2004/09/11

セブンのお話 11話 ファーストインプレッション(3)

 

1万kmほど走ったので走りの印象を750iLと対比しながら書いてみようと思います。下の画像は2013年1月ごろに富士山の水ヶ塚駐車場で撮影しました。




750iLのサスペンションは基本的に柔らかめです。リバウンド側のストロークを多めにとって姿勢変化を抑えているかのような印象です。
さらに車高やドライバーズシートの着座位置が低めなので車体と一体感のある乗り心地を味わえました。

これに対し760Liのサスペンションは硬めです。このようなセッティングならば750iLよりもスポーティな雰囲気になるところですが、車高や着座位置が高めであるためスポーティな印象は薄いのです。
このため760Liでは、ドライバーズシートに乗り込んだ直後には大型セダンだなぁという印象を持ちますが、街乗りなどでは期待しているような鷹揚な乗り心地は味わえないというチグハグな印象になってしまいます。

もちろん高速道路等で速度が上がってくるとこのチグハグな印象はなくなってきます。
750iLよりもサスペンションの設定速度域が高く、そうした場面でのスタビリティを重視して760Liが開発されたことが理解できます。
さらに760LiではARS(アクティブ・ロール・スタビライザー)を搭載しており、峠道等のロールもよく抑え込まれています。
これはスタビライザーを中央付近で分割し、その間を油圧スイベルモーターで接続した構造を備え、車体がロールしようとすると、この油圧スイベルモーターによってロールとは逆方向へスタビライザーを捻ってロールを抑える(CG誌2002年10月号テクニカルレポートより)というものだそうです。
実際にワインディングロードを駆け抜けてみると非常にスポーティです。
ロールによるレスポンスの遅れが小さく、アクセルペダルの踏み込み量に対して車体を前に押出す力がリニアに増大します。
750iLでも峠道は楽しめましたが、760Liは6Lエンジンの猛烈なトルクも相まってかなり楽しいです。

そのエンジンのフィーリングですが、これは750iLの夢のようなスムーズさに比べると760Liのエンジンはちょっと荒い感じがします。
CG誌でも同じような指摘がありました。
750iLのM73B54はV12というエンジン形式に対する期待を裏切りません。
一方、760LiのN73B60は戦闘的な雰囲気がそこはかとなく漂い、滑らかなフィーリングは二の次としているような印象です。




760LiのN73B60はALPINA B12 6.0とほぼ同等の性能です。
また、ロールスロイスファントムに搭載されているエンジンはN73B60のボアストロークを拡大し6749ccとしたN73B67です。
B12 6.0やファントムのエンジンフィーリングはどんなものなのか想像もつきませんが、V12と一口に言っても様々な個性があるのではなかろうかと思っています。




各車のエンジンのスペックを比較してみるとこんな感じです。

M73B54(750iL E38)
5379cc
SOHC2valves
85.0x79.0
10.0:1
325ps/5000
49.9kgm/3900rpm

ALPINA B12 6.0
5980cc
SOHC2valves
86.4x85.0
10.25:1
440ps/5400rpm
61.2kgm/4200rpm

N73B60(760Li E66)
DOHC4valves
5972cc
89.0x80.0
11.3:1
445ps/6000rpm
61.2kgm/3950rpm

N73B67(Rolls-Royce Phantom)
DOHC4valves
6749cc
92.0x84.6mm
11.0:1
460ps/5350rpm
73.4kgm/3500rpm


総じて750iLは女性的、760Liは男性的な性質を感じます。
どちらも個性的であり素晴らしい車だと思います。

(2013/9/25)




2004/09/10

セブンのお話 10話 ファーストインプレッション(2)



760Liの引き渡しを受けたとき、「最初はアクセルもブレーキもそっと操作してください。凄いですから。」と言われました。少し慣れてきたので60km/hぐらいからアクセルペダルを少し踏み込んでみました。猛烈というより強烈な加速。750iLとは比較になりません。助手席にいた妻と顔を見合わせてしまいました。760Liの0-100km/hは5.6秒なので、750iLの6.6秒よりも1秒速いだけですが、加速感はそれ以上の差を感じます。E66 760Liがデビューした2002年当時のスポーツカーと比較してみると…

BMW 760Li
V型12気筒DOHC4バルブ
最高出力  445ps/6000rpm
最大トルク 61.2kg-m/3950rpm
排気量   5972cc

フェラーリ 550 マラネロ
V型12気筒DOHC4バルブ
最高出力  485ps/7000rpm
最大トルク 57.0kgm/5000rpm
排気量   5473cc

ランボルギーニ ムルシエラゴ
V型12気筒DOHC4バルブ
最高出力  580ps/7500rpm
最大トルク 66.3kgm/5400rpm
排気量   6193cc

ポルシェ 911 ターボ
水冷水平対向6気筒DOHC4バルブツインターボ
最高出力  420ps/5700rpm
最大トルク 57.1kgm/2700~4600rpm
排気量   3600cc


Lamborghini Murcielago


さらに過去のスーパーカーと比べてみると…

フェラーリ F40
V型8気筒DOHC4バルブツインターボ
最高出力  478ps(352kW)/7000rpm
最大トルク 58.8kgm/4000rpm
排気量   2936cc

ポルシェ 959
水冷(ヘッドのみ)水平対向6気筒DOHC4バルブツインターボ
最高出力  450ps/6500rpm
最大トルク 51kgm/5500rpm
排気量   2847cc


Ferrari F40


もちろん上記のスポーツカーの車両重量は軽く、0-100km/hのような測定値では直接比較できるようなものではありません。しかし、セダンとしてのフラットなトルク特性(760Liは1500~6000rpmの範囲で51kg-m以上)を実現しつつ、スーパーカーのエンジンと比肩しうるピークパワーを発生するというのは立派です。

(2012/12/24)




 

2004/09/09

セブンのお話 09話 ファーストインプレッション(1)



2012年12月20日、E66 760Liが大阪からやってきました。Goo-netの中古車検索で見つけ電話で発注したので実物を見るのは納車のときが初めてです。もっともBMW認定中古車であるため、近所のBMWディーラーで1年間(20000km以内)の保証を受けられます。認定中古車は割高だと言われていますが、今回の760Liはかなり安かったように思います。バス通りでキャリアカーから降ろされた760Liの外観はなかなか迫力がありました。750iLよりもかなり大きく見えます。サイズ等を比べてみると以下のとおりです。

760Li 全長5170mm、全幅1900mm、全高1490mm、ホイールベース3130mm、車両重量2220kg
750iL 全長5125mm、全幅1860mm、全高1425mm、ホイールベース3070mm、車両重量2020kg

750iLよりも大きく見えるのは全高が高いせいだと思います。もっとも750iLの全高1425mmというサイズはこの手のセダンでは低い方であり、ポルシェパナメーラの1420mm、マセラティのクアトロポルテの1430mmと同等です。


Porsche Panamera


Maserati Quattroporte

760Liの緑色はダークグリーンメタリック。750iLの緑色はオックスフォードグリーン。760Liの方が暗い色であり青味がかっています。また、この車はオプションのクライメートコンフォートガラス(赤外線反射合わせガラス)を装備しておりガラス全面が薄暗い感じです。このため車体色を含めた全体の印象が落ち着いた雰囲気、を若干通り越しややあやしい雰囲気?になっています。

ドアは比較的軽く開きます。750iLではドアが重く母などは車体が傾いていると開けることができないこともありました。合わせガラスですしドア自体も異常にがっちりした造りでした。おそらく760Liのドアは750iLのドアを上回る重さになってしまったため、BMWは軽く開閉できる機構を組み込んだのでしょう。なお、この4枚の全てのドアは任意の位置で止まる無段階ドアストッパーを備え、また最後の6mmを電動で引き込むソフトクローズドアになっています。また、750iLではトランクリッドがソフトクローズタイプでしたが、760Liでは電動開閉式になりました。




車内に入りドライバーズシートに座ると、車内の雰囲気は750iLよりもうんと高級感があります。インテリアは隅々まで丁寧に造り込まれており、モダン調なのに重厚な雰囲気。光沢のあるウォールナットのウッドトリムにごく小さな象嵌が施されているのが気に入りました。この車はオプションのベンチレーションシート(全席)が装着されており、このため表皮はナツカレザー(色はナチュラルブラウン/U6NB)になっています。シートは張りがあり、すわり心地はやや固め。それからシートヒーターは座面だけではなく背もたれの部分も暖かくなります。前席ではこの座面と背もたれの温度配分をiDriveにより調整することさえできます。ステアリングヒーターも装着されています。

E65、E66がデビューした当時、iDriveをはじめとする操作系に対し、車雑誌の評論家諸氏は使いにくいと書き立てました。しかし、これは針小棒大ではないかと。実際に使用してみると使いやすく問題があるとは思えません。それに現在ではiDriveのような操作系は一般的になっています。

(2012/12/24)






 

2004/09/08

セブンのお話 08話 緑色かどうかは重要なのか?

 

次の車を何にしようかと考えるのは楽しいことです。750iLが素晴らしかったのですっかり中古外車のファンに、というか、車の雑誌を読まないせいか最近の国産車は名前さえ知らないですし、さらに新車価格は妙に高くなっていて手が届きません。という訳で国産の新車は考えませんでした。

7年~8年落ちで値頃感のあるBMWの7シリーズ(E65、E66)、ジャガーのXJ(X350)、メルセデスベンツのCLS(W219)などが候補です。CLSはジャガー風味でスタイルがいいです。750iL(E38)もジャガーを参考にデザインしたそうなのでこういうのが好みなのかもしれません。


Jaguar XJ


Mercedes Benz CLS

7シリーズでは750i(E65)を考えていました。搭載している4798ccのV8エンジン(N62B48B)はバルブトロニック(吸気バルブのリフト量を可変させてスロットルバタフライバルブの代わりをさせる)、吸排気可変バルブタイミング(ダブルVANOSと呼ばれている)、筒内への燃料の直接噴射、吸気マニフォールド長の連続可変システムなどを備えており、ベースになったN62B44は2002年、4L以上の部門でのインターナショナルエンジンオブザイヤーを受賞しています。750iと今まで乗っていた750iLを比較すると

750i  4798cc、367ps/6300rpm、50.0kg-m/3400rpm、車両重量2040kg、ホイールベース2990mm
750iL 5379cc、325ps/5000rpm、49.9kg-m/3900rpm、車両重量2020kg、ホイールベース3070mm

う~ん、新しいV8の方が排気量が小さいのにパワーがあります。一方、車両重量は同じぐらい。ちなみに750iの0-100km/hのメーカー発表値は5.9秒、750iLは6.6秒。トランスミッションは、750iが6速、750iLは5速であるため、おそらく2速までしか使わないこの測定項目ならクロスしている方が有利かと。もっとも、最高出力は750iの方が高回転域で発生しているため、たとえば5000rpmで比較すると似たような馬力値になるのではないかと。まあ、実際の使用状況においてはそんなに差はないのではないかと…  こんな具合にいろいろと考えてはみるもののV8には今ひとつ乗る気になりません。


BMW 750i

上記の750iのほかに760Li(E66)も考えていました。750iLの5400cc V12は大きなバルブを大きく開けて、という古い設計のエンジンでしたが、この760Liの6000cc V12は、DOHC4バルブ、バルブトロニック、ダブルVANOS、筒内への燃料の直接噴射を行う現代的エンジン。魅力的です。しかし、760Liは中古車の台数が非常に少ないのです。安価で程度の良いものは難しいだろうと諦めていました。

さらに760Liにはもうひとつ問題が。社用車が多いためか車体色は黒や銀がほとんどです。内装もブラックレザーばかりなり。妻や母は緑(ディープグリーンメタリック)か赤(バーベラレッド)がいいとのたまう。緑色ならあるかもしれないけど、赤い760Liって… さらに、内装色はベージュがいいとのこと。それからシートヒーターがないとダメなんだそうで…


BMW 760Li

あれこれ考えるのがめんどうになってきて750iに決めてしまおうかなどと思っていたところ、ヨハネスさんが新車同様のダブルシックスを入手されたことを聞きます。うん、やっぱりV12がいい、とネットで全国を対象に検索。結局、大阪のBMWディーラーからBMW認定中古車の760Li(E66後期型)を購入しました。初度登録2005年11月、走行43400km、右ハンドル、ディーラー車、車検2年付きというもの。決定打は車体色が緑色で内装色がナチュラルブラウンだったこと。やれやれです。ちなみに車両価格は280万円(整備費、保証込み)、支払総額は311万円でした。

(2012/12/20)








2004/09/07

セブンのお話 07話 君のこと忘れない



2012年12月19日、750iLとさよならの時がきました。2005年11月25日の納車から7年、オドメーターは94000kmとなりました。購入時は45000kmでしたから49000km走ったことになります。購入当初は3年程度もってくれればいいと思っていたので7年間も乗るとは思いませんでした。車検1年付きを3回車検に通し、その3回目の車検が切れるのが12月20日。その前日まで乗っていました。




7年間、エンジン、トランスミッション、オートレベライザーという主要部分にトラブルはありませんでした。エンジンは乗れば乗るほどあたりがついていったような気がします。1995年製なので17年も経っているのにいまだに全体がしっかりしています。
3回目の車検では走行に支障がない箇所(天井の布張りの剥がれ等)については手を入れず最低限の費用で済ませました。車検の際にバッテリーも交換したほうが良いとアドバイスされたのですが、750iLは大型のバッテリーを2個も搭載しており交換費用も馬鹿にならないのでそのままにしておきました。結局、バッテリーはもちました。
左側のストップランプが点灯したりしなかったりというクセがあり、車検の際に修理してもらったのですが、その後、すぐに再発しました。BMWは修理しても直らないというのは本当です。




最後の1年、ウォッシャー液が出なくなったりしましたがこれも修理せず。ポンプの作動音はするのでおそらくパイプかタンクに穴があいたのでしょう。ステアリングオイルの漏れも持病です。対処法はオイルを注ぎ足すだけ。そのほか助手席と右後席のドアロックが時々作動不良になりました。これもそのまま。オイル交換は車検ごと。こんな具合ですからメンテナンス費用はほとんどかかりませんでした。
なお、無理な運転はしていません。据え切り、フルロックは厳禁、暖機は十分に行っていました。急発進など駆動系に過大な負担がかかるようなこともしていません。




車を停めていると年配の方から話しかけられることが結構ありました。そのときに必ず話題になるのが燃費のこと。オンボードコンピューターによると49000kmの平均燃費は7.3km/L(カタログ値6.4km/L)でした。以前乗っていた日産セフィーロ(750iLと同じ95年製のV6 1995cc)の燃費が10km/L(カタログ値11.6km/L)。49000kmを走るのに必要な燃料費を750iLとセフィーロで比較してみると、750iLが104万410円(ハイオク155円/L)、セフィーロが71万500円(レギュラー145円/L)。差額は33万円、7年間だと毎月3900円ぐらい。
平均車速は37.3km/hでした。都心の渋滞を這いずり回ることが多いのでこんなものでしょうか。平均車速で49000kmを割ってみると1314時間乗っていたことが分かります。日数にすると55日間。




高速を流していると本当に気持ちがいいです。V型12気筒の緻密な感触とEDC(電子制御ダンパー)よる乗り心地に陶然としてしまいます。一方、峠道も実に楽しい。軽快にステップを踏むようにワインディングロードを駆け抜けます。カーグラフィック誌の1995年9月号の750iLのインプレッション記事には、「飛ばすと高まる一体感の不思議」としてこんなことが書いてあります。「たとえば交通量の少ない夜の首都高速を走るだけでも、750iLがただのプレスティッジサルーンとはわけが違うことがよくわかる。本来遠く離れた位置で路面を蹴たてているはずの後輪が、あたかも背中のすぐ後ろでグリップしているように感じられるのだ。しかも前述したようにエンジンとスロットルペダルの緊密な関係はいついかなる時も失われないから、まるでふたまわりも小さい車を操っているかの如き一体感とともに、自信を持ってコーナーに飛び込んでいける。しかも飛ばせば飛ばすほどこの一体感が高まっていくから不思議だ。」多少大袈裟ですが、750iLの特長をうまく表現できていると思います。この記事に付け加えるとするならば、それはふたまわりも小さい車では到底望めない重厚な乗り味を持っていることと、BMWのフラッグシップならではの精密なハンドリングを楽しめるということでしょう。

流していても飛ばしていても面白い、というわけで750iLは素晴らしい車でした。メンテナンスをほとんどしなかったのでマニアとはとても言えませんが、車道楽の楽しさがちょっぴり分かったような気がしました。

(2012/12/19)





2004/09/06

セブンのお話 06話 BMW V12エンジンの血統

 

乗っている750iLの形式はE38です。この12気筒エンジンについて調べてみました。E38のエンジンはM73と呼ばれています。1994年から製造されており、ボアストロークが85mmX79mm、気筒当たり448.25ccの5379cc。SOHC2バルブ、圧縮比10:1、240kW(326PS)5000rpm、490Nm(50mkg)3900rpm。このM73は先代E32の12気筒エンジンであるM70エンジン(4988cc、ボアストローク84mmX75mm)を拡大し圧縮比8.8:1を高めたもの。


M73

WikiによるとM70を搭載したE32の750i/iLは第二次大戦後のドイツ車で初のV型12気筒エンジン搭載車だそうです。そしてM70は1987年から1994年まで製造されています。1989年からは8シリーズの850iにも搭載されます。


M8

さらに1990年にはM70をベースにそのスポーツバージョンであるS70/1が開発され、M8プロトタイプに搭載されます。このS70/1の詳細なスペックは公表されていませんが、排気量は約6Lに拡大され、410kW(558PS)という高出力でした。4バルブだったのか、DOHCだったのかは不明です。このM8は1台のみが製作されただけでお蔵入りとなりますが、エンジンはディチューンされS70(5576cc、86mmX80mm、381ps、56.1mkg)として850csiに搭載されることになります。850csiは1992年秋のパリショーで発表されています。


マクラーレンF1

S70/1はS70/2に発展し、あのマクラーレンF1に搭載されることになります。このS70/2は6064cc、DOHC4バルブ、Double VANOS、86mmX87mm、627PS、66.3mkgという怪物エンジンであり、もはやM70と共通するパーツは一つもありません。マクラーレンF1をレース用に再設計したマクラーレンF1GTRは1995年のルマン24時間レースで1位、3位、4位となっています。


エンゾフェラーリ

なお、フェラーリのエンゾフェラーリ(F60)のF140エンジンはこのマクラーレンF1のS70/2をターゲットとして開発されたと言われています。


BMW V12 LMR

S70/2エンジンは、さらにBMW V12 LMRに搭載され1999年のルマン24時間レースでまたもや勝者となっています。このときの2位はトヨタGT-One TS020でした。


TS020

このようにS70/2はモータースポーツ部門で成功しますが、同じくM70をルーツとするM73はどうかというと1999年度のInternational Engine of the Year(4L以上の部門)を受賞しており、1998年にはロールスロイスのシルヴァーセラフに搭載されることになります。


シルヴァーセラフ

(2012/7/1)





2004/09/05

セブンのお話 05話 車検



車検が終わりました。整備内容は、FRディスクパット交換、Fディスクローター研磨、マイクロフィルター交換などでした。それからスピードメーターの下にある液晶表示のドット抜けがひどいので修理をお願いしました。

法定費用と液晶の修理費用(3万円)も含め全部で27万7千円。外車を乗り継いでいる友人に聞いてみるとこれでフツーなのだそうです。うーむ。こういうときはロールスロイスのシルバーセラフやパークウォード、それからマクラーレンF1の遠い親戚だと思えば諦めもつく?





この1年で約8千キロを走行。トラブルと言えば高速道路の走行中に跳ね石をもらってしまいフロントガラスの補修費用が1万4千円だけです。車検までオイル交換さえもしませんでした。

それ以外には、乗り始めたころに回転を落とし気味に走っていたところ、アイドリングするとボン、ボン、と咳き込むような排気音が聞かれるようになり、これはカブっているのでは?と思って、普通に走るようにしたらこの症状はすぐに出なくなりました。なんとなく低回転時のガスが濃いように思います。オーバーヒート対策?

そのオーバーヒートは夏の渋滞に巻き込まれたときに一度だけ経験しました。車載コンピューターにより自動的に2速か3速に固定状態となりましたが、翌日エンジンをかけてみると正常に戻っていました。

平均燃費は6.7km/Lです。回転を上げて走っても変わりません。当初3kmぐらいだよ、などと脅かされていたのでホッとしてます。しかし、ハイオク指定ですし、今年(2006年)はガソリンが異常に値上がりしたため、セフィーロ(レギュラーで10km弱)に比べるとかなり割高。

なにはともあれ、大きな故障がないまま最初の1年を乗り切ることができました。




2004/09/04

セブンのお話 04話 大当たりの車

 

お世話になっている先輩に見せたところ、これからこの車で場外馬券場に乗り付けて馬券を買おう、そういうのが似合うぞとおっしゃる。そしてリアシートにお座りになると「新車みたいじゃないの」「冗談で買うなら最高の車だね」「おい、足が組めるぞ」などとおっしゃる。そのとき購入された馬券はなんと500倍だったそうで「これは幸運を呼び込む車だね」とほめられました。

と、そこまでは良かったのですが、2005年のクリスマスイブに事故まで頂戴してしまいました。免許をとって26年間無事故だったのに。事故の原因は高齢者特有のうっかり運転。

安全確認さえもお忘れになられたジイサマ運転のトヨタヴィツ号が右側の脇道から元気よく飛び出してきて渋滞に並びながら徐行、というよりほぼ停止しているような状態の750iLの右前方にぶつかりました。右フロントフェンダーをへこませ、続いてバンパー右側を打ち抜くように駆け抜けるという荒業。お一人で勝手に勝負されていたようです。こちらの損害はフロントフェンダーやバンパーの交換等で64万円。




ジイサマがいけないのは明らかなのですが、ジイサマが放った保険屋がしぶとくて弱りました。結局、ジイサマの過失95%とジイサマの攻撃機ヴィツ号の損害は負担しないという奇妙な示談となりました。あとで気づいたのですが、5%単位で過失認定できるなら1%でもいいんじゃない、と交渉を粘るべきでした。




2004/09/03

セブンのお話 03話 ファーストインプレッション

 

納車整備ではエンジンオイルやオイルフィルターの交換の他、ラジエターのチェックバルブの交換、4本のラジエターホースの交換、ヘッドライトウォッシャーパイプの交換などを行ったそうです。無料でしたが10万円程度の整備内容だそうです。エンジンの熱が凄いのでエンジンルーム内のゴム製部品の劣化が早いのだとか。それからETCユニットの取り付けもお願いしました。

購入以前は知らなかったのですが、ネットで調べてみるとセブンシリーズの故障の話がでてきます。よく壊れるのですか?とお店の方に尋ねてみると、E32は酷かったですけどE38はそんなに故障しませんよとのことでした。この話、信じたいものです・・・ ともあれ2005年11月25日にめでたく納車。

早速、ピカピカに磨き上げられた750iLでドライブしてみました。フォーンという滑らかなエンジン音で加速してゆきます。シフトショックは上り坂での発進以外にはほとんど分かりません。高速道路では信じられないぐらい安定しています。これは気持ちがいい。ちなみに100km/hは1700回転。

さらに回転を上げてゆくと本性を現します。大排気量なのにトルクで押し出すタイプではなく高回転で回りたがる。一般道でも100km/hのドイツに合わせたバルブタイミングのせいなのかな。50~60km/hからベタ踏みしてみると昔のナナハン並みの加速が味わえます。

コーナリングはフワフワ煽られることもなく路面に張り付いています。DSC(Dynamic Stability Control)はオートバイのリアブレーキを引きずるような感じでコーナー内側へ車体を引き戻すように働きます。どういう仕組みになっているんだろ?

この車、走ると面白いのですがデザインはいまいち。同世代の3シリーズ等と見分けがつかず個性が感じられません。また大排気量を誇れる時代でもないでしょう。ま、こういう地味で時代遅れの方がのんびり付き合えるかもしれません。




2004/09/02

セブンのお話 02話 みんなでお店に行こう!

 

子供まで連れて家族でぞろぞろとその店に行ってみると、ありましたね750iL。ヘコミや傷もなくとても綺麗です。リアドアのゴム製レインモールがボロボロになっている以外は外観の状態が非常に良いので驚きました。それなら車内の本皮シートはあちこち破けているのだろうと思い覗いてみると、これがまた汚れもなく素晴らしい状態。家族も感心しています。

今回は見るだけにしておこうと思っていたのですが、整備記録もしっかりしておりフルノーマルです。車検も1年ちょっと残っています。これはいいかも、と思うようになりました。このお店の在庫はBMWだらけ。整備にも自信がありそうです。

試乗です。もちろん家族も乗り込みました。わおっ、電動シート!ではないかと極めて低レベルでの感動を味わいながら発進。

240kgのエンジンが収まっているのに回頭性は良好。車も小さく感じます。助手席のお店の方は、いつまでたってもお店に戻ろうとしないので延々と試乗することになりました。そしてこの前の型(E32)の7シリーズに乗り継いでいますと嬉しそうに色々な話をしてくれました。

というわけで値切りもせずあっさり契約成立。車検まで1年あるものの走行6万5千kmのセフィーロ号は査定ゼロでした。長い間よく頑張ってくれたのでさみしい気持ちですが、でもまあいいです。同じ年式の1320万円の車が結局はこういうお値段にしかならないのですから。

こうして一生ご縁はないだろうと思っていたスーパーリムジンと付き合うことになりました。家族会議から7日目、BMWの7シリーズに興味を持って3日目のことでした。



2004/09/01

セブンのお話 01話 緑色かどうかが重要なのだ

 

初めて購入した車は95年式FFセフィーロ号。2000エクシモという安価なタイプ。これを新車から実質8年(途中渡米していたため)乗りました。かなりみすぼらしくなってしまったので、そろそろ考えたら?と家族会議が開かれ、新しい車を探すことになりました。

自動車は嫌いではないのですが、好きになるには金がいる、そんなお金があるなら他のことがしたい、と思う方です。仕方なくネットで中古車を探してみると上出来のトヨタのプロナードをあっさり発見。3000ccの大型FFセダンで本皮シートとサンルーフ付き。セフィーロと同じ銀色です。

これで決まりだねと早速ご報告。すると妻は一言「面白くない」、同居の母は「聞いたことがない車はちょっと」とにべもない。そういうことなら外車しかないな、と再びネットで調べてみるとジャガーのXJやBMWのセブンシリーズが安価であることが分かってきました。

XJはちょっと荷が重そうなのでBMWに絞ると、95年式750iL(E38)、走行4万5千km、右ハンドル、ディーラー車、緑色で本皮シートはベージュというのが目にとまりました。3mのロングホイールベース、5400ccのV型12気筒というお化け。お値段は新車価格の8分の1。



掲載されていた画像

こんなのどうだろうと750iLの画像を妻に見せると、色が素敵だと非常に興味を示します。うーむ、緑色だと「面白い車」というわけなのですか・・・ 翌日の11月3日は休日ですので、ちょっと見てみようかということになりました。母のほうは「BMWなら知っている、私も見てみたい」と言います。それから「私はジャガーに乗せてもらったことがある。ジャガーは二人乗りだから子供と私が乗れないのでダメだ」そうです。