モーゼルのクラシックデザインのワイングラス、ポープです。
11522は容量100cc、高さは163mm。
ちょうど100年前の1916年にデザインされ、教皇就任直後のピウス11世に1923年に献上したことが"Pope"の名の由来だそうです。
モーゼルお得意のディープエッチングとギルディングの鉢巻付。
このエッチングは、模様自体を凹状に表現するのではなく、模様の周辺を広く凹状にして模様を凸状に浮き上がるように表現する点に特徴があります。
11522は赤ワイン用のグラスです。
バカラのアルクール、103が同じ赤ワイン用。
アルクールは1825年にアルクール公爵の注文によって作られたもの。
ほぼ200年前のデザインなのに、実に素晴らしい。
バカラは鉛クリスタル、モーゼルはカリガラス。
バカラはシャープな透明感があり、モーゼルは水晶と同じ屈折率なのでやや柔らかい透明感。
バカラは酸化鉛を30%含んでいるため重量感があり、モーゼルはそういう重量感はない代わりに鉛の溶出の心配がない。
また、鉛クリスタルは薬品で表面仕上げを行うのに対し、カリガラスではそういうことができないので手作業での研磨で仕上げを行うそうです。
これが一番の違いのような。
バカラの手触りは滑らかなんだけど量産された工業製品って感じがします。
モーゼルは、昔の工芸ガラスの雰囲気がエッジの触り心地から伝わってきます。
鋭く、硬く、脆い。
これが妙にうれしいのです。
なにはともあれ、ずらっと並べると部屋がガラスの魔力に満たされます。