2023/06/02

Loudspeaker Systems Design



推薦箱に入れたPAX-A30とCS900を比較したのが下の画像である。
このサイズの違いには驚かされる。
スピーカーシステムの歴史からみると、1950年代半ばに開発されたAR社のアコースティックエアーサスペンション方式により、こうした巨大なバスレフ箱は駆逐されたことになっている。
しかし、1970年代初頭の秋葉原では、パイオニアという同じメーカーの同口径の製品にもかかわらず、こんなにも考え方に違いのある製品が併存していたのである。




ところで、こうして描いてみると、PAX-A30とCS900ではウーファーの位置が正反対である。
PAX-A30はウーファーがバッフル板の上方に配置されており、CS900は下方に配置されている。
そりゃ、同軸のフロア型とブックシェルフ型だから当然だろう、というのではなく、こうも配置が異っていてもあまり問題にしないところがある意味凄いと思う。

なお、PAX-A30のウーファー部であるPW-A30という製品があったが、これはハイコンプライアンス型のPW-A31に更新された。
しかし、この新型のウーファー部を備えた"PAX-A31"は待てど暮らせど出現せず、これでPAXシリーズはおしまいになってしまった。




2023/05/31

Loudspeaker Systems Design



PAX-A30の推薦箱の内、大きめのサイズのがこれである。
縦108cm、横72cm、奥行45cm、内寸容積275Lと現代的な30cmクラスの箱と比べるとかなり大きい。




箱の大きさは測定上、低域の再生限界に関連するが、聴感上はそれに加え低域側のスケール感と関係する。
要するに朗々と鳴る、のである。
スピーカーシステムの原理は共振系を電磁的にドライブすることだから、猛烈なドライブ力のある超巨大ユニットと超ドでかい共振系とを組み合わせると、とてつもない何かが起こる。
それから、こうした現象は広大なバッフル面積の相乗効果によってもたらされることも指摘しておこう。

箱が大きくなると、当然、箱を構成している板材の振動も問題になる。
補強材をたくさん入れてガチガチに固めると一安心だが、これを緩めてある程度鳴らしてやるやり方もある。
あまり固めるとホーンも箱も音が死ぬ、というか楽しくなくなる傾向があるので、ほどほどにしておいた方がよい。




上は、38cmウーファーのPW-A38の推薦箱である。
縦115cm、横83cm、奥行51cmであり、内寸容積は395Lである。
15インチなら少なくとも200~300Lは必要なんて言われていた時代であった。