2023/06/04

Loudspeaker Systems Design



お次はダイヤトーンのDS251、DS301である。
どちらもシルバーに輝く3cmコーン型スーパーツィーターがカッコよかった。
DS251は、20cmウーファーと5㎝コーン型ツィーターにスーパーツィーターを加えた3ウェイ、DS301はドーム型のスコーカーとツィーターを備えた3ウェイにDS251と同じと思われるスーパーツィーターを加えた4ウェイ。
DS251は日本のスピーカー市場で大ヒットを記録した最初のスピーカーシステムだったのではなかろうか。




DS251とDS301はアコースティックエアーサスペンション方式。
小容積の密閉型のエンクロージャー内部の空気の弾性をウーファーのコーンのサスペンションとして利用する。
コンパクトな箱なのに低域側の再生帯域を飛躍的に拡張することができ、スピーカーの設計に革命を起こした。
また、ハイコンプライアンス型のユニットは空気の弾性をサスペンションにするため、ダンパーと呼ばれていた機械的なサスペンションに頼る従来のユニットよりもリニアな振幅運動を実現し低歪だった。




この方式はアメリカ人のエドガーヴィルチャー氏が発明し、1954年に特許出願、1956年に特許権が付与されている。
この特許権は、AR社がエレクトロボイス社を訴えた特許権侵害訴訟において、裁判所が無効と判断した。
特許出願書類は特許弁護士に頼むことなしにヴィルチャー氏本人が作成した。
このため、発明の内容を明確に定義するための技術的な限定をうまく記載することができず、エレクトロボイス社が提出した先行技術との差異があることを裁判官に対して証明することができなかったのであろう。





2023/06/02

Loudspeaker Systems Design



推薦箱に入れたPAX-A30とCS900を比較したのが下の画像である。
このサイズの違いには驚かされる。
スピーカーシステムの歴史からみると、1950年代半ばに開発されたAR社のアコースティックエアーサスペンション方式により、こうした巨大なバスレフ箱は駆逐されたことになっている。
しかし、1970年代初頭の秋葉原では、パイオニアという同じメーカーの同口径の製品にもかかわらず、こんなにも考え方に違いのある製品が併存していたのである。




ところで、こうして描いてみると、PAX-A30とCS900ではウーファーの位置が正反対である。
PAX-A30はウーファーがバッフル板の上方に配置されており、CS900は下方に配置されている。
そりゃ、同軸のフロア型とブックシェルフ型だから当然だろう、というのではなく、こうも配置が異っていてもあまり問題にしないところがある意味凄いと思う。

なお、PAX-A30のウーファー部であるPW-A30という製品があったが、これはハイコンプライアンス型のPW-A31に更新された。
しかし、この新型のウーファー部を備えた"PAX-A31"は待てど暮らせど出現せず、これでPAXシリーズはおしまいになってしまった。