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2023/09/03

Loudspeaker Systems Design



あまりに巨大になってもどうかと思うのでDIYホーンシステムと同じサイズで作図してみた。
この円形ホーンの直径は130cmである。
300Hzクロスぐらいなら余裕だろう。




ホーンの設計は、最低限、キール氏の論文の熟読が必要だろう。
従来のホーンの問題点について深く理解することができる。
その他、JBL2360やALTECのMR94などの定指向性の大型ホーン、さらに、JBL23922352等のホーンのプロポーションが参考になるであろう。
DIYホーンシステムのようにM2タイプのホーンに仕立てるのも良いかもしれない。

ウーファーは直接放射型とし、低音ホーンは採用しない。
定指向性などの現代的なホーンの場合、その音触は低音ホーンのそれとはまったく合わないからだ。




2023/08/26

Loudspeaker Systems Design



デザインの方法として温故知新というやり方がある。
古きをたずねると、そこからインスピレーションを得ることが多い。
であるからして、古いシステムを徹底的に調べ、それらシステムの設計者たちが何を考えていたのかということに思いをはせることがスピーカービルダーとしては最低限必要だ。

5インチボイスコイルの次は、ウーファーの数をどうするのか、という問題になる。
シングルウーファーがダブルウーファーか、という選択肢しかないという訳ではない。
温故知新の例をここで示そう。

まずはALTEC A1の初期モデルである。
一般的なオーディオマニアならA4あたりで思考停止だが、それではオリジナルデザインの世界を切り開くことはできない。
やはり、誰でも知っているようなシステムでは"古き"としては役不足である。
A1は6発だが、ここはその片側3発ウーファーに心を奪われてみよう。




3発と言えばこのシステム、WEのワイドレンジシリーズだ。
32㎝ウーファーだが、オープンバッフルの3発である。
A1のような横一列の配置ではないことや、ウーファー部に比べホーン部の規模が不釣り合いに大きいことに注目したい。







2023/08/21

Loudspeaker Systems Design



スピーカーユニットの口径ではなくボイスコイル径こだわるとしたら、CelestionのAxi2050が出現したことだし、これはもう5インチが旬ではなかろうかと。

組み合わせる5インチボイスコイルのウーファーは色々考えられるが、口径は何がいいか。
KLIPSCHのJUBILEEは12インチだったのだけれども、ジュビリーよりも大型のホーンを組み合わせたいので、ここは15インチにしたい。




15インチで5インチボイスコイルとなると選択肢はあまりない。
Precision DevicesのPD.155NR1がいいだろう。
ネオジムマグネットを搭載した現代的ユニットでAxi2050にお似合いだ。
PD.155NR1は"BASS/LOW-MID RANGE DRIVER"用ということなので、さらに18インチから24インチのサブウーファーを加えることもでき、大規模システムの中低域用ウーファーとしてもってこいだ。
箱の推奨容積は75Lから200Lであり、使いやすそうなユニットである。




PD.155NR1 BASS/LOW-MID RANGE DRIVER

Radial neodymium motor structure
Vented cast aluminium chassis for improved thermal control of voice coil
Forced air cooling vented voice coil gap
Aluminium demodulation ring
5″ High temperature copper voice coil
For two way ported applications and bass reinforcement in bass reflex / horn loaded enclosures
Rear aluminum heat sink

GENERAL SPECIFICATIONS
Type Bass / Low-Mid Range Driver
Available Impedance 4 Ω/ 8 Ω/ 16 Ω
Nominal Diameter 15" / 381 mm
Voice Coil Diameter 5.0" / 127 mm
Peak Power (6 dB Crest Factor) * 4000 W (A.E.S.)
Power Rating 1 2 * 1000 W (A.E.S.)
Sensitivity (1W/ 1m) * 98.5 dB
Frequency Range 45 Hz - 2 kHz
Resonance 37 Hz
Voice Coil Winding Depth 1.20" / 30.50 mm
Recommended Enclosure Volume 75 - 200 Litres
Flux Density 1.18 Tesla
Magnet Material Neodymium
Magnet Gap Depth 13.00 mm / 0.51"
Former Material Glass Fibre
Dust Dome Material Solid Paper
Voice Coil Material Copper
Cone Material Paper
Suspension Material Poly Cotton
Surround Material M Roll Poly Cotton

THIELE SMALL PARAMETERS
Fs 37 Hz
Re 5.4 Ω
Qms 6.1
Qes 0.237
Qts 0.228
Le (@ 1 kHz) 2.350 mH
Vas 140 Litres
Mms 154.00 g
Sd 895 cm2
Cms 123.20 µm/N
BL 28.60 T/m
Xmax 12 mm
Vd 0.980 Litres
Ref. Efficiency 2.77%
EBP 156.12 Hz

DIMENSIONS & MOUNTING
Overall Diameter 408.30 mm
Width Across Flats 395
Flange Height 11.00 mm
Depth (Excl. Flange) 190.00 mm
Magnet Diameter 168 mm
Chassis Shoulder Diameter 356.00 mm
Outer Bolt Circle x6 M6 on 395 mm PCD
Inner Bolt Circle N/A

SHIPPING INFORMATION
Nett Weight 10.00 Kg / 22.05 lb
Shipping Weight 11.00 Kg / 24.25 lb





2023/07/25

Loudspeaker Systems Design



スピーカーシステムの設計には、決まったやり方などない。
黄色いホーンの場合は、4インチボイスコイルにこだわっていたような気がする。

2402H05    1.75inch
DE500       2inch
2451H       4inch
2446H       4inch
2490H       4inch
1008-8HE   4inch
1808-8HPS  4inch
PD.2450      6inch

1008-8HEはダブルだから、4インチボイスコイルだらけだ。
2451Hは、のちに3インチボイスコイルの2431Hに交代した。
やっぱり、帯域によって適切なボイスコイル径というのはあるのかもしれない。




一方、DIYホーンシステムの場合は、こんなかんじ。
こっちは、1508-8ALCPがダブルだ。

2407H       1.5inch
2431H       3inch
2451H       4inch
1008-8HE   4inch
1508-8ALCP   4inch
1808-8HPS  4inch

市販のスピーカーシステムで4インチボイスコイルだらけというのは、なかなか無いというか、4350ぐらいか。
口径ではなくボイスコイル径にこだわる、これは一つのやり方かもしれない。




2023/07/20

Loudspeaker Systems Design



DIYホーンシステムの下の画像のアクセス数が異常に伸びている。
その書き込みをGoogle翻訳を使って読んでみると、かなり興奮気味で、そのせいかあまり紳士的とは思えないコメントもある。




メトロポリタン美術館の元館長であるトマス ホービング氏は、美術品の贋作をテーマにしたNHKの番組でこんなことを語っていた。
"本物の芸術はあなたを興奮させ、考えさせ、笑わせ、眉をひそめさせる。
あなたの想像力をかきたてます。
でも贋作は「死体」です。
何も言わないし、何も問いかけない。"

という訳で、facebookの諸君はDIYホーンシステムが芸術品であることを間接的に証明してくれた訳である。
まあ、そんなことはどうでもいいが、優れたスピーカーシステムのデザインは芸術的側面を持つことを誰も否定できまい。
せっかく苦労して製作するなら、どこかで見たことがあるようなスピーカーだなぁ、と思えるようなデザインはできれば避けたいものである。





2023/07/16

Loudspeaker Systems Design



Axi2050は大型ホーンと組み合わされ、KLIPSCHのJUBILEEに搭載されている。
ジュビリーはクリプシュホーンを備えた12インチ2発と、300Hz以上を受持つホーンによる2ウェイ構成。
技術的なトピックスとしては、Axi2050のスロート口に指向性を改善するためのプラグを設けたこと、3本のバスレフダクトをフロントロード内部に開口した点である。
また、DBR15のようにDSPにより制御されるが、残念ながらアンプは付属しない。

このジュビリー、高さ175㎝、幅127㎝、奥行76㎝と恐ろしく巨大である。
現代的なスピーカーシステムとしては例外的なサイズである。
往年のクリプシュホーンが化けて出てきたような感じだ。
DIYホーンシステムと同じぐらいの大きさは、正直、驚きである。









京都に妻と二人で行ってきた。
11日午後に建仁寺に行き、風神雷神図屛風(複製)等を見た。
12日は鞍馬山に登り、貴船に抜けて川床料理を食べた。
帰りに北野天満宮に行きお礼をし、夕食は鱧会席をいただいた。
13日は三十三間堂、それから智積院に行き、長谷川等伯を堪能した。
宝物館の本物は素晴らしい。夕食は開陽亭。
14日は嵐山の天龍寺、篩月で精進料理をいただく。
竹林を抜けて大河内山荘庭園に行った。
それから福田美術館で竹久夢二展を見た。めなみで夕食。
15日は養源院に行かず、そのままS550で引き揚げた。









2023/07/08

Loudspeaker Systems Design



CelestionというとUL6とかDitton66などを思い出す方が多いだろう。
当時は、タンノイと並びイギリスを代表するスピーカーメーカーとして認識されていた、というか、英国国旗がやたら広告に表示されていた記憶がある。
現在はギターアンプやベースアンプ用のスピーカーユニット、それから業務用ユニットを主に生産しているが、設立はなんと1924年であり来年で100周年になる。
なお、Celestionと同様に現在も活動している老舗のスピーカーメーカーとしてはJENSEN(1915年設立)、Tannoy(1926年設立)がある。
あなたが生まれるはるか以前からスピーカーユニットを作り続けているCelestionのドライバーを搭載し、それを最先端のDSPで制御しているDBR15は、だから魅力十分だ。

そしてCelestionのドライバーというとAxi2050に触れないわけにはいかない。
放射状にリブが形成されているフラットなリング形状のチタンダイヤフラムを備えており、そのボイスコイル径は5インチ、ダイヤフラム外周の直径は175mmにもなる。
この独創的な形状のリング状ダイヤフラムの面積は、5.5インチのドーム型ダイヤフラムに匹敵するそうだ。
300Hzから20kHzまで再生可能という超ワイドレンジのコンプレッションドライバーである。




構造はBMSタイプのものとかなり異なる。
3重スリットのイコライザを備え、中央のイコライザの内部がバックチャンバーになっているようだ。
そして、この2インチスロートのドライバーはネオジムマグネットを搭載しているにもかかわらずかなり大きい。
外寸直径は198mm、重さも7.5kgとヘビー級である。





2023/07/02

Loudspeaker Systems Design



20cmウーファーの308PMK2は確かに素晴らしいがもっとアグレッシブなシステムが欲しいとなった場合、308PMK2をサブにして、例えば、メインシステムとしてヤマハのDBR15を導入する手もある。
KS100の生まれ変わりという訳ではないが、38cmウーファーとホーンの2ウェイ構成によるオーディオ用としては大型システムである。
さらに、ウーファー用に400W、ツィーター用に65Wの2台のデジタルパワーアンプを搭載し、これをDSPで総合的に制御している。
これで価格は1本、5~6万円なのだから驚く。




ウーファーユニットは2.5インチボイスコイルであり深めのバスケットを持つ。
このウーファーはヤマハの自社製だろうと思う。
一方、ドライバーはCelestionのCDX1-1445である。
1インチスロート、PETP製の1.4インチダイヤフラム、マグネットはフェライトである。
これらのスピーカーユニットのスペックは、例えば、タンノイのLegacyシリーズのArden(748000円/1本)に匹敵する。




DBR15で特筆すべきは、そのコンパクトなサイズであろう。
15インチクラスの箱をこのサイズでまとめるのは至難の業である。
しかも、海外のレビューではどれもサブウーファーを加える必要はないと報告している。
それだけの低音をこのコンパクトな箱で確保するためには、スピーカーユニットと箱(ダクト)の設計とDSPによる補正(デフォルトでの)機能を組み合わせてトータルでの性能を追及する必要がある。
このような設計手法を採れることがパワードスピーカーのメリットであろう。

DBR15はエンクロージャーがプラスチック製であり、また、4段変速の空冷ファンを備えている。
この点が家庭用のスピーカーシステム等には見られない点である。
まあ、家庭内での音量では箱鳴りがするとか最低速でしか回転しないファンの音が気になるということはないだろう。





2023/06/29

Loudspeaker Systems Design



KS100は、さらにパワードスピーカーに興味をもたせてくれた。
パワードスピーカーとしては、最初にJBLのPebblesを購入し、その後JBL Professionalの305PMK2と308PMK2を購入した。
置き場所などをあちこち変えてみる手間暇は必要だが、家庭用のオーディオシステムとして308PMK2で十分ではないかと思っている。
オーディオ三大鉄則の、文句があるならまずはスピーカー設置場所(位置)変更、である。

最近のモニター用やPA用のハワードスピーカーは、ウーファー用とツィーター用に2台のデジタルアンプを搭載したマルチアンプ方式のものがほとんどである。
さらに、DSPを搭載し、チャンネルディバイダーの機能と周波数レスポンスの補正(デフォルトでの)機能もある。
このため、最初から出音が素晴らしく手間いらずである。
スマホをつなぐだけで、特に不満のないオーディオシステムが完成してしまうのである。




従来のオーディオでは、アンプとスピーカーの組み合わせで音を変化させるということになっていた。
しかし今や、手軽に楽しめるというかまともな価格で入手可能なオーディオ用のスピーカーやアンプはほとんど無いように思う。
昔ほど量産されないので高価なのは仕方がないのかもしれない。
しかし、モニター用のパワードスピーカーは世界中で販売されおり、その量産効果もあってか、性能の割に大変安価である。
また、こうしたパワードモニターは、一流メーカーの最新のオーディオ技術を手軽に体験できるところも魅力である。



2023/06/25

Loudspeaker Systems Design



ヤマハのKS100という存在は、JBLやALTECのスピーカーユニットを客観的に眺める契機になった。
例えば、4インチのボイスコイル径は高耐入力というか、ハイパワー用のかなり特殊なウーファーであることが分かってきた。
また、業務用ではプレスフレームが一般的であることも知るようになった。
オーディオの世界では有名なJBL等のスピーカーユニットがいかに素晴らしいかということを再認識させてくれたのである。
その一方で、それほどの特殊なスピーカーユニットでなくても家庭用として使うなら十分ではないのかとも思うようになった。

確かに、JBL等のスピーカーユニットを使用すれば盤石ではあるものの、実際に家庭内で鳴らす場合、それがマルチアンプである場合にはなおさら、驚くほどの小音量でしか鳴っていない。
7ウェイや8ウェイといった超マルチアンプシステムでは、ウーファーでもわずかにうなっているという程度だ。




黄色いホーンシステムは、大型のホーンスピーカーシステムのマニアの海外のスレッドなどによく掲載されている。
その中のコメントでPeaveyのウーファーを使っていることを疑問視する意見があった。
なるほど、システム構成から見てJBL Professionalのウーファーを使えと、その気持ちはよく理解できる。

20年ぐらい前の話だが、Peaveyのウーファーユニットを最初に導入する際、その評判を調べてみたことがあった。
ProSound Webのフォーラムで、Low Rider 18のリード線が断線することが報告されていた。
こうしたことはハイパワー時にリード線がサスペンション(ダンパー)に叩かれて生じる。
しかし、この不都合以外の良くない評判を発見することはできなかった。
さらに、この不都合は家庭内の使用で起こるのか、ということである。
結局、Peaveyのスピーカーユニットを数機種試してみたが、JBLに買い替える必要はないというのが結論である。
KS100の存在が頭の片隅にあることにより、オーディオとの付き合い方が、ブランドに惑わされない冷静さ伴うものになっているわけである。




2023/06/22

Loudspeaker Systems Design



大学生のとき学園祭の野外ステージで白いコーンのキーボードアンプを見た。
その時は生き生きとした音に好感を持っただけだったが、後日、ヤマハのキーボードカタログでそれがKS100であることを確認し、これでオーディオができないだろうかと思うようになった。

1981年3月に発売されたKS100は、100Wのアンプを搭載した38cmウーファーとホーンによる2ウェイのキーボードアンプである。
キーボードアンプというのは、ギターアンプとは異なり音造りがされていないため、パワードのPAスピーカーと同じである。
当時の定価は1本12万円、2本で24万円。
大学生にとっては結構なお値段だが、JBL 4320のようなスピーカーシステムが新品でしかもアンプ付きで入手できるのだから安いと思った。
しかし、その時はオーディオシステムを持っていたので興味を持っただけで終わった。



このKS100はスピーカーシステムに対する認識を広げてくれた。
まず、楽器分野のスピーカーシステムやスピーカーユニットに興味を持ったことである。
高能率で音の鮮度が高く、しかも、大口径であってもあまり高価ではない。
また、楽器分野のメーカーの手によるものだから音質について信頼できる。

次に、アンプが付属している点である。
それも比較的ハイパワーアンプであり、割安である。
そもそもアンプに興味はないし、興味のないものに金を払うのは面白くない。
オーディオ三大鉄則にもあるように、金をかけるならスピーカー、だからである。




2023/06/17

Loudspeaker Systems Design



NS10Mについてよく言われていることは、その優れた過渡特性と群遅延特性である。
優れた過渡特性は、やはりあの白いコーンのウーファーユニットがもたらすものだろうと思う。
おそらくはNS470やNS451の開発で得た経験がNS10Mで結実したのだろう。
群遅延は小容積の密閉箱であれば非常に小さくすることができる。
スピーカーのエンクロージャーの設計ソフトによってシミュレーションできるので、バスレフと密閉、容積、ダクト共振数などで群遅延特性がどのように変わるのか試してみると理解しやすい。




NS10Mは家庭内で音楽を楽しむという一般的な使用状況においては必ずしも優れたスピーカーとは言えないかもしれない。
しかし、音楽をクリアに楽しむという点ではヒントを与えてくれる。
使用しているスピーカーがなんとなくモヤつく場合には、まず、100Hz以下の低域側のレベルを下げてみよう。
-3dBではなく-6dBとか-9dBぐらい極端に。
そして、その減衰した分だけグッと音量を上げてみる。
たいてい、それでモヤつきは改善される。

モニターの音量は、細かな音まで聴き取らなければならないので大音量である。
しかも長時間の作業になるのでボイスコイルの温度上昇によるパワーコンプレッションの問題が生じる。
金属は温度が上がると電気抵抗が増えるので、ボイスコイルが熱くなると抵抗値が上がりウーファーの音量が低下してしまう。
NS10Mではそれに加え、ネットワークのコイルの過熱によるカットオフ周波数の上昇という問題点が指摘されている。

パワーコンプレッションによる低域側のレスポンスの低下は家庭内では起きないだろうが、多人数で行う試聴会の主催者になった際には気をつけたい。
瀬川冬樹氏の"JBL4350を鳴らした話"は、長時間の大音量再生により低域側のレスポンスの低下が生じ、相対的に中域がクリアに聴こえるようになったと、まあ、こんなところかもしれない。




2023/06/15

Loudspeaker Systems Design



当初NS10MはNS1000Mの残念賞みたいなスピーカーシステムだった。
そうですかあなた1000Mは高すぎますか、ならこちらはどうです1000Mを作られた仲村昭氏の手によるものです、目玉焼きぐらい僕が作りましょう...御免

しかし、レコーディングエンジニアのグレッグラダーニーが東京のスタジオで耳にしたNS10Mをロスに持ち帰ったことから状況は一変する。
自社のスピーカーシステムが世界の著名な録音スタジオのモニタールームに設置されるという見果てぬ夢は、その音だけでプロフェッショナル達に選ばれてゆくという理想的な過程を経て実現されてゆく。
それをこの残念賞のスピーカーシステムが完璧にやってのけたのである。




それまでのオーラトーン5Cに代わりNS10Mはミキサー卓のメーターパネルの上に置かれ、ニアフィールドモニターとして使用された。
主にミックスダウンに使用されるため、低域と高域を抑え、音楽の基礎的な帯域である中域が聴こえやすい小型スピーカーが望ましい。
低域に関しては小型の密閉箱と等価質量の小さな振動系であったため、300Hzぐらいから低域側にかけてレスポンスがだら下がりであった。
量感のある低音は中域を聴き取りにくくするため、NS10Mの低域特性はニアフィールドモニターとして好ましいものだった。
一方、ボブクリアマウンテンがNS10Mのツィーターをテッシュで覆ったのは有名な話である。
これはソフトドーム特有の特定帯域での鋭い指向性を緩和し、明るすぎる高音を弱めて中域を聴き取りやすくするためであった。
しかし、NS10Mの価値は、そうした帯域バランスだけではない。







2023/06/13

Loudspeaker Systems Design



その後、NS470の直接の後継機種だったのかどうかは判然としないが、NS451が登場する。
20cmと小口径化され、その代わりに低音を増強するためかバスレフ箱になった。
まあ、そこまではいい。
なんだかやってくれそうな雰囲気を感じたのは白いコーンのウーファーユニットである。




NS470の断面図を見てみると大量の吸音材が目立つが、やはりビシッとしたストレートコーンのウーファーユニットに目が行く。
このDNAがNS451の白いコーンに引き継がれているように思った。
プレスコーンではなく、ペーパーをくるっと巻いて貼り合わせたというDIYみたいなユニットである。
そして、この白いコーンは18㎝とさらに小口径となり、NS10Mに引き継がれることになる。







2023/06/11

Loudspeaker Systems Design



ダストキャップ全体が透けているスピーカーユニットはそう無い。
おっ、こいつ透けてるぞって奴がヤマハのNS470だった。
電流歪防止の銅キャップ付きポールピースを見せつけるその25㎝ウーファーは密閉箱に入れられていたのである。




ぶらりと立ち寄ったとあるオーディオ店で発売されたばかりのNS470が死闘を演じていた。
お相手はなんとJBL Professionalの4320である。
NS470の価格は一本32000円。
しかも、サランネットは赤、青、緑の3色から選ぶことができ、大ヒット作のビクターSX3みたいな白木仕上げ。
オマエ、やる気あんのかよっ、ってまあ、普通なら門前払いを喰らいそうなスピーカーシステムである。

ところが、このNS470、殴られても殴られても立ち上がって挑み続ける。
いい勝負をしているのである。
とうとう4320を打ち負かしてしまいました、というところまではいかなかったが、その力量に度肝を抜かれたことは確かだ。

4320の名誉のために付け加えておくと、4320はフロアにベタ置き、NS470は段積みされたスピーカーの中央に陣取っていた。
だから4320はホーンの位置が低すぎたし、NS470は小口径故の低音側の迫力不足をバッフル効果で補えたように思う。
また、NS470には似つかわしくない結構な大出力アンプが使用されていた。
しょぼいスピーカーには凄いアンプ、凄いスピーカーはしょぼいアンプでOKっていうオーディオ三大鉄則からすると、NS470にはかなり有利な条件だったと言えよう。





2023/06/09

Loudspeaker Systems Design



当時、DS251やDS301よりも面白いなぁと思っていたのがDS31CMK2である。
30cmと20cmの2つのウーファーが搭載され、5cmコーン型ツィーターも2つ、さらに銀色の3cmスーパーツィーターまで搭載されており、豪華絢爛である。




しかし、今になってよくよく眺めてみると、これもアコースティックエアーサスペンション方式だし、何となくAR1の焼き直しのような気がしてきてあまり面白いとは思わなくなった。
それに、当時の三菱は、ロクハンの他には、5cmツィーター、20cmと30㎝ウーファーぐらいしか製造しておらず、パイオニアやナショナルといった国産スピーカーユニットメーカーの多彩な製品群に比べると数段劣る感じがした。
フォスターやコーラルの方がまだまし、という感じだ。
そういう旗色の悪さをカバーするためか、三菱はNHKのBTS規格に準拠していることを喧伝していたが、規格準拠というのは最高性能を意味しない。
規格準拠とは最低限の性能保証という意味にすぎず、従って、解明されていない技術的要素が多いスピーカーに関して規格を振り回し高性能を訴えるのは愚かなことだろう。

でも、三菱のスピーカーユニットは、その分なんだか妙に安かったという印象はある。
なんだかんだ言っても安価なユニットは大好きである。
30cmウーファーのPW125なんか2S-305の価格に比べると大変安く、自作する価値は十分あるように思えた。




ところでこのPW125、ダストキャップ(センターキャップ)の全体が透けておりポールピースのてっぺんが丸見えである。
通気性を良くしてボイスコイル周辺の温度上昇を抑え、過大入力によるボイスコイルの焼損を防止するためだったのだろう。





2023/06/06

Loudspeaker Systems Design



アコースティックエアーサスペンション方式の発明者であるエドガーヴィルチャー氏はビジネスパートナーであるヘンリークロス氏と共に1954年にAR社(アコーステックリサーチ社)を設立した。
最初は、この発明を他のメーカーに持ちこみ、スピーカーシステムを製造してもらおうと思っていたが、どこにも相手にされず、結局、自分達で生産することになった。

最初に作ったのはAR1である。
1954年のことである。
オリジナルの30cmウーファーと20cmフルレンジの2ウェイ。
30cmウーファーがアコースティックエアーサスペンション方式であり、20cmフルレンジには小容積のチャンバーが与えられていた。
この20cmフルレンジは、ALTEC LANSING社製の755Aである。
そして、このAR1は商業的に大成功を収めた。




日本で有名なのはAR3a(下の画像)であろう。
エドガーヴィルチャー氏はアコースティックエアーサスペンション方式の発明だけではなくソフトドーム型ユニットの発明者でもあった。
ヴィルチャー氏が設計したのはそのソフトドーム型のユニットを搭載したAR3。
1958年に発売され、これも大ヒットした。
AR3aは、ヴィルチャー氏ではなくロイアリソン氏の設計によるもの。
なお、AR3とAR3aは一時期並販されており、AR3aでの改良点がAR3に施されたりしたそうだ。







2023/06/04

Loudspeaker Systems Design



お次はダイヤトーンのDS251、DS301である。
どちらもシルバーに輝く3cmコーン型スーパーツィーターがカッコよかった。
DS251は、20cmウーファーと5㎝コーン型ツィーターにスーパーツィーターを加えた3ウェイ、DS301はドーム型のスコーカーとツィーターを備えた3ウェイにDS251と同じと思われるスーパーツィーターを加えた4ウェイ。
DS251は日本のスピーカー市場で大ヒットを記録した最初のスピーカーシステムだったのではなかろうか。




DS251とDS301はアコースティックエアーサスペンション方式。
小容積の密閉型のエンクロージャー内部の空気の弾性をウーファーのコーンのサスペンションとして利用する。
コンパクトな箱なのに低域側の再生帯域を飛躍的に拡張することができ、スピーカーの設計に革命を起こした。
また、ハイコンプライアンス型のユニットは空気の弾性をサスペンションにするため、ダンパーと呼ばれていた機械的なサスペンションに頼る従来のユニットよりもリニアな振幅運動を実現し低歪だった。




この方式はアメリカ人のエドガーヴィルチャー氏が発明し、1954年に特許出願、1956年に特許権が付与されている。
この特許権は、AR社がエレクトロボイス社を訴えた特許権侵害訴訟において、裁判所が無効と判断した。
特許出願書類は特許弁護士に頼むことなしにヴィルチャー氏本人が作成した。
このため、発明の内容を明確に定義するための技術的な限定をうまく記載することができず、エレクトロボイス社が提出した先行技術との差異があることを裁判官に対して証明することができなかったのであろう。





2023/06/02

Loudspeaker Systems Design



推薦箱に入れたPAX-A30とCS900を比較したのが下の画像である。
このサイズの違いには驚かされる。
スピーカーシステムの歴史からみると、1950年代半ばに開発されたAR社のアコースティックエアーサスペンション方式により、こうした巨大なバスレフ箱は駆逐されたことになっている。
しかし、1970年代初頭の秋葉原では、パイオニアという同じメーカーの同口径の製品にもかかわらず、こんなにも考え方に違いのある製品が併存していたのである。




ところで、こうして描いてみると、PAX-A30とCS900ではウーファーの位置が正反対である。
PAX-A30はウーファーがバッフル板の上方に配置されており、CS900は下方に配置されている。
そりゃ、同軸のフロア型とブックシェルフ型だから当然だろう、というのではなく、こうも配置が異っていてもあまり問題にしないところがある意味凄いと思う。

なお、PAX-A30のウーファー部であるPW-A30という製品があったが、これはハイコンプライアンス型のPW-A31に更新された。
しかし、この新型のウーファー部を備えた"PAX-A31"は待てど暮らせど出現せず、これでPAXシリーズはおしまいになってしまった。




2023/05/31

Loudspeaker Systems Design



PAX-A30の推薦箱の内、大きめのサイズのがこれである。
縦108cm、横72cm、奥行45cm、内寸容積275Lと現代的な30cmクラスの箱と比べるとかなり大きい。




箱の大きさは測定上、低域の再生限界に関連するが、聴感上はそれに加え低域側のスケール感と関係する。
要するに朗々と鳴る、のである。
スピーカーシステムの原理は共振系を電磁的にドライブすることだから、猛烈なドライブ力のある超巨大ユニットと超ドでかい共振系とを組み合わせると、とてつもない何かが起こる。
それから、こうした現象は広大なバッフル面積の相乗効果によってもたらされることも指摘しておこう。

箱が大きくなると、当然、箱を構成している板材の振動も問題になる。
補強材をたくさん入れてガチガチに固めると一安心だが、これを緩めてある程度鳴らしてやるやり方もある。
あまり固めるとホーンも箱も音が死ぬ、というか楽しくなくなる傾向があるので、ほどほどにしておいた方がよい。




上は、38cmウーファーのPW-A38の推薦箱である。
縦115cm、横83cm、奥行51cmであり、内寸容積は395Lである。
15インチなら少なくとも200~300Lは必要なんて言われていた時代であった。