ラベル High-Quality Large Monitor Speakers の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル High-Quality Large Monitor Speakers の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025/01/07

DIY Horn Speaker System



如何だっただろうか久々のスピーカー談義は。
編集後記という訳ではないが、これに関連して現代のホームオーディオについても少し書いておこう。

米国では1950年代から60年代にかけてのオーディオブームが終わると、音楽はカーステレオで楽しむのが主流になった。
車は一人一台、毎日の通勤時に家族に気兼ねなく曲を選択し音量も自由にできる。
そのうちイヤホンやヘッドホンによる音楽鑑賞のスタイルが一般的になってゆき、ホームオーディオはこうした流れの中で衰退する。

ホームオーディオ業界が生き残りをかけてやっと見つけた道は、音場を重視したオーディオである。
"中央にボーカルがポッカリ浮かんで、左にベース右にギター、後方にはドラムが見えます、素敵でしょう"とオーディオ店の店員はオーディオに疎い客に対してしたり顔でアピールできる。
こういう営業トークはイヤホンやヘッドホンを日常的に使用している客には特に効果的だ。

音場系のシステムではスピーカーを部屋の壁面から離して配置するため、間接音の割合が多くなる。
間接音とひと口に言っても初期反射と残響音があり、これらは音の構成要素として非常に重要である。
"風呂場の美音"と簡単に片づけ馬鹿にする訳にはいかない。

ところで、エンジニアであった菅野沖彦氏がそういう音場系のシステムを聴いて"ピンク・フロイドからサン=サースまで終始一貫して印象が変わらない"と感想を述べたそうである。
これは誉め言葉なのか、それとも痛烈な批判なのか。
モンスターモニターはこのあたりのこともきちんと音で教えてくれるのである。




2025/01/06

DIY Horn Speaker System



DIY Horn Speakerは黄色いホーンシステムに比べると小型である。
このため同じ土俵で黄色に立ち向かうことは、DIY Horn Speakerの規模では無理である。
それもあって、黄色とは異なる方向、つまり異なる山頂を目指しているのである。
まあ、小型とは言っても壁面に埋め込む必要はないぐらいバッフル面積は広いし、ホーンキャラクターが無いこともラージモニター系の頂点を目指す動機の一つになっている。

7ウェイマルチアンプのモンスターモニターをここまでの音に押し上げたのは、1990年代後半から始まった業務用スピーカー界におけるDSP革命の恩恵を受けることができた、ということが大きいと思う。
このプロ用DSPは"スピーカーユニットの能力を最大限引き出すため"には必須の技術要素である。
タイムアラインメントをオートでできるようになったというのはその最たるものだ。
レーザ測距し距離を手入力していたが、DCX2496のオートアラインを実行すると全てのピントがシャープに合ったように激変した。
複雑怪奇な自作スピーカーの完成度が市販スピーカーのそれを楽々と超えてみせたのである。

また、オートアライン以外にも、DEQ2496のオートGEQや10素子を操れるPEQ、DCX2496の0.1dBステップのレベル調整、入力側のPEQや帯域分割後の帯域別PEQなども非常に効果的であった。
DCX2496やDEQ2496などのベリンガー製品は、ともかく使い方が難解で取説を読んでも理解が難しいことがままある。
しかし、諦めずになんとかモノにしてゆくと音質劣化を伴わない精密なデジタルコントロール技術による新たな地平が手に入る。

まあ、こうして途方もない7ウェイマルチアンプシステムをビシッとまとめることができた。
ここまで来れた、だから、これからも先も努力を続けてゆこう。




2025/01/05

DIY Horn Speaker System



ラージモニターは、録音ブースでの突発的な過大入力によっても故障しない耐入力が必要である。
15インチダブルならそうそうウーファーが飛ぶこともなかろう。
また、ダイナミックレンジが広大である点も、同様に評価できる点であろう。
さらに、大口径ウーファーは空気感の再現に優れており、この能力に欠ける12インチ以下の小口径ウーファーは聴いていてつまらない。
演奏の迫真性、音楽の躍動感において重要な要素だと思う。

ラージモニターは、スイートスポットが広いという利点がある。
ミックスダウンではスモールモニターを使用するのが普通だが、映画音楽など多人数の聴衆を前提とする音楽の場合、ラージモニターがミックスダウンで使用される。
スイートスポットが広いというのは音楽制作現場であるスタジオでミュージシャンが仲間と音楽を検討する際にも重宝する。
厳密に中央に座らないと音の共通認識を得られないというのでは困るのである。

どうだろう、ラージモニターについての理解は深まっただろうか。
俺にとってのスピーカーって何よ、という問いに対して、生音の再現という点でラージモニターはかなり近いものを持っているように思う。




2025/01/04

DIY Horn Speaker System



ラージモニターは録音スタジオのミキサー室の壁面に埋め込まれている。
何をするためのスピーカーかというと、録音ブースでマイクがひろった生音をそのまま再生するためにある。
とりあえず、それが主目的である。

壁面に埋め込まれている理由は、デカくて邪魔になるとか、エンジニアが足を引っかけて転倒するのを防止するため、ではない。
スピーカーのバッフル面を壁で囲い、スピーカーの背面側に音が回り込まないようするためである。
スピーカーの背面に回り込んだ音がさらに前面に割り込んできて、スピーカーユニットから直接放射された音波に干渉しないようにするためである。
間接音で音が濁らないようにしている訳だ。

ミキサー室はライブじゃなくてデッドな環境であり、また、比較的狭く設計されている。
残響時間が長くなるを避けるためである。
また、ラージモニターが配置されている壁面はミキサー卓のすぐ向こう側にある。
スピーカーのサイズやモニター時の音量を勘案すると、信じられないぐらいニアフィールドの配置となっているのである。

要するにラージモニターの再生音が、間接音に邪魔されず正確に聴き取ることができるように、全ての環境が整えられているのである。
間接音の多い環境では変化による差異が分かりづらくなり、音の選択に自信が持てなくなる。
プロアマを問わず、オーディオの基本にかかわることである。




2025/01/03

DIY Horn Speaker System



ラージモニターにはやっぱり4インチダイアフラムのコンプレッションドライバーは必須だろう。
ホーン部には15インチダブルを振り回す腕力がないと音がまとまらない。
具体的には、全帯域のなかに弱い帯域があってはダメなのである。
全ての帯域のエネルギー感が揃っていて初めて生音の再現ができる。
スピーカーシステムのユニット構成というか選択はこうした観点から行わなければならない。

コンプレッションドライバーの優れている点は、その変換効率の高さである。
フェーズプラグとの間の狭い空間の空気をダイアフラムで叩く。
逃げ場のない空気にエネルギーがばっちり伝達される訳である。
これがドーム型とかその他のダイレクトラジエタータイプのユニットだと、ダイアフラム周囲の空気は自由な状態であり、これでは十分にエネルギーが伝わらない。

変換効率が低いことは、エネルギー感に満ちた音を提供できないという問題にとどまらない。
振動板の非常に微弱な振動が空気に十分に伝達されないということは、音のニュアンスを再現できない。
家庭内における音量では15インチダブルを振り回すことができるかどうかという問題よりも深刻である。

さらに指向性制御という問題もある。
ドーム型等は高域になるにつれ指向性が狭まりビーム状の音圧分布になる。
未だに解決されていない大問題なのだが、解決の糸口さえも見つからないので長年放置されたままである。
残念ながら真正面から取り組むメーカーは未だにあらわれない。
一方、ホーンでは指向性制御技術が大変な努力の末に確立されている。
一般のオーディオマニアはもはや体験する機会が無いだろうが、現代的なホーンの完成度は驚異的なレベルにあることは確かである。




2025/01/02

DIY Horn Speaker System



新春巻頭特別企画"ラージモニタースピーカーのすべて"全5回シリーズ発進!!!!!
さあ、盛り上がってまいりました。

昨年秋にDIY Horn SystemのベリンガーのDEQ2496を交換した際に再セッティングを行い、それ以来大変調子が良い。
クラシック以外は低音の2素子のQを絞り(63.2Hzと89.3Hzを共に1/3oct)、痛快かつ豪快、うーむ、実に生々しい。
気分も実に晴れ晴れとし、オーディオをやっていて良かったと思えるのである。

そこで、DIY Horn Systemについてちょっと語ってみよう。
このシステム、以前少し触れたように録音スタジオのラージモニターとして育ててきたのである。
音楽制作の現場で使用される業務用大型スピーカーシステムを意識している訳である。

DIY Horn SystemのホーンにはJBL Professional M2のホーンスロート部分の形状を取り入れた。
JBL Professionalのモニタースピーカーは、かって録音スタジオのモニタースピーカーとして一世を風靡した。
現代のM2も一定の成功を収めているようであり、その証拠にM2に追随する他社製品もあらわれている。


さて、ラージモニターというからには、ある程度のサイズが必要となる。
4350/4355や木下モニター7は、そうしたラージモニターの代表格であろう。
ここでは、誠に勝手ながら15インチダブル以上をラージモニターとして取り扱う。
理由は特にはないが、黄色いホーンシステムのような巨大システムと日常的に向かい合っていると、この15インチダブルというのは最低ラインなのである。
最低というのはサイズ的なものもあるが、DIY Horn Systemは7ウェイマルチアンプシステムなので4ウェイ程度では全然ものたりないのが本音だ。
いつのころだったのか、最小限で済ませようとする態度に背を向けて、最大限を引き出そうとする道を一人歩き出したのである。