2004/07/05

幸せの黄色いホーン 105話 V字型バッフル独立制御



V字型バッフルは中低域以上(200Hz以上)のレスポンスが、サヨナラホームランを打たれたピッチャーのようにがっくりと低下するという問題点を持っています。この原因は何でしょうか? 最初のころは向かい合う2つのウーファーユニット間の干渉ではないかと思っていました。そこで、40mm厚の発泡スチロール板をV字型バッフルの中央に押し込み、ユニット間の干渉が少なくなって音が良くなる?のかどうか試してみました。しかし、こうした実験を行ってみると、干渉だけの問題ではないというか、干渉という要素は大きなウェイトを持っていないのではないかと考えるようになりました。

リスナーの位置から見ると外側に配置されているウーファーユニット(右側の箱では右側のウーファー、左側の箱では左側のウーファー)はリスナー側を向いています。しかし、内側に配置されているウーファーユニットはリスナー側ではなく外側方向を向いている。コーン型ユニットの指向性は高域になるにつれて狭くなるため、内側のウーファーユニットから放射される中低域以上の帯域はリスナーにはほとんど届いていない。これが原因ではないかと。

そこで、V字型バッフルの独立制御を考え始めたわけです。内側に配置されているウーファーユニットの中低域以上は思い切ってカットしてしまい、外側に配置されているウーファーユニットの中低域以上の帯域をブーストする。スタガードライブですから中低域以上の帯域の干渉も少なくなりますし、V字型バッフルの低域から中低域の強力な押し出し感はそのまま生かせるはずです。

2色ホーンも少し手を加えました。上下のホーンを長ネジとアルミステーを使用して20cmほど離しました。以前、上下のホーンの間に厚みの薄い段ボール箱(DCX2496の包装箱)を挟み込んで2つのホーンを離して配置してみたのですが、2つのホーンの干渉は和らぐものの、ダンボールの響きが加わってしまうという新たな問題が生じたためです。

さらに、JBL社の2408Hというドライバーユニットを使うことにしました。下側のホーンはCH-1+RX22、これは従来のまま、そして、上側のホーンはCH-1+2408Hという組み合わせ。この2408Hはドライバーなのですが、型番から想像できるようにツィーター用です。そして、下のホーンと上のホーンは5kHzぐらいでクロスさせシリーズ接続のダブルホーンの状態を止めます。こんな具合に帯域分割してしまうと、わざわざ2つのホーンを引き離して配置したメリットがどのようなものであったか検証できません。改善できそうなことやら、見た目がカッコよくなることをハタと思いつくと嬉々として変更を加え、そのあげくの七転八倒。正気に戻ったときには音の変化の原因が何だったのか判然とせず、情けないことにその煩雑な作業の当初の目的さえもコロッと忘れていることがある…

さらにさらに、発泡スチロール板の仕切り板では仕切り板の鳴り?を聴いていた可能性もあるため、42mm厚の積層合板の仕切り板を作成しました。取外しができるように箱には接着しませんが、下辺に薄いフェルトをはさんでぐいぐい押し込むとがっちり固定できます。しかし、この仕切り板、やっぱり効果が無いというか、V字型バッフルの押し出し感を損なうような気がします。結局、この仕切り板は、V字型バッフルの箱の背面にだらしなく立て掛けてあります。「背面開放をやめて密閉にすればどうか?」というヨハネスさんのアドバイスに従い、この仕切り板により背面の開口をやや塞いだつもりです。





今回の音出しは測定から開始。V字型バッフルの独立制御はかなり複雑な設定になるため、いきなり聴感だけで調整することは諦めました。レスポンスグラフが独立制御によってどんな具合に変化するのかを知りたかったからです。測定中はホワイトノイズだけですから、システムの音の雰囲気は全然分かりません。ともかくDCX2496を駆使してリスニングポイントでのレスポンスグラフを±3dBの範囲に追い込んでゆきます。もちろん測定ポイントによりこうした測定結果は簡単にズレてしまうのは承知の上。しかし、このじゃじゃ馬システムをうまく飼い慣らすことができる自信がないので必死なのです。なんだか余裕ないなぁ…

フラットな特性の設定をDCX2496にメモリし、CDを聴いてみました。おおっ、ずいぶん改善されたね!と喜んだのも束の間、左側の2408Hの音圧レベルが異常に低いことに気付きました。う~む、欠陥品か?と思いつつ、そのまま1週間程度聴いていると徐々に音圧が上昇し、左右の2408Hの音圧が揃いました。やれやれ一安心でございます、ってこういうサエない話ばっかりですね。ところで2408Hですが、これはかなり繊細な雰囲気の美しい音でした。

左右の2408Hの音圧が揃ったところで再度測定。フラットな特性をメモリし、今度はCDを聴きながら色々な設定を試してみました。内側のウーファーユニットの受け持ち帯域を広げてゆくと、中低域の厚みが素直に増加します。クロス設定以外にも外側と内側のウーファーユニットのレベル設定を変えてみたり、それぞれにイコライジングを加えてみたりと、コントロールというよりもノーコン、暴投の連続。しかし、なかなか表情を変えてくれなかったシステム全体の音の雰囲気が、ヒラリヒラリと変わるようになりました。1ヶ月ほど調整を続けた結果、実質的に5ウェイマルチアンプシステムの2色ホーンシステムは生まれ変わったような音になりました。




2004/07/04

幸せの黄色いホーン 104話 AVC-3890



ヨハネスさんがいらっしゃった時のこと。緊張しながら客観的な立場?で聴いてみると、白ホーンシステムの高域がなんとなく妙です。それから数日経つと、この「妙な感じ」が「異常な感じ」に発展、緊急対策本部を設置し対応を協議することになりました。AVアンプやDCX2496というクセ者達の仕業か?と予想したのですが、彼らは全員シロ。安価だからという理由だけで疑ってはいけない。犯人は左側の291-16Kの磁気ギャップに付着していた小さなゴミ。

磁気ギャップのお掃除は初めての経験。ネットで調べてみると、ドライバーの先端が磁石に吸い寄せられてダイアフラムに衝突、こんなことなら何にもしなければ良かったのにね、という結末を迎えることがあるそうです。という訳で、おっかなびっくりダイアフラムを取外し、磁気ギャップのゴミを葉書に沿わせた粘着テープにくっつけよろよろと除去します。それから、もう一度おっかなびっくりダイアフラムを取付け、ようやく作業終了。どきどきしながら音を出してみると、おおっ、雑音が完治したね、神の手だね、ブラックジャックだねっ!と喜んだのもつかの間、1分ほどであの異常な感じが戻ってきました。がっくり… 手加減していてはダメだっ、と今度はマッドサイエンティストに変身。磁気ギャップを掃除機で徹底的に吸い取り、さらに粘着テープでしつこくしつこくしつこく綺麗にしました。で、こういう作業に一心不乱に没頭しちゃう頭のほうに心配があるもののユニットの方は無事全快いたしました。御休心くださるべく候。

こんな具合に291-16Kのお掃除をする少し前、2色ホーンシステムのてこ入れのために新しくAVアンプを購入しました。2色ホーンシステムの音は独特で面白なぁと思うこともありますが、やはり問題がある。もう少し何とかしてやりたい。ツィーターを加えてみるとか、ダブルウーファーの独立制御のためにマルチアンプ化を進めてみたい。そうなると使用しているYAMAHAのDSP-AX450ではパワーアンプの数が足りません。業務用パワーアンプを複数購入してのマルチアンプシステムも考えましたが費用がかかります。AVアンプによるマルチアンプなら費用も安くボリューム調整もリモコンで行うことができるため気楽です。

新しく購入するAVアンプは、DENON社かマランツ社のものと決めていました。この2つのメーカーの製品は、各パワーアンプの出力や構成が同一なのだそうです。ある日、ハイファイ堂の中古品販売サイトからDENON社のAVC-3890が同時に2台売りに出されていることに気付き、珍しく即断、2台とも購入。AVC-3890は定価15万7500円。しかし、購入価格は2台とも18000円。定価で比較すると、これが今までに保有したアンプの中で最も高価です。届いたAVC-3890は新品同様。このアンプは4年前に発売されたものであり、7台の120Wのパワーアンプを内蔵しています。1台のリモコンで2台のアンプをコントロールすることができます。リモコンでボリュームをコントロールしてみると、2台のアンプのボリューム値は常に一致したまま増減します。

今まで使用してきたDCX2496に加え、6台目となるDCX2496を購入。2台のDCX2496により6chマルチアンプシステムを作ることができます。接続はデジタル。D3C01-SRとBCJ-XP-TRBに新たに購入したY字型ケーブルを接続し、2台のDCX2496へデジタル信号を振り分けます。AVC-3890とDCX2498を2台ずつスタックすると、なかなかの奇景というか、支離滅裂?




2色ホーンシステムは、久々のじゃじゃ馬です。音出しのころは、ユニットが熟れていなかったので、それほど粗が表に出ていなかったよう思います。その後、2192と接続してしまったため、2色ホーンシステムが復活したのは昨年の春ごろでした。それから、約1年程度向き合うようになったのですが、おおっ!と身を乗り出すような音が出ることは本当に少ない。むしろ、もう少し何とかしないと…というような気持ちになることの方が圧倒的に多かったのです。

じゃじゃ馬ちゃんとしては、ジュラルミン製センターキャップの鳴きに泣かされたコーラル10F-60を2発使用したバスレフシステムと、低域も高域もまるでダメの2155Hのバスレフシステムがありました。何れも2、3年程度我慢して付き合ったものの、ともかくオーディオというのはうまくいかない趣味である、ということを骨の髄まで叩き込んで頂きました。結局、10F-60には10DU-60Bというパッシブラジエターをあてがい、また、2155HはYSTサブウーファーシステム等と組み合わせ、彼等とはめでたく停戦合意に至りました。

システムがうまく鳴ってくれない場合、君子豹変路線変更、ありがとうSL、君のこと忘れないよ…と、いきなりシステム解体、二束三文で叩き売っちゃう、そういう判断ができるのは経験豊富で腕の立つ方だけでしょう。そうではない場合、要するに経験なんかない、買いかえる余裕もない、そのうえ腕なんか立ったことなんかないっ!のないないづくしの状況では「使いこなしていないのではないかしらん?」という疑問が判断を鈍らせてしまいます。「あしたはうまく鳴るかも?」という淡い期待が裏切られ続けることを予感しつつも踏み切れない。こういうのはシステムに対する愛着というのとも違うような気がします。じゃじゃ馬システムとの付き合いは避けられない一種の試練のようなものとか、こうしたことを通じてオーディオのことをより深く理解していくのさっ…なんて嘯くのですが、理屈はどうあれ、やっぱり音はよくないままですから、これはもうホントに困まっちゃいます。今回はどんな結末が待っているのでしょうか…