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2017/05/23

JBL C222HP



2017年3月28日、小規模及び中規模映画館用のスピーカーシステムとして、200シリーズが発表されました。
C211は5月ごろ、他機種は2017年の夏ごろに販売が開始されるそうです。
下の画像は、ハイパワー用のC222HP。




小さいスクリーン用なので段積み型ではなくバーチカルツイン的な配置になっています。
各15インチウーファーには、"Acoustic Aperture Technology(アコーステックアパチャーテクノロジー)"と呼ばれるウェーブガイドが装着されています。
15インチの高域側のレスポンス低下と同帯域の指向性を改善しようという目的です。

15インチの高域側は、たいてい800Hzぐらいからレスポンスグラフ上でその荒れを見ることができますが、単に測定結果が荒れているというのではなく、やっぱりすっきりしない。もやつく。
これを解決するためには、3ウェイにして、この帯域を小口径のユニットに任せてしまえば良いのですが、これだとシステムが大掛かりになってしまう。
2ウェイのままでこの問題を解決しました、というのが今回の技術というわけです。
もっとも、15インチの中域問題はもう少し下の帯域ではなかろうか、とも思うのですが…

ツィーターは単にホーンが段積みされているのではなく、上側が遠距離用、下側が近距離用と放射エリアが異なります。
要するに車のハイビームとロービームのような感じ。
耐入力を確保するためにドライバーが2つになった、で、せっかく2つなのだからちょっと工夫してみた、という感じではなかろ~か。
これは周知の技術のような気がするなぁ。





スピーカーユニットは、ウーファーが2275H(上の画像)、ドライバーが2515XP-J。
2275HはSRX815に搭載されており、そのスペックシートには以下のような記載がありました。
"For Low Frequencies,  the SRX815 uses a 15-inch woofer with JBL’s patented Differential Drive Technology for reduced weight while maximizing power amp efficiency.  3”voice coils and dual ferrite drivers deliver exceptionally low distortion and ended low frequency response."   
このように2275Hはフェライトマグネットベースのディファレンシャルドライブ、3インチボイスコイルということです。
これがJBLのシネマスピーカーシステムにおける2226Hの後継機種になってゆくような気がします。

ドライバーの2515XP-Jについては調べても分かりませんでした。
だいたい2500番ってさぁ、ブラケットだろ?


2015/11/30

JBL VTX Series V20 & S25 (8)



V20の"Application Guideline"には、以下のようなシステムが例示されていました。
V20が24、S25が8、S28が12台という構成。
これを4ウェイか5ウェイで駆動すると。
ところで"FOH"って、Front of Houseの略?





S28(下の画像)は2269Hをダブルで搭載したサブウーファーシステムです。
このS28はグランドスタックされており、一方、S25は宙吊り。



サブウーファーシステムの音は、結構違いがありますよね。
15インチと18インチ、同口径だとしてもユニットの性格により音が全然異なります。
それから箱の形式。
ダイレクトラジエターの他、X1のようにロードがかけられているもの。
これも全く違う。

そして、宙吊りと据え置き。
サブウーファーは方向感がないと言われていますが、そうなのかなぁ。
サブウーファーが高い位置にも配置されていると、やっぱり迫力が違う。

様々な個性を持つサブウーファーシステム。
これが楽しい問題なのだ。
上記システムは4ウェイか5ウェイということだけれども、宙吊りのS25と据え置きのS28では、音の傾向がかなり違うでしょう。
2系統のサブウーファーを独立して制御する5ウェイの方がハンドリングが容易だと思います。
マルチアンプで独立制御の2系統サブウーファー、魅力的だなぁ。





…と、書いてしまったものの、V20はMF/HFのネットワークを内蔵。
ネットワーク使用時には4ウェイということだと思います。




2015/11/24

JBL VTX Series V20 & S25 (7)



S25はV20と組合わせるサブウーファーシステムです。
緩やかな角度のV字型バッフルに15インチの2267Hを2発搭載しています。
2267Hは連続最大入力2000Wの超絶最強ユニットですから、ダブルで連続最大入力4kw、ピークでは実に16kwになります。



バスレフの開口部の形状が変わっています。
ダクト長はかなり長いと思われますが、材質は樹脂製なのでしょうか?
スペックシートからはダクトチューニングが32Hz前後であることが読み取れます。





V20とS25を組合わせると4ウェイのフルレンジシステムを構築できます。
38cm、25cm、10cm、ホーン型ツィーターという構成。
でも、4344等とはクロスの考え方がちがいます。
25cmにボイスレンジの下を任せるのか、それともボイスレンジそのものを任せるのか。
ユニットの性格も関係してくる楽しい悩みですね。










2015/11/14

JBL VTX Series V20 & S25 (6)



V20のレスポンスグラフを見てみると、低域側は業務用の10inchとしては伸びており、一方、高域端が以外に伸びていないことが分かります。
バスレフのダクトは10inchウーファーである2つの2261Hの内側にそれぞれ設けられており、分解図を見てみるとダクト長はあまり長くないように見えます。
バスレフの設計をされた方なら分かると思いますが、これらのことからV20の箱の容積が十分以上であることが伺えます。
高域端が伸びていないのは、ローパスフィルターを設定しているからでしょう。





"Beamwidth"グラフは、これは見事な水平方向の指向性を示しています。
レスポンスグラフは、デジタルプロセッシング(デジタルイコライジング)を施したあとのものなのでフラットなのは当たり前ですが、この水平方向の指向性はそうした処理は不可能です。
Spec Sheetに表示されている"Coverage Pattern (-6dB) Horizontal: 105 degrees nominal (315 Hz-16 kHz)"の通りになっています。
300Hzから低域側の水平指向性が急激に広がっていることから、LFとMFのクロスが300Hz前後であることも分かります。

この優れた水平指向性は、V20の中央に搭載されたウェーブガイド部材とRBI(Radiation Boundary Integrator)によるものでしょう。
このウェーブガイド部材は第4世代(4th generation advanced high frequency waveguide)のものなんだそうです。
改良に改良を重ねたその完成度は非常に高いものとなっているのではないでしょうか。





黄色いホーンシステムではボイスレンジをJBL2392/2490Hと2360A/2446Hに任せ、その低域側を10inchのPeavey 1008-8HEを2発用いたバスレフに受持たせています。
このため、ボイスレンジの低域側を10inchダブルに受持たせているV20には親近感があります。

2392/2490Hの守備範囲は250Hzから1kHz、2360A/2446Hは1kHzから4kHzです。
2オクターブずつということ。
2オクターブは音響的には狭い範囲ですが、音楽的には広帯域と言ってもいいかもしれません。
黄色いホーンシステムでは、この2つの大型ホーンの領域以外の各受持ち帯域は1オクターブになっています。

250Hzの1オクターブ下は125Hz、その1オクターブ下は60Hz、さらにその1オクターブ下は30Hz。
4kHzの1オクターブ上は8kHz、その1オクターブ上は16kHzになるわけです。
実際に8ウェイの帯域分割は以下のような設定になっておりますが、さまざまなクロスを試しているうちにこのような帯域分割にたどり着いたわけです。
なお、ツィーターの領域はツィーターユニットの個性に応じた変則的な帯域分割になっています。
また、111Hzとか4.02kHzなど、異常に細かな設定周波数になっていますが、これはデジタルチャンネルディバイダーのDCX2496の設定できる数値がそうなっているからです。
110Hzを希望しても111Hzになってしまうし、4kHzとしたくても4.02kHzになってしまう、とこういうわけです。


PD.2450  -50Hz
1808-8HPS  50Hz-111Hz
1008-8HE  111Hz-249Hz
2490H  249Hz-897Hz
2446H  897Hz-4.02kHz
2431H  4.02kHz-8.5kHz
DE500  8.5kHz-
2402H-05  10.1kHz-


黄色いホーンシステムの8ウェイ拡張時、Peavey 1008-8HEのバスレフ箱には随分悩みました。
ミッドベースとしてはかなり低域側になるとはいえ、それでもミッドベースであることには変わりはないわけで、そうした帯域に密閉箱ではなくバスレフを選択したことについてです。

密閉箱は十分な容積を稼がないと音が固く薄くなる傾向があります。
例えば、バスレフのダクトを封鎖して密閉箱にする場合、こうした音になりがちです。
Thiele and Small理論を適用して設計されている現代的なユニットとバスレフ箱は、そうした実験に向いていないのです。
当然のことながら、大きな密閉箱に、そうした箱と相性の悪いTSパラメータを持つユニットを入れると、低域のレスポンスがほとんど稼げていない悲惨な特性になってしまいます。

密閉かバスレフかという議論は、Thiele and Small理論が発表される以前の議論だったので、最近ではほとんど語られなくなりました。
こうした話は、もちろん昔のユニットには当てはまりますから、その世界では依然として"あり"です。
そう、これは昔のユニットとそれに適合する巨大な箱の時代を知る者にとっては楽しい話なのです。

一方、現代的なユニットはTS理論を前提に設計されているので、そうした昔の議論をそのまま当てはめても良い結果は得られないようです。
これはダクトを封鎖する実験をしたときに如実に感じました。
結局、現代的なスピーカーユニットを生かすためには、昔の議論に拘泥することなく、TS理論をよく理解した上で設計をしなければならないということです。

Peavey 1008-8HEをどうしても使いたかったのでミッドベース用でもバスレフという変な話になってしまったのですが、今ではこういうのも悪くはないのだなぁ、と思うようになりました。
なお、V20の2261HのTSパラメータは確認していませんが、箱の容積や能率(93dB)から見て、2261Hはミッドベース用のユニットではなく、ウーファー用のユニットとして設計されているように思います。




2261H



2015/11/12

JBL VTX Series V20 & S25 (5)




V20のスピーカーユニットは、25cm、10cm、そして小型ドライバーと、比較的コンパクトなユニットで構成されているため、ユニットの配置が極めてタイトです。
ユニットの集中配置という点では屈指のスピーカーシステムでしょう。

よく見ると、各フロントグリルの内側中央には円盤状の部材が取り付けられています。
番号がはっきりしないのですが(36?)、Technical Manualによると"Foam, LF RBI"と表記されているものではないかと。
10inchユニットのRBIということなんでしょうね…










3発のD2415Kが金属製のスロート部分に取り付けられています。
ラインアレイのこの手のスロートは垂直方向の指向性を極限にまで絞るようにできています。
家庭に持ち込むにはちょっとむずかしいと思わせるのがこの点です。






各D2415Kの2つの磁気回路の熱は、金属製スロートと背面の放熱板により均等に放熱されるようです。
2つのボイスコイルは直列に接続されているようですが、それぞれの磁気回路の熱の不均衡はボイスコイルの抵抗値に影響を与えるため、ダイヤフラムの完璧な対向運動を阻害するのかも。
ちなみにTechnical Manualには、D2415Kに関し以下のような記載があります。

"Nominal Impedance: 3 x 20 Ohms
 (in parallel): 8 Ohms
Bandpass Sensitivity: HF x3 in parallel: 111 dB @ 1W / 1m (2.83 Vrms at 3.3ft)
D.C.Resistance: 16.0 ohm +/- 0.2 ohm each
 (in parallel): 6.1 +/- 0.3 Ohms"







RBI(Radiation Boundary Integrator)と組み合わされている4つの2164Hは、ディファレンシャルドライブではなく、シングルコイルです
ボイスコイル径は50mm(2inch)と大口径。
なお、2164Hの口径について、Spec Sheetには"130mm(5inch)"と、また、Brochureには"4inch"と記載されております。
4inchだとは思うのですが…



2015/11/08

JBL VTX Series V20 & S25 (4)




2014年の4月の記事、VTX-V20がそのままになっていました。
う~ん、何を書こうと思っていたんだっけ…
とりあえず、以下の3つの記事の続編です。

JBL VTX Series V20 & S25
JBL VTX Series V20 & S25 (2)
JBL VTX Series V20 & S25 (3)

V20の一番の話題は新型ドライバーだったので、この話題からリハビリがてら書いてみましょう。
この新しいドライバー、D2 D2415Kといいます。
D2430Kの小型版。



放熱板がなかなか精悍です。
V20のSpec Sheetには、"High Frequency: Three 2415K D2 Dual Diaphragm Dual Voice Coil
Compression Driver; two 38 mm (1.5 in) dia. voice coils; 21 mm (0.8 in) exit"と記載されています。
ボイスコイル径が38mmというのはなじみがありますが、スロート口の直径が21mmというのは、見なれないというか。
まあ、ホーンは自作するからどうでもいいけど。



これでD2シリーズは2機種。
ハイ側はこれで鉄壁。

4インチダイアフラムは高域側が今ひとつ。
それで黄色いホーンシステムでは4kHz以上を2431Hに任せています。
この2431Hがいい仕事をするのですよ。

次世代システムでは、この2431HがD2430Kになるわけです。
さらに、そのD2430Kの上をこのD2415Kが受持つ!
ふ、ふ、ふ、ふ、ふ。






ふふふ、というからこのがぞうではなく、まちうけがめんのかべがみをつくってみた。
1136ぴくせるのがぞう、けっこうおおきいよね。
こんなもんのぞかれたら、しゃかいてきにしぬかも。


2015/11/05

JBL 4367 Studio Monitor



10月15日、米国ダラスで開催されたオーディオ機器などの展示会"CEDIA EXPO 2015"でJBL 4367 Studio Monitorが発表されました。
M2 Master Reference Monitor直系、久々のモニターグレードのスピーカーシステムです。
伝統あるJBLモニターの雰囲気が漂い、これはなかなかカッコいいですね。





スペックは以下のとおり。

4367
15" 2-way Studio Monitor Loudspeaker

Specs
Features:
15" (380mm) low-frequency transducer for low-distortion, natural sound

Extremely smooth and wide frequency response

High-Definition Imaging (HDI™) horn technology

Frequency Response:
30Hz – 40kHz

Speaker Configuration:
3" (75mm) D2 2430K dual compression (U.S. patent no. 8280091) with High-Definition Imaging (HDI™) waveguide horn (U.S. patents pending)

15" (380mm) 2216Nd-1 Differential Drive® woofer (U.S. patent nos. 5664023, 5748760, 6768804, 6847726, 6774510)

Power Handling:
300 watts RMS

Sensitivity 1W @ 1m:
94dB

Nominal Impedance:
6 Ohms

Dimensions (H x W x D):
37-1/16" x 22-1/16" x 16-3/4" (941 mm x 560 mm x 425 mm)

Weight:
135 lb (61.2 kg)



黒っぽい仕上げのもあります。
AV用なのかな。







ホーンは、High-Definition Imaging (HDI™) waveguide hornというそうです。
M2のホーンと比べるとスロート奥の左右の突出がなくなっています。






ドライバーはD2 D2430K、ウーファーは2216Nd-1。
M2と同様の構成ですが、ウーファーは新しいスパイダーを採用しサラウンドのトリートメントを変更したそうです。
家庭内での音量に合わせて手直しをしたのでしょう。










この2216というのは、本当に美しいというか、精悍なデザインのウーファーですね。
萌えますというか、2216蕩れ~
M2との大きな違いは、ネットワークを内蔵していることです。
そのアッテネーターはHFとUHFとに分離しています。
2ウェイなんだけど3ウェイと同等の調整ができます、というのはうれしいですね。
なお、Lansing Heritage Forumに、4367のネットワークの設計がグレッグさんの最後の仕事のようだというようなことが書いてありました。





悲しいのはお値段。
ペアで15000ドルだそうです。
日本では1本80万円。
このさきオーディオ世代はだんだん収入が少なくなっていくし、このデフレのご時世に、ちと高すぎはしませんか。







D2430K蕩れ~なんて、今ごろなに言ってるのよ、阿良々木くん。








2015/03/10

JBL Pebbles



以前からノートパソコン用の外部スピーカーが欲しかったのですが、手軽で音質が良いもの、という難題をクリアするようなものはないであろうと諦めておりました。
ところが先日、Amazonのおすすめ品にこのペブルスが表示されており、さっそくクリックしてみると、なんと450件を越えるレビューが。
これは買わなければでごじゃる。

このペブルス(水に洗われて丸くなった小石という意味)、USB DAC内蔵バスパワードスピーカーです。
Amazonで5745円でした。
安くなっちまったなぁ、JBL!




3日ほどエージングするとなかなかでごじゃる。
この手のスピーカーは低音過多で気をひくタイプが多いのに、これは低音を欲張っていません。
正攻法で勝負しているところがえらいっ!

その低音もイコライザでちょっとブーストすれば問題なし。
foobar2000なら55Hz、77Hz、110Hzを2~3ノッチ程度お好みでブーストするだけ。
Gomプレーヤーなら60Hzと170Hzのあたり。

50mm径のフルレンジドライバーだそうです。
このクラスだと10cmぐらいがいいのではと思っていたのですが、いやいやこの50mm、ほんとにびっくりしました。
コーン型なのかドーム型なのかは分かりませんが、これだけ低音が出るというのは予想できませんでした。
そしてコーン型特有のクセが感じられず、聴きやすいです。

垂直方向の指向性も広く、座高が高くても音像の位置が低くなりすぎたりはしません。
左右のスピーカーを繋ぐコードの長さがやや短いようにも思いますが、これはこの間隔でセットアップされているように思います。

USBからの電力供給なのでパワーが足りないのではと思っていたのですが、十分でした。
音量が足りない場合は、コントロールパネル、サウンド音声及びオーディオディバイス、システムの音量を調整する、ディバイスの音量の詳細設定で、Waveの音量が最大になっているかをチェックすること。

そしてノイズがない。
素晴らしいです。




置き方で音場が変化します。
縦置きでJBLのロゴがやや外側に向いた状態が音場が広くなっていいかも。
バスレフのポートが背面にあるため、壁からの距離で低音の量が変化します。
置き方や置き場所で遊べます。

優れたオーディオシステムは、埋もれがちになる細かい音がよく聴きとれるものです。
ペブルスは、そうしたシステム。
おそらくDSPになんらかの仕掛けがあるように思います。
ハーマンの商品ページには"さらに独自のコンピューター・シミュレーションを駆使したデジタル・シグナル・プロセッシングにより、ナチュラルで高品位なJBLサウンドを実現します。"と書いてありますし。

デザインも面白いよね。
ボリュームと電源スイッチを兼用するディスクが側面についているけど、こういう円形の造形物があるとそれと対応する位置に同じ円形であるスピーカーを配置してしまうのが並みのデザイナー。
しかし、肝心のスピーカーユニットはこのディスクとは無関係の場所に配置されている。
JBLらしい独創性のあるデザインです。

ノートパソコンの両脇に小さなスピーカーを置いて、音楽を聴くという経験がほとんどなかったので、大変新鮮です。
丁寧な描写とパンチ力が両立しており、ラジカセの音とは雲泥の差。
スピーカーシステムそのものではなく、スピーカーシステムの総合的な制御技術にJBLの底力を見たような気がしました。









2014/04/14

JBL VTX Series V20 & S25 (3)

RBIの関連技術として米国特許8130994B2が紹介されていました。
ウォールマウント用同軸型のウェーブガイドに開口部を設けるというものです。










庭の石楠花が満開になりました。
調べてみると月齢は11.8ぐらい。




NIkon D7000 Sigma 17-50 f/2.8 (44mm)
15sec f/11 ISO200
シャクナゲの照明にはLEDライトを使用しました。







2014/04/06

JBL VTX Series V20 & S25 (2)

RBIは(Radiation Boundary Integrator)は、マルチウェイの中域と高域の音波放射の統合を目的とした音波放射境界統合部材です。
技術内容は米国特許7134523B2に開示されている。
RBIは高域用ウェーブガイドの側壁に配置されており、RBIの開口部(下の図では2本のスリット)を中域の音波が通過するようになっています。
また、RBIの開口部には多孔質の部材で封鎖されており、中域の音波を通過させる一方、高域は減衰させます。
さらにRBIは中域ユニットとRBIとの間の空間を減少させる形状を有し、中域の音エネルギーを増大することができます。






2014/03/30

JBL VTX Series V20 & S25

JBL Professional社からラインアレイ用スピーカーシステムのVTX Series V20とS25が発売になりました。
V20は上位機種であるV25よりも小型の3ウェイシステムであり、サイズはW900xH279xD403mm、重さは40kg。
±3dBの周波数レスポンスは50Hzから20kHz、耐入力はLF1500W,MF800w,HF225Wです。
ユニット構成は以下のとおり。

2 x 2261H Differential Drive® 10" diameter, Dual 3" Voice Coil Woofers
4 x 2164H Ultra-Linear 4" diameter, 2" Voice Coil Woofers
3 x D2415K Dual Diaphragm Dual Voice Coil Compression Drivers

中央のV字型バッフル(D2415Kにおいてはホーンフレア部)は鋳造アルミニウム製だそうです。
グリルを取り外すと各2164Hの前面を覆うように取り付けられている3本のスリットを持つイコライザー部が見えます。
このイコライザー部のことをJBL社は"RBI (Radiation Boundary Integrator)"と呼んでいます。




2013/08/15

JBL Professional 3 Series

2013年8月1日、JBL社からコンパクトパワードモニタースピーカーである3シリーズが発表されました。
現在のところ3シリーズはLSR305とLSR308の2機種から構成され、LSR305の価格は199.99ドル、LSR308が325ドルです。
下の図は、LSR305とLSR308の大きさを反映しています。
随分大きさが異なることが分かります。

小さい方のLSR305(下の画像)は、5インチ(127mm)径ウーファーと1インチ(25mm)径のダンプされたソフトドームツィーターによるバスレフ型2ウェイ。
ウーファーユニットのボイスコイルは1.5インチ(38mm)径、フェライト磁気回路の防磁タイプ。
ツィーターユニットはネオジム磁気回路であり、こちらも防磁タイプです。
ウーファーとツィーターはそれぞれ41WのDクラスアンプによりマルチアンプ駆動されます。
大きさはH298mmxW238mm(9.37inches)xD251mm、重さは4.6kgなので机の上に置くにはやや大きいかもしれません。
なお、幅寸法である9.37インチは7.37インチの誤記の可能性があり、この場合は187mmになります。
周波数レンジは43Hzから24kHz、Max Peak SPLは108dBもあります。


Balanced XLRと6mm TRS inputsを備えており、また、入力感度を-10dBと+4dBに切り換えることができます。
さらに、低域(115Hz)と高域(4.4kHz)のそれぞれのレスポンスを+2dB、0dB、-2dBの3段階に切り換えることもできます。
バスレフダクトは、JBL社の特許であるSlip Stream(商標)と呼ばれる2段階の広がり形状( double-flared shape)をもつものであり、低域を伸ばすと共に乱気流の発生を防止しています。
エンクロージャーの材質は15mm厚のMDF、艶消し黒の塩ビ仕上げ。


大きい方のLSR308(下の画像)は、ウーファーが8インチ(203mm)径になります。
このウーファーユニットも防磁タイプであり、ボイスコイル径も1.5インチです。
ツィーターは1インチ(25mm)径でありLSR305と同じものだと思われますが、より大型のホーンと組み合わされています。
2つのDクラスアンプの出力もそれぞれ56Wに増強されています。
大きさはH419mmxW254mmxD308mm、重さは8.6kgなので、もはやコンパクトではないです。
周波数レンジは37Hzから24kHz、Max Peak SPLは112dB。


入力感度切換や低域及び高域の3段階のレスポンス切換、ダクトの技術的特徴、エンクロージャーの材質、仕上げはLSR305と同様です。


3シリーズのホーンは、JBL M2 Master Reference Monitorの流れをくむImage Control Waveguide Hornです。
3シリーズはドーム型でありコンプレッションドライバーではなく、また、ハンドリングする音響エネルギーも小さいため、回折を生じさせるエッジが小さめですね。
このホーン形態は、ビーム現象を解消し良好な軸外レスポンスを実現しているため、自然な音響放射を可能にしており、従来のホーンシステムのようにリスニングルーム内における音の攪拌(blend/ブレンド)に依存しません。

"Pro Sound News Magazine - M2 Manufacturer's View"にはこんな記述があります。

While other manufacturers use a single onaxis frequency response measurement taken at one point in space, JBL measures monitor systems over a sphere that encompasses all power radiated into the listening room—in every direction.
This data reflects 1,296 times the information of a single on-axis response curve.
Seventy-two measurements of the direct sound field, the reflected sound field, and the reverberant field — the entire sound field heard by the listener — are correlated to optimize response at the listening position.

「JBLの新たな測定法は、スピーカーシステムを取り巻く空間のあらゆる方向における音響エネルギーの放射量を測定するものであり、従来行われてきた単なる軸上のレスポンスグラフから得られる情報の1296倍の情報量をベースにしています。
リスナーにより聴取される音場全体の直接音域、反射音域、残響音域の72の測定項目は、リスニングポジションにおける最良のレスポンスと関連付けられています。」

簡単に説明すると、スピーカーシステムを中心とした球体を想定し、その球体表面における測定ポイントで測定された音響エネルギーを測定し、その各測定ポイントの方向へ放射される音響エネルギーが、直接音、初期反射、残響音としてどのような現れ方をするのか、ということを予め計算しておいて、全ての測定ポイントにおける測定結果をベースに演算した直接音域等の各音域のデータを合算し、仮想のリスニングポイントにおける各音域のレスポンスグラフをはじき出す、ということだと思います。
口で言うのは簡単ですが、これを計算するのは膨大な測定経験が必要となります。
さすがスピーカー界の帝王、JBL!です。

3シリーズもこの新しい測定方法により設計されており、非常に良好な音場を再現するようです。
このため、中央の音像は非常にしっかりと定位し、かつ、深い音場を得られるそうです。



3シリーズですから、もしかするとBMWのように5シリーズ、7シリーズが控えているのかもしれません。
楽しみだなぁ。

現在、小型モニターとして使用しているのはJBL Control LAKENWOOD LS-11EX
LS-11EXはなかなかバランスの良い音を聴かせるスピーカーシステムですが、20年ぐらい使用してきたのでそろそろ買い換えてもいいかと。
LSR308に興味があります。


2013/03/11

JBL M2 Master Reference Monitor

2013年1月24日、JBLからM2 Master Reference Monitorが発表されました。
この手の大型スタジオモニタースピーカーは、DMS-1以来だと思います。
DMS-1のパンフレットの日付を見てみると97年5月ですので、何と16年ぶりになります。
また、M2のユニット構成は15インチ2ウェイであり、これは4320を彷彿させます。
JBLスタジオモニター復権の狼煙になるか!





駆動するアンプはCrown iTech 5000HD
BSS OMNIDRIVEHD processing engineを搭載した1250W+1250Wのハイパワーアンプです。
マルチアンプドライブになるため、1台のM2に1台の5000HDが必要になります。







コンプレッションドライバーはD2430Kです。
非常に興味深いDual Diaphragm/Dual Voicecoilのドライバー。
D2430Kの構造の米国特許はUS8280091です。
この特許公報からは、開発中のスナウト部分のイコライザは075のようなエクスポネンシャル型だったということが伺えます。
発明者はAlexander Voishvilloさん。

BMSドライバーの構造の米国特許はUS5878148
発明者はSvetlomir Alexandrovさん。
さらに、JBL 2431Hの設計者はAlex Salvattiさん。
ということで、なんと"Alex"さんつながりになっちゃう。
うふん、面白い… と思ったあなたは変態です。




どうしてここで2431Hが出てくるかというと、M2のパンフレットにこんな文章が掲載されているから。

"Instead of the large and heavy metal dome diaphragm of a conventional compression driver, the D2430K uses two annular low-mass polymer diaphragms offering the same radiating area as a conventional 3-inch dome.
Two separate 3-inch voice coils driven by their own magnet structures share the burden of heat transfer, resulting in a dramatic increase of output and power handling."

「D2430Kの2つのボイスコイルは3インチ径であり、またその2つの環状ダイアフラムを合わせた放射面積は、一般的な3インチ径のドーム型ダイアフラムと同等の放射面積があります。」というような内容。
ということで、D2430Kは2431Hクラスのドライバーの性能を劇的に向上させたものである、という位置付けが理解できると思います。

15インチシングルウーファーに3インチぐらいのダイアフラムのコンプレッションドライバーによる2ウェイ。
これ、2ウェイスピーカーにおける黄金の組合せだと思っているんだ。




さて、その15インチウーファーは2216Nd
なかなかハンサムなユニットです。
サスペンション(ダンパー)がシングルっていうのも好ましい。



JBLの15インチ径のDifferential Drive Wooferとしては、昨年2267Hが出現しました。
ボイスコイルは4インチ径であり、ピーク8kWという世界最強の15インチユニット。
しかしそうではなく、M2では3インチボイスコイルの2216Ndを選択したと。
もっとも、この2216Nd、ヤワなユニットではない。
M2のパンフレットには"123dB maximum SPL"と表示されているので、ご家庭での使用では全く問題ないでしょう。

ところで2216Ndは、民生用のS4700(下の画像)にも使用されています。



M2と比べてみると箱の大きさが違う。
M2はW508xH1256xD356、S4700はW500xH1068xD371。
M2はミキシングコンソール(Mixing Console)の向こう側のフロアに設置するため、高さが高くなっていることが分かります。
その分、箱の容積も増えている。

2216Ndの素性はというと…

Fs 36Hz
DCR 5Ω
Qts 0.44
Mms 135g
Bl 18.9
SPL 95dB
Sd 0.0907m2

これは180Lぐらいの大きめのバスレフ箱に向いているユニットです。
ところで2216Ndの設計者はJerry Moroさん。
S9800のウーファーユニット、1500ALもJerry Moroさんの設計。
調べてみるとMmsが135g
改良版の1501ALは145g、1501AL-1は137g、1501AL-2は135g。

う~ん、135gというのはJerry Moroさんの好みなのかもしれない。
古いユニットで比較してみると2234Hが104gでマスコントロールリングの付いた2235Hが155g。
それらの中間的な重さということ。
135gというのはちょうどいい数値かもしれない。




M2はバスレフポートにも一工夫あるようです。
その構造は米国特許US7890312によるもの。
発明者はAllan Devantierさんと、Zachary Rapoportさん。




M2の低域特性は非常に良好であり、30Hzでも-3dB程度です。
いつも思うのだけれど、このM2程度の大きさの2ウェイで、サブウーファーなしでも十分な低音再生能力があるというのが、まともなスピーカーシステムではないかと。
ま、だから黄色いホーンシステムのようなスピーカーシステムもその異常さ故に存在理由あり、ということになる訳ですが…



最後はお待ちかねのホーン。
Image Control Waveguide Horn。
特許出願中とのことです。



水平指向性は120°、垂直指向性は100°。
広い指向性を持たせるとホーンの開口寸法が小さくてもより低域側からパターンコントロールが可能になります。
クロスは800Hz。

う~ん、なんだか凄い形状です。
ホーン理論はどんどん先に進んでいるようです。
まいったな…




2011/09/29

JBL MD49 and MD46

MD49はJBL社のMarquis Dance Club Seriesのフルレンジシステムです。
サイズはH1524mmxW561mmxD657mmという大型スピーカー。
90°x50°のウェーブガイドホーン部は90°回転配置可能であり、横置きもできます。







クロスオーバーユニットが付属していないマルチアンプ用の4wayシステムであり、ユニット構成は以下の通りです。

Low 2265H 15inch woofers x2
Mid CMCD-82H mid-frequency driver
High 2432H compression driver
Super High ST400 super tweeters x2

2432Hは最近のJBLシステムに多く使用されている3インチ径チタンダイアフラムのコンプレッションドライバー。
CMCD-82Hは2169Hに製品番号338471-001というフェージングプラグを組合わせたもの。
ちなみにCMCD-81Hも2169Hに338471-001を組合わせており、82Hと81Hの差がなんであるのか理解していません。
CMCD-82HについてはAEシリーズのAM7200/95の、また81HについてはSRX738のテクニカルマニュアルをご参照ください。




想定されているクロスオーバー周波数は、270Hz、2.7kHz、10kHz。
フェーズプラグを備えているCMCDは2kHz以上のクロスを想定しているようです。
同じ2169Hを使用しても、フェーズプラグなしのダブルのMD2のような構成では1kHz程度になっています。

Highを受持つホーンが小さいと高域側をがんばらないといけないですし、
ダブルにすると許容入力は大きくなるものの、高域側が干渉により伸びないという事情もあるのでしょう。





下の画像のシステムはMD46です。
MD49の姉妹機であり、ウェーブガイドホーン部は60°x40°の指向性を持ちます。
ホーン部を見比べると異なる形状を確認できます。

90°の指向性を持つホーンと60°のホーンを比較した場合、受持ちエリアに均一の音圧を提供できるかという点からは90°ホーンの方が設計が難しいです。
また、JBLがこの帯域でコーン型を採用しているのは許容入力の確保という意味もあるとは思いますが、ダイレクトラジエターのコーン型ウーファーとの音質の整合性という点もあると思います。
Midホーンの低域側は軸上のレスポンスが徐々に低下しているような特性のホーンの方がこの目的には沿う。
そういうことを考えていると90°ホーンに興味をもってしまいます。









2011/09/20

JBL Marquis Dance Club Series

2011年9月11日、新しいマーキス(マークゥィス)シリーズが発表されました。
機種は以下の通り。

MD1 ultrahigh-frequency module (2 x JBL Selenium ST400 super tweeters)

MD2 horn-loaded 8-inch mid-high-frequency module (2 x 2169H Differential Drive® mid-frequency transducers and one 2453H-SL compression driver, 90-degree horizontal coverage and up 20-degree and down 30-degree vertical coverage

MD3 horn-loaded low-frequency module (2 x 2265H Differential Drive lowfrequency transducers)

MD46 4-way quad-amplified full-range system (2 x 2265H 15-inch woofers, CMCD- 82H mid-frequency driver, 2432H compression driver and two ST400 super tweeters; 60 x 40-degree coverage pattern)

MD49 4-way quad-amplified full-range system (2 x 2265H 15-inch woofers, CMCD- 82H mid-frequency driver, 2432H compression driver and two ST400 super tweeters; 90 x 50-degree coverage pattern)

MD52 2-way full-range system (12-inch 262H Differential Drive woofer, 2408H-1 compression driver operating into a 90 x 50-degree Progressive Transition™ horn)

MD55 2-way full-range system (15-inch 265H Differential Drive woofer, 2408H-1 compression driver operating into a 90 x 50-degree Progressive Transition horn)

MD7 subwoofer (2 x 18-inch 2269H Differential Drive subwoofers with four- inch, dual-voice-coil, dual-gap Vented Gap Cooling drivers)






上の画像のシステムは、ツィーター部のMD1、ミッド及びハイ部のMD2、ホーンローディドウーハー部のMD3(2台)、サブウーファー部のMD7(2台)を組合わせたものです。
巨大な5ウェイ。
想定されているクロスは80Hz、300Hz、1.2kHz、8kHz。






ツィーター部のMD1はJBL Selenium ST400を2つ用いたもの。
許容入力が200Wもあります。
ST400の解説はこちらを。
セレニウム社とJBL社の関係はこちらを。

オーディオマニアもブランド名に惑わされるうちはまだまだ半人前。
オーディオ雑誌の読みすぎで聴いて判断することを放棄しているのが多すぎる。
例えば、デジチャンの場合、同じ機能なのに何故ベリがダメで高価なdbxがいいんだい?とのたもうた米国のPAレンタル屋の親爺。
さらっとこういうことが言えないとこの先は難しい。







ミッド及びハイ部はMD2
おぼえてるかな?Dance5と似たような構成です。
ミッド部のユニットは2169H、フェイズプラグなしでのダブルドライバー。

ハイ部は2453H-SLという新型コンプレッションドライバー。
1.5インチ径スナウトレススロート部、4インチ径ダイアフラム。
ただし、この2453H-SLのダイアフラムに関しては、ダンプド チタニウム ダイアフラム(damped titanium diaphragm)とか、ダンプド ラミネート ダイアフラム(damped laminate diaphragm)と説明されている。
樹脂フィルムをチタンダイアフラムにラミネートしたものではないだろうか。








MD3はディファレンシャルドライブの15インチコーン型ユニット、2265Hを2発備えています。
"horn-loaded"と記載されているだけなので、どのようなホーン形式なのか現在のところ不明。
なお、箱のサイズは1143x599.8x762.5mm、重さは76.2kg。

2265Hの画像を探してみたらここに掲載されていました。








サブウーファー部のMD7は2269Hをダブルで搭載。
最初、上の画像を見たときにはV字型バッフルだと思ったのですが、下の画像を見ると、2つの2269Hは平行面に向かい合わせに配置されているようです。
EV社のManifold Technologyと同じ考え方ですね。
パンフレットによるとこの構造は低歪率を目的にしたものだそうです。

2269Hについてはこちらを。