2004/07/04

幸せの黄色いホーン 104話 AVC-3890



ヨハネスさんがいらっしゃった時のこと。緊張しながら客観的な立場?で聴いてみると、白ホーンシステムの高域がなんとなく妙です。それから数日経つと、この「妙な感じ」が「異常な感じ」に発展、緊急対策本部を設置し対応を協議することになりました。AVアンプやDCX2496というクセ者達の仕業か?と予想したのですが、彼らは全員シロ。安価だからという理由だけで疑ってはいけない。犯人は左側の291-16Kの磁気ギャップに付着していた小さなゴミ。

磁気ギャップのお掃除は初めての経験。ネットで調べてみると、ドライバーの先端が磁石に吸い寄せられてダイアフラムに衝突、こんなことなら何にもしなければ良かったのにね、という結末を迎えることがあるそうです。という訳で、おっかなびっくりダイアフラムを取外し、磁気ギャップのゴミを葉書に沿わせた粘着テープにくっつけよろよろと除去します。それから、もう一度おっかなびっくりダイアフラムを取付け、ようやく作業終了。どきどきしながら音を出してみると、おおっ、雑音が完治したね、神の手だね、ブラックジャックだねっ!と喜んだのもつかの間、1分ほどであの異常な感じが戻ってきました。がっくり… 手加減していてはダメだっ、と今度はマッドサイエンティストに変身。磁気ギャップを掃除機で徹底的に吸い取り、さらに粘着テープでしつこくしつこくしつこく綺麗にしました。で、こういう作業に一心不乱に没頭しちゃう頭のほうに心配があるもののユニットの方は無事全快いたしました。御休心くださるべく候。

こんな具合に291-16Kのお掃除をする少し前、2色ホーンシステムのてこ入れのために新しくAVアンプを購入しました。2色ホーンシステムの音は独特で面白なぁと思うこともありますが、やはり問題がある。もう少し何とかしてやりたい。ツィーターを加えてみるとか、ダブルウーファーの独立制御のためにマルチアンプ化を進めてみたい。そうなると使用しているYAMAHAのDSP-AX450ではパワーアンプの数が足りません。業務用パワーアンプを複数購入してのマルチアンプシステムも考えましたが費用がかかります。AVアンプによるマルチアンプなら費用も安くボリューム調整もリモコンで行うことができるため気楽です。

新しく購入するAVアンプは、DENON社かマランツ社のものと決めていました。この2つのメーカーの製品は、各パワーアンプの出力や構成が同一なのだそうです。ある日、ハイファイ堂の中古品販売サイトからDENON社のAVC-3890が同時に2台売りに出されていることに気付き、珍しく即断、2台とも購入。AVC-3890は定価15万7500円。しかし、購入価格は2台とも18000円。定価で比較すると、これが今までに保有したアンプの中で最も高価です。届いたAVC-3890は新品同様。このアンプは4年前に発売されたものであり、7台の120Wのパワーアンプを内蔵しています。1台のリモコンで2台のアンプをコントロールすることができます。リモコンでボリュームをコントロールしてみると、2台のアンプのボリューム値は常に一致したまま増減します。

今まで使用してきたDCX2496に加え、6台目となるDCX2496を購入。2台のDCX2496により6chマルチアンプシステムを作ることができます。接続はデジタル。D3C01-SRとBCJ-XP-TRBに新たに購入したY字型ケーブルを接続し、2台のDCX2496へデジタル信号を振り分けます。AVC-3890とDCX2498を2台ずつスタックすると、なかなかの奇景というか、支離滅裂?




2色ホーンシステムは、久々のじゃじゃ馬です。音出しのころは、ユニットが熟れていなかったので、それほど粗が表に出ていなかったよう思います。その後、2192と接続してしまったため、2色ホーンシステムが復活したのは昨年の春ごろでした。それから、約1年程度向き合うようになったのですが、おおっ!と身を乗り出すような音が出ることは本当に少ない。むしろ、もう少し何とかしないと…というような気持ちになることの方が圧倒的に多かったのです。

じゃじゃ馬ちゃんとしては、ジュラルミン製センターキャップの鳴きに泣かされたコーラル10F-60を2発使用したバスレフシステムと、低域も高域もまるでダメの2155Hのバスレフシステムがありました。何れも2、3年程度我慢して付き合ったものの、ともかくオーディオというのはうまくいかない趣味である、ということを骨の髄まで叩き込んで頂きました。結局、10F-60には10DU-60Bというパッシブラジエターをあてがい、また、2155HはYSTサブウーファーシステム等と組み合わせ、彼等とはめでたく停戦合意に至りました。

システムがうまく鳴ってくれない場合、君子豹変路線変更、ありがとうSL、君のこと忘れないよ…と、いきなりシステム解体、二束三文で叩き売っちゃう、そういう判断ができるのは経験豊富で腕の立つ方だけでしょう。そうではない場合、要するに経験なんかない、買いかえる余裕もない、そのうえ腕なんか立ったことなんかないっ!のないないづくしの状況では「使いこなしていないのではないかしらん?」という疑問が判断を鈍らせてしまいます。「あしたはうまく鳴るかも?」という淡い期待が裏切られ続けることを予感しつつも踏み切れない。こういうのはシステムに対する愛着というのとも違うような気がします。じゃじゃ馬システムとの付き合いは避けられない一種の試練のようなものとか、こうしたことを通じてオーディオのことをより深く理解していくのさっ…なんて嘯くのですが、理屈はどうあれ、やっぱり音はよくないままですから、これはもうホントに困まっちゃいます。今回はどんな結末が待っているのでしょうか…






2004/07/03

幸せの黄色いホーン 103話 ヨハネスさんと白ホーンシステム



2009年3月15日、春の日曜日、穏やかな午後、数km離れた駅前で待ち合わせ。落ち着かない。家に居られない。車で駅の周囲をグルグル巡回しながら時間をつぶす。どうしたものかと悩む。どこの馬の骨とも知れぬ18インチを埋め込み、ペンキをベタベタ塗りたくり、白ホーンシステムなどというフザケた命名。調子に乗ってこんなことをすれば、相応の報いを覚悟しなければならぬ。だから「よせっ!」と言ったのに… そんなことを考えているうちに、黒装束に身を固めたベーダー卿が通りの向こうに出現。休日の横断歩道が静寂に包まれる。実に危険。こちらは、アンプを暖めたのとお菓子を買いに行っただけの丸腰状態。これで白ホーンシステムからドジな音が出てしまえば…

大袈裟だなぁ~、ですね。まあ、オーディオの話ですから、そうそうドラマチックな展開にはなりません。お昼ごはんがまだとおっしゃるので、子供と一緒に春野菜ラーメンを食べに行き、煙草を吸い、なんとなくリラックス。「最近、我が家はエヴァンゲリオンブームなのです。」「あっ、あれは面白いね。」というような朗らかな会話。そんな雰囲気のまま白ホーンシステムを聴いて頂きました。いつもの数枚の試聴用CD。ちょっとドキドキしながらお聴かせすると…「ちゃんとALTECの音がするなぁ。」とヨハネスさん。おおっ、笑ってる、怒ってないね! ううっ、良かった。何だかうれしい気持ちになってきた。ありがとう。感謝の言葉、初めての言葉。あの人にも言ったことなかったのに…(エヴァのファンなら分かりますよね)

白ホーンシステムは初期調整の段階から非常にまとまりの良い音が出ており、あれこれ弄る必要がありませんでした。-24dB/octの遮断特性を選択すると、ダークサイドの音の遺伝子が感じられる分厚い音になります。ヨハネスさんには、主にこの設定で聴いて頂きました。この設定、クラシックにぴったりなのですが、それ以外のCDだともう少しすっきりさせたい気持ちになることがあります。それで-48dB/octの遮断特性の設定をあれこれ試しています。これがなかなかうまくいきません。もしかすると-36dB/octぐらいがいいのかもしれないなぁと思っています。

次に、白ホーンシステムと同じ部屋に置いてある電子ピアノシステムの2155Hと1808-8SPSを聴いて頂きました。大型ホーンを使用している白ホーンシステムには太刀打ちできませんが、伝統的なJBLサウンドを聴かせてくれます。白ホーンシステムと電子ピアノシステムは、1台のDVDプレーヤーのSPDIFのRCA端子と光端子からそれぞれデジタル信号を受信しているため、同時演奏が可能です。ワルターのブラームス交響曲第3番(モノラル)の同時演奏を行うと、「うん、これはヒントになる」とのご感想。ALTECとJBLのキャラクターが溶け合い、さらに部屋中の空気が揺り動かされるような面白い効果があります。

なんだか警戒心がすっかり無くなり、調子に乗って2色ホーンシステムも聴いて頂きました。この2色ホーンシステムにはミッドベース等を加える計画があり、その様子をみるために別アンプにつながれたLS-11EXが同時に鳴っているという変則的な状態になっていました。2色ホーンシステムの音だけ出すと「500Hzあたりが足りない。」「V字型バッフルのウーファー部のローパスフィルターを外してみよう。」とのご指摘。卿は耳が良いのはもちろんのこと、なによりも大切な「その音」への対処法が身についている。これは経験のなせる技。こういうのが、かなわないなぁと思う。こちらは何度も測定しイコライザやクロスをいじり、このシステムの詳細を把握しているので、ヨハネスさんの指摘が非常に正確であることが良く分かります。最後に、Q値を10に設定したノッチフィルターを解除し、2色ホーンの干渉によって生じる3kHzちょい上のピークを聴いて頂くと、すぐにテッシュを3枚まるめてご覧のとおり。この方法でも干渉を消すことができました。




という訳で、白ホーンシステムの前に二人して黙り込んでしまう、という最悪の状況はなんとか回避できました。オーディオは一人でコツコツ、自由で孤独が一番安心かもしれませんが、こういう緊張感のある場面を迎えるのもなかなか楽しいものです。それに、やはりスピーカー談義が面白かった。ヨハネスさん、本当にありがとうございました。また、遊んでやってくださいね。次回は黄色いホーンシステムの試聴会ですか? う~ん、これはがんばらないと!