2004/03/20

幸せの黄色いホーン 40話 ケーブルのこと



使用しているスピーカーケーブル(ケーブルというには細すぎるのでコードということになると思います)は、太目の家庭用電気コードであるVFF2.0mmSQを使用しています。メインシステムでは3ウェイのユニット毎に配線していますのでトータルでは6.0mmSQということになります。長さはスピーカーユニット端子からアンプまで3m程度で足りるはずですが、ラックの移動等の使いやすさを考慮して4mほどの長さになっています。

また、メインシステムに使用しているSH-D1000に入力するための光ケーブルはSONY製の普及品、EP1500と222ESJに入力するためのピン/ピンケーブルは、SH-D1000になぜか2組も付属してきたものを使用しています。電子ピアノのシステムに使用しているのは、サウンドハウスで入手したHOSA社の安価なケーブル類です。

その昔、秋葉原で入手したかなり太いスピーカーケーブルや、モンスターケーブル社のスピーカーケーブルを奮発したことがあったのですが、音が変ったような、変らないような、という印象しか得られませんでした。VFF2.0mmSQとはそれ以来の付き合いです。ところでVFF2.0mmSQという規格は共通していてもメーカーによって一本一本の芯線の太さや数が違うようです。聴き比べをするほど勤勉ではないため安い方を購入することにしています。

音質のちがいではありませんが、光ケーブルで不思議な経験をしたことがあります。SH-D1000に現在使用している光ケーブルはL字型のプラグがついています。これをストレート型のプラグを備えた光ケーブルに交換すると、時々プチッというノイズを伴って音が途切れる現象がSH-D1000に出るのです。ストレート型プラグの方が優れているように思えるのですが、L字型だとこのような現象が全く生じません。どうしてでしょう?

インシュレーターの類も使用していません。レコードを聴いていたころは、プレーヤーのインシュレーターをあれこれ試しました。これは純粋にハウリングマージンを稼ぐためであり音質の改善というような意識は持っていませんでした。




そういうわけでケーブルやインシュレーター類には興味を持てないままでいます。業務用ユニットを使用したスピーカーを自作し、測定やイコライジング等の調整を行っているため、それだけで自分の意向(失敗も含めて)をオーディオ装置に反映することができるからかもしれません。

逆に、そういうことをしないのであれば、機材、ケーブル、ラック、インシュレーター類の交換が関心事になるのだな、というのが寺島靖国氏の「オーディオ快楽地獄めぐりガイド」という本を読んでの感想です。装置にかかわっているという満足感を彼はそういうふうにして獲得したということなのでしょう。

高能率型の大型スピーカーユニットや安価な業務用機材ばかりに関心を持つようになり、オーディオ雑誌の最近の評論家や編集者が考えているようなオーディオとは遠く離れてしまったようです。




2004/03/19

幸せの黄色いホーン 39話 初期調整



約9年間に渡り徐々に変化したメインシステムの満足度に点数をつけるとこんな具合になると思います。ちなみに100点が満足度100%になります。

1.2155HをA501により駆動(04話)  涙の30点
2.アンプを222ESJに変更(07話)      60点
3.さらにYSTを加えて低音を増強(09話)    80点
4.2360Aとマルチアンプ駆動の導入(24話)  120点
5.測定とEQ調整(25話と26話)        140点
6.低域用アンプをEP1500に変更(28話)   150点
7.ウーハ-部をローライダー18へ変更(38話)  180点

これ、結構真面目に採点したつもりです。やはり大型ホーンの導入、マルチアンプ駆動、18インチウーハ-の導入が大きかったです。また、測定とEQ調整は単なる調整手段というよりは、周波数レスポンスと実際の聴こえ方の関係を勉強する良い機会を提供してくれました。また、EQにより低域特性を補正できることを知ったためバスレフ箱の設計に対する考え方が変わりました。

本格的な調整はエージングが落ち着いた後ですが、とりあえず初期調整を行いました。現時点ではクロスオーバー周波数は高めの500Hz(18dB/oct)になっています。これはウーハーのエージングを進めるためです。とりあえずチャンネルデバイダーの設定はそのままにしておいて位相とEQの調整を行いました。

ところでウーハーとミッドのホーンとの位相調整は振動板の位置を合わせればよいというような単純なアプローチではうまくいかないようです。ホーンの種類によって聴感上の音源の位置(音像の位置ではありません)に差があるからです。

オーディオ彷徨の中で岩崎千明氏は以下のように書いておられます。
「今度は、ラジアルホーン(2350や2355)をここでやめ、金色のスラントプレートをもった例のHL89に替えてみた。この場合、音色はかなり変わり、まず中域がぐっとおとなしくなり、かなり控え目になってしまった。そのかわり、中高音が少々派手になってきた。ただここで注目したいのは、音の広がりが非常によくなり、首を左右に振ってみて、さらに左右各1mぐらいずつ、リスニングポジションを変えてもほとんど音像に変化はみられない。ただ、聴き込んでいくと、どうも音像に不自然さが感じられてきた。」

「これは、どうも中高音の音が、低音にくらべてイメージ音源として比較的前にきてしまうように聴こえるのが原因らしい。つまり中高音の音像が、4560の前面にできるのだ。にもかかわらず、低音のほうは、4560の中から後ろにかけて音源があるように聴こえる。この辺の違いが、どうも不自然さをかもしているようだ。フルバンドなどでは、この不自然さがそれほど感じられないのだが、単一楽器でのソロを聴くとそれが目立ってしまう。たとえば、バリトンサックスやテナーサックスなどを聴くと、演奏者の音像の前後の位置、奥行きなどが不確かになる。これは前の2350や2355では、ほとんど感じられなかった。」




2350や2355のようなラジアルホーンやマルチセルラホーン等では聴感上の音源がホーンの奥に位置します。このため、コンプレッションドライバーの位置をウーハーの振動板の位置にだいたい揃えれば聴感上の音源が一致し、また、12dB/octであれば逆相接続にして理屈上の調整はオシマイということになります。

ところが、ホーンレンズを装着したものでは聴感上の音源がホーンレンズの位置にあるため、ホーンレンズとウーハーの振動板の位置が揃うように配置すると、ウーハーのディレイが必要になります。逆に、ホーンレンズではなくドライバーの位置をウーハーの振動板に揃えてしまうと聴感上の音源の位置が揃わず、岩崎千明氏が指摘しているような問題が生じます。この場合ディレイをかけても問題は解決しません。

2360Aの聴感上の音源はベル部の奥にあるスリットの位置近傍にありホーンレンズ型と同じような問題があります。このためスリットとウーハーの振動板がだいたい揃うように2360Aを設置し、ウーハーのディレイはこのスリットからドライバーの振動板の位置までの距離である60cmに設定しています。

測定を行うと、定在波の影響と思われる80Hz付近の谷と2402H-05のコンデンサ容量を減らしたためと思われる高域端の落ち込みがありました。また、2360Aの特性である中高域のカマボコ型の盛り上がりもあります。これに応じて最低域のブースト、80Hzのブースト、カマボコ型を和らげる減衰、高域端のブーストを行い、それから250Hzから500Hzあたりを調整して音の豊かさ加減しました。2402H-05のコンデンサ容量は再調整が必要のようです。

その昔、大抵のアンプで音量に応じたラウドネスコントロールが可能でした。このSH-D1000ではそういう気楽なコントロールができず不便です。音量を絞っても低域の迫力が失われるということはないのですが、3つのメモリーには低域側3素子のブースト量を変えた3パターンを設定し時々聴き比べています。この手のデジタルチャンネルデバイダにもMIDIコントローラのように5個ぐらいのアサイナブルノブがあるといいな、なんて思っています。