2023/05/31

Loudspeaker Systems Design



PAX-A30の推薦箱の内、大きめのサイズのがこれである。
縦108cm、横72cm、奥行45cm、内寸容積275Lと現代的な30cmクラスの箱と比べるとかなり大きい。




箱の大きさは測定上、低域の再生限界に関連するが、聴感上はそれに加え低域側のスケール感と関係する。
要するに朗々と鳴る、のである。
スピーカーシステムの原理は共振系を電磁的にドライブすることだから、猛烈なドライブ力のある超巨大ユニットと超ドでかい共振系とを組み合わせると、とてつもない何かが起こる。
それから、こうした現象は広大なバッフル面積の相乗効果によってもたらされることも指摘しておこう。

箱が大きくなると、当然、箱を構成している板材の振動も問題になる。
補強材をたくさん入れてガチガチに固めると一安心だが、これを緩めてある程度鳴らしてやるやり方もある。
あまり固めるとホーンも箱も音が死ぬ、というか楽しくなくなる傾向があるので、ほどほどにしておいた方がよい。




上は、38cmウーファーのPW-A38の推薦箱である。
縦115cm、横83cm、奥行51cmであり、内寸容積は395Lである。
15インチなら少なくとも200~300Lは必要なんて言われていた時代であった。







2023/05/29

Loudspeaker Systems Design



パイオニアCS900で連想するのは、PAX-A30だ。
共通点は30cmとマルチセルラ、差異点はミッドの有無といったところだ。
この同軸ユニットは、立派なフレームを備えており、ルックスの良いユニットだった。
しかも安価で音が良く人気があった。




秋葉原の万世橋付近には、スピーカーユニットの専門店の他にスピーカーボックス(エンクロージャー)の専門店もあった。
主にパイオニアなどのメーカーの推奨箱が、おそらくは家具屋の製作だとは思うが、そのまま販売されていた。
今では想像することすら難しいとは思うが、ともかく無数の大きな箱が隙間なくそして段積みされ、倉庫のような薄暗い店舗を埋め尽くしていた。

物品税の関係で、完成品であるスピーカーシステムを購入するよりも、スピーカーユニットとエンクロージャーを別々に購入することがそれほど珍しいことではなかった。
このため、売れ筋のPAX-A30用の推薦箱はもちろん、PAXシリーズやPWシリーズ用の箱、それからJBL D130などの著名なスピーカーユニット用の箱なども売られていた。