAMAHA等を検討しました。

お世辞にもフロントパネルのデザインが良いとは言えないものの、ベーリンガーのEUROPOWER EP1500にしました。カタログにAB級動作と表示されていたのと、ほどほどの値段だったからです。

8Ω負荷で260W+260W。東芝/フェアチャイルド製のパワートランジスターを使用し、連続可変型ファンが1基搭載されているとのことです。サウンドハウスで4万円ぐらい。注文した翌日(12月17日)に届きました。

重量は付属の取扱説明書(バージョン1.0)によると18.2kgです。ちなみに、ダウンロードした最近の取扱説明書(バージョン1.3)によると15.7kgと表示されており、改良と軽量化が図られたようです。

17個ものネジで固定されていた厚手の鉄板製の天板を取り外してみると、日本の電圧に対応したTOROID社製の大きなトロイダルトランスが1個、電源部のコンデンサーは、容量3300μF(耐圧100V)が左右4本ずつで計8本、終段のトランジスターが左右8個ずつで計16個(4パラレルプッシュプル?)ありました。フロントパネルも含め、ケースの他の部分も厚手の鉄板製。ずいぶん金がかかっているな、というのが正直な感想です。



2004/03/06

幸せの黄色いホーン 26話 第1系統の調整(2)



D1000の5素子のパラメトリックイコライザをいじっている内に、1kHzから2kHzのあたりを抑えると、音の輝きやコントラストを適切にコントロールですることが分かりました。

イコライザによる調整は、愛用しているYAMAHAのMU100Bという音源で馴染みがあります。キーボードは、20年ぐらい使っているYAMAHAのpf70という76鍵の電子ピアノです。FM音源の16音ポリ、オモリ付き鍵盤というシロモノです。でも、かなり弾いてるのに故障しらず。こいつを買うためにXS650Specialの車検をあきらめた思い出があり、手放せないままズルズルになっています。

このMU100BのシステムEQも5素子のパラメトリックイコライザです。イコライザで音をガラッと変えることを教えてくれました。以下のような、4種類の設定がプリセットされています。なお、EQ1とEQ5はシェルビングの素子で、他はパラメトリックの素子です。

JAZZという設定では、EQ1が-6dB、50Hz、Qが0.7、EQ2が+2dB、125Hz、Qが0.3、EQ3が+4dB、900Hz、Qが0.3、EQ4が-4dB、3.2kHz、Qが0.5、EQ5が-6dB、6.3kHz、Qが0.7ということになっています。

POPSという設定では、EQ1が+4dB、125Hz、Qが0.7、EQ2が-4dB、315Hz、Qが2.0、EQ3が+3dB、1kHz、Qが0.7、EQ4が-4dB、2kHz、Qが2.0、EQ5が6dB、5kHz、Qが0.7ということになっています。

ROCKという設定では、EQ1が+7dB、125Hz、Qが0.7、EQ2が+4dB、200Hz、Qが0.7、EQ3が-4dB、1.2kHz、Qが0.5、EQ4が+4dB、2.2kHz、Qが1.0、EQ5が+2dB、6.3kHz、Qが0.7ということになっています。

CONCERTという設定では、EQ1が+3dB、80Hz、Qが0.7、EQ2が+4dB、315Hz、Qが0.7、EQ3が0dB、1kHz、Qが0.5、EQ4が+2dB、6.3kHz、Qが0.7、EQ5が-3dB、8kHz、Qが0.7ということになっています。

シンセサイザーでの音作りとオーディオでの補正は異なりますが、シンセサイザーでのEQ調整やLPFのレゾナンスの調整は、結構気楽で楽しいです。それから、YAMAHAのサイトでダウンロードできる業務用機器やシンセサイザー関連機器の取扱説明書は、色々と勉強になります。

話を戻しますと、結局、最低域のブースト、250Hzから500Hzのブースト、1kHzから2kHzの減衰という3素子が、第1系統のシステムには必要だということが分かりました。まだ、2素子が残っていますが、使用していません。それから、2402H-05のコンデンサの容量調整が残っているのですが、これはエージングが落ち着いてからにしようと思います。




2004/03/05

幸せの黄色いホーン 25話 第1系統の調整(1)



2155Hのウーハー部、2360A+2446H、2402H-05という3ウェイの第1系統の調整から始めました。

最初の音が望外に良かったため、測定は後回しにして、遊び半分でイコライザをいじってみました。残念ながら悪くなるだけで良くなりません。なお、ウーハーのディレイを60cmに設定しました。位相は、YSTを含めて全て正相接続の状態です。

駄耳だけではダメだと分かったので、騒音計をマイク代わりに使用し、ホワイトノイズとFFTソフトにより測定しました。70Hzぐらいから下が出ていません。それから、250Hzから500Hzが盆地状にへこんでいます。2360A+2446Hと2402H-05のつながりは良さそうです。

測定結果を踏まえて、250Hzから500Hzをイコライザで6dBほど上昇させました。すると全体の印象が穏やかになりました。それから、チャンネルデバイダーでハイ側のレベルを落として、相対的にロー側のレベルを上昇させることにしました。また、イコライザで最低域を6dB程度ブーストしました。

何週間かこの状態で聴いてみたのですが、最初の音の方が良かったように思われるので再度調整しました。少し低音がモコモコしているようなのです。あれこれいじっている内に、この原因がチャンネルデバイダーでハイ側のレベルを遠慮したことにあることが分かりました。ハイ側のレベルを上げてゆくと、モコついていた低音がすっきりし全体の鮮やかさが戻ってきました。

さらに、この状態で何週間か聴きました。この状態は、最初の音よりも改善されている。しかし、イコライザで最低域をもっとブーストするとどうなるのか、ということに興味がでてきました。

さっそく60Hzぐらいから下を11dB程度ブーストしてみると、最低域は出ないものと思っていた2155Hのウーハー部から、豊かな低音が出てくるようになりました。ただし、100Hzぐらいを持ち上げてしまうと、低音がもたついてきます。最低域のブーストはタブーのように思っていたのですが、ウーハーとアンプに余裕があれば問題はないわけです。ともかく、この最低域のブーストは効果絶大、というか、音の重心をぐっと下げてくれました。変な表現ですが、38cmウーハーに期待する低音というものを出すことができたようです。

ここまでやってみて、デバイダとイコライザの働きの違いが分かってきました。ほんのわずか設定を変えるだけでシステムが敏感に反応するので、コントロールしている実感があってうれしいのですが、これが結構疲れます。それから、2155Hのネットワーク駆動+イコライザ抜き+測定なし、という以前のシステムが、スイカ割りのようなものだったことを知りました。










2004/03/04

幸せの黄色いホーン 24話 音出し



いよいよ音出しです。4作目のスピーカーは、およそ、幅80cm、高さ150cm、奥行き95cmという大きさ。2枚の小さな鼓膜を動かすだけなのに、これ明かに「やりすぎ」です。さあ、苦労が報われる瞬間がきました(くるはず)。たいてい裏切られるけど。

最初に、第1系統の2360Aを中心とした3ウェイシステムから聴いてみました。2155Hのウーハー部と2446Hとのクロスオーバーは、500Hz(18dB/oct)です。2446Hと並列に接続されている2402H-05のフィルムコンデンサの容量は、3.47μFです。ロー、ミッド、ハイは全てアブソリュートでの正相接続。ディレイやEQ等は設定していません。サブウーハーのYSTはON。

おそるおそる小音量で全てのユニットから音が出ていることを確認、とりあえずロー側のアンプであるA501とハイ側のアンプである222ESJの各ボリュームを調整して、ざっとバランスをとります。そして、D1000のボリュームで音量をぐっと上げました。

言葉を失いました。リアルで圧倒的です。スピーカーシステム全体が音を押し出してきます。開放的に音が広がり、その一方、とても深い音がします。それから、今まで聴こえなかった細かい音や雰囲気が出ており驚きました。

これは大成功。エージングも済んでいないのに、最初から自分の希望を遥かに越える音が出てくれました。ともかく、2360A+2446Hの威力は凄いものでした。低音も正確でしっかりしたものに変わっていました。これはマルチアンプの効用なのでしょう。

落ち着いてから、第2系統の2155Hの同軸スピーカーシステムを聴いてみました。2155Hのウーハー部と2416Hとのクロスオーバーは1200Hz(18dB/oct)です。ローとハイは正相接続。YSTはON。

バイラジアルホーンの「高域だら下がり特性」がそのまま出ているものの、音が出ているので一安心。すぐに、第1系統に切り換えて聴きつづけました。このときは、第1系統の音が凄くて、第2系統どころではなかったからです。

オーディオをやっていてよかったとしみじみ思いました。2003年8月24日の夕方のことでした。






2004/03/03

幸せの黄色いホーン 23話 準備(2)



すぐに組み立ててしまえば良いのですが、完成させるまで半年以上もかかってしまいました。

まず、2360Aの塗装から始めました。中古ですが汚れておらず、このままでも問題はなかったのです。しかし、大きくて真っ黒なので、部屋に置くにはちょっと不気味。大きさの方はどうにもなりませんから、グラスファイバー製のベル部分を塗装することにしました。

最初に、青色に塗装しクリアまでかけたのですが、仕上がってみると、その色が思っていたよりも暗めなので気に入りません。再考。ALTECグリーンのようなきれいな色がいいとか、あれこれ考えました。結局、ウーハーの箱がシナ材の薄い黄色なので、色を合わせるために黄色に塗ることにしました。いつものように「刷毛塗りシロート塗装仕上げ」です。スタンドは少し錆があったので、スプレー缶で再塗装しました。

ところで、黒色や暗めの青色の時には気付かなかったのですが、この黄色い塗装のおかげで2360Aの思わぬ「真実」が明かになったのです。なんと、2本の2360Aは、ベル部分の形状が異なっていたのです。これにはアゼン。シリアルナンバーは、それほど離れていないのに。一方のスリットの開口部は、シャープな切り口で、他方は丸味を帯びています。資料を調べてゆくと、確かに、昔のパンフレットと最近のパンフレットでは、ベル部分の形状が異なっています。結局、シャープな切り口になっているのが初期型、丸味を帯びているのが後期型ということのようです。左右が違うという悲しさと、初期型と後期型をいっぺんに入手できたうれしさ?で複雑な心境になりました。

次に、横型にするために箱の改造をしました。もとのデザインが気に入っていたので、すこし残念な気持ちで、旧バッフルの不要部分を電動ジグゾーで切り欠きました。それから、箱の背面にスピーカー端子を新設しました。また、新バッフルでは、ダクト面積をすこし増やしました。ダクト面積は100×100mmでダクト長は75mm。これが2つです。また、2155Hの取付け方法を木ネジから、ボルト+T型ナットで取付ける方法へ変更しました。最後に、水性ウレタンクリアで仕上げました。

2402H-05をインラインに配置すると、2360Aと2155Hが離れすぎるため、2155Hの側方に配置することにしました。各2155Hの外側に配置すべきか内側に配置すべきか迷ったのですが、広がりが欲しいので外側配置でいくことにしました。

2402H-05を接続するために用いるコンデンサは、以前2155Hを購入したヒノオーディオさんで0.47μF、1.0μF、2.0μFの3種類を購入しました。最初はエージングを効率よく進めるために、それらを並列に接続し3.47μFとしました。この容量だとカットオフ周波数は5~6kHzぐらいになるはずです。

そのほか、アンプ類が増えたためデンオンのオーディオラックも購入しました。自作してもよかったのですが、スモークのガラス扉が好きなのです。

そして、どうでもいいようなことを、あれこれ詰めてゆきながら作業を進めました。結局、こうした作業が面白いからオーディオをやっているのでしょう。好きなのはオーディオよりも日曜大工なのかもしれません。




2004/03/02

幸せの黄色いホーン 22話 準備(1)



帰国してから2155Hを再度聴いてみると、記憶に残っていた音よりも弾むような低音が出ていました。きっと、カーステレオやラジカセの音ばかり聞いていたからだと思います。ホントに自分の耳はいいかげん。1年8ヶ月も鳴らしていなかったため調子をくずしているのではないかと心配していたのですが大丈夫でした。

まじかで見る2360Aは思った以上に大きく、途方もないものでした。スピーカーの上に2360Aを仮に設置してみると、そびえ立つように見え、視覚的な圧迫感が非常に強いです。このときのスタンドを含むスピーカーシステム全体の高さは、床から180cmを越えていました。そこで箱を横倒しにして高さを抑えることにしました。

それから、箱を横倒しにしても箱の上面が2360Aに完全に占領されてしまうため2402H-05の置場がないという問題もあります。そこで、2402H-05をバッフル板に取付けるため、バッフル板を作り直し、旧バッフル板の上から新しいバッフル板を貼りつけることにしました。また、スピーカースタンドとして、これまで通り、コンクリートボンドで貼り合わせたレンガを使っても良かったのですが、これは箱とスタンドが連結されておらず安定性に不安があります。そこで、新たにハカマ作り、ネジで箱の底板に固定することにしました。新しいバッフル板とハカマ等の板取の図面を作り、東急ハンズでカットしてもらいました。

SH-D1000と2446Hは、インターネットのサイトから購入しました。2446Hが届いたときには、かなりうれしかったです。とうとう、この日が来たんだなと思いました。

2446Hの箱を開け、2つの巨大なドライバーを床の上に並べ、「PULL TO REMOVE PERFORATED CENTER BEFORE INSTALLING HORN」の赤いラベルと共にスロート部を覆っていたパッキンを剥がし、スロート内部を覗いてみました。薄い金網の奥にイコライザの縁が鈍く光っていました。







2004/03/01

幸せの黄色いホーン 21話 朝沼氏のこと



朝沼予史宏氏が亡くなられてしまいました。JBLの使い手の新しいリーダーになるのではないかと期待しておりましたので、大変残念です。新しい世代のJBL製品をお使いになられていた点で共感をもっていました。ご冥福をお祈り致します。

朝沼氏のことで思い出すのは、GEMのツィーター2個を設置するために、JBLのS9500の上部ウーハーを取外してS7500にし、その上にツイーターを乗っけてしまったときのことです。ステレオサウンド誌のマルチアンプ特集号にこのことが少しだけのっていました。

また、ステレオサウンド別冊の管球王国3の中にこんなことをお書きになられていました。「考えてみれば、スピーカーに、何かが乗り移ってとてつもないものに変貌する瞬間に出会いたくて、私はオーディオをやり続けているのかもしれない。私の場合、それは、音楽をひっそりと鳴らしている局面ではなく、そのスピーカーの限界状況近くでダイナミックに鳴らしている時に訪れやすい。お行儀のよい、楚々としたきれいな音というのはどうも苦手だ。身近に知っている範囲では、故人では岩崎千明氏、山中敬三氏がハイレベル再生時に起きるオーディオのスリルをよく知る人だった。一関市のジャズ喫茶「ベイシー」の菅原昭二さんもそう。私はそうした先輩たちの足下をうろちょろしている程度だが、この人たちが実践してきた、豪快にオーディオを楽しむ姿勢を継承したいものだと願っている。」

強力な大口径ウーハーは、ある程度パワーを入れたほうが楽しめます。ダブルだと仕事量が半分になってしまうので、そこを考慮されたのではないかと思います。正確さとか余裕よりも破滅の向こう側に見え隠れする何かを追い求められていたようです。