2004/02/24

幸せの黄色いホーン 18話 2402H-05(2)



2402Hに2405Hのダイヤフラムを組み込むことができることは知っていました。菅野沖彦氏の075がこうしたタイプだったような。しかし、こういう改造はメーカーが関知するようなものではありません。もしかしたら、これは過去にも何らかの形で販売されたことがあり、それを真似たのが例の改造だったのかしら。

特注に応じて200個ぐらい作ってみたのではないでしょうか。その交換用のが、倉庫の隅でひっそりとホコリをかぶっていた、ということなのでは。まあ、理由や生産時期など、結局知ることはできないでしょう。かなり安価なので、すこし錆の浮いた古いものかもしれません。

ツィーターとしては、2155Hのホーン部(2416H)を2360A+2446Hの高域不足を補うツィーターとして利用しようと思っていたので、本格的なツィーターは当分買わないことにしていました。それに、40歳を越えているから悲しいことにそんなに高いところまで聴くことはできないでしょう。

そういう次第で、2402H-05を買うかどうかは少し考えてみなければならないだろうし、すぐに売り切れるものでもなかろうと、コンピューターの電源を落としてベッドに入ったのですが、やはり眠れません。1時間ほどでガバと起き上がり、申し込みのフォームにどんどん入力し送信完了。あっさりケリをつけてしまいました。悲しいけど、結局は理屈より金なのね。安ければ文句ございません。

9月6日に発注して9月10日には一旦は届いたらしいのですが、留守だったので明日配達します、という紙がドアに貼ってありました。翌日の9月11日(September 11thの一周年の日)に小さな小箱で届きました。発注からたった5日間で手に入った訳ですが、この5日間のなんと長かったことか。箱を開けると完璧な新品で、心配していた錆も傷もありませんでした。

興味があったのはユニット裏側の型番の表示。ちゃんと「2402H-05」と刻印してありました。つまらないことですが、これは嬉しい。製造番号は20196と20229。この製造番号から、やはり200~300台ぐらいが製造されたのではないかと思います。保証書は入っていましたが、期待していたスペックシートの類は入っていませんでした。これは残念。

箱に戻すのが惜しくて机の上に二つの2402H-05をしばらく飾っておきました。深いホーンの曲面が表情を豊かなものにしています。精悍な面構えのようにも見えますが、角度を変えて見てみると優しい感じに見えることもあり、ヘアライン仕上げも落ち着いた風情で悪くないです。味のあるデザインというか、オーディオ機器特有の精密感を巧みに表現しています。

その1カ月後に、またJBLのサイトをのぞいてみたら、2402H-05の表示はなくなっていました。完売ということなのでしょう。北米では2402Hのコピーらしき製品が安価に出まわっているのに結構売れるものだなと思いました。

後日、「JBLのすべて」を読んでいたら、コンサートシステムの紹介記事の中に「2402H改」という文字を見つけました。おそらく、これだと思います。







2004/02/23

幸せの黄色いホーン 17話 2402H-05(1)



現在入手可能なJBLのツィーターには、2402H、2404H、2405Hの3機種があります。しかし、どれか一つだけ、となるとなかなか選べません。

2402H(075)は指向性が狭く高域ものびていないのですが、風格のあるデザインが素敵です。このデザインが2402Hを恐ろしいほどの長寿命製品にしているのかもしれません。発表されたのは1957年だそうですから、すでに45年以上生産が続けられていることになります。

昔話ですが、岡林信康氏のコンサートを小さな小さな公民館に聴きに行ったことがあります。岡林氏が好きな友人に誘われたからです。お客は全部で10人ぐらい。小さな教室程度の大きさの暗い部屋で最前列の折り畳み椅子に座って聴きました。岡林氏も折り畳み椅子に座って向かい合っており、その距離わずかに2メートルぐらい。それなのに、小さなPA装置がちゃんとあってギターを抱えた岡林氏の両脇にはLE8Tと075が。残念ながら岡林氏には興味がなかったので、スピーカーばかり気にしていたのですが、どんな音だったのか忘れてしまいました。

2404Hは、バイラジアルホーンを搭載しており、指向性も広く高域の伸びもあるようです。2360Aのデザインにはこの2404Hが一番合うと思います。また、2404Hを2個パラって縦に並べた様子は、なかなかカッコイイ。

2405H(077)はJBLのスタジオモニターの高域を受け持つ名器です。指向性が広く高域も十分に伸びています。独特のスロット型の形状は、低歪みの澄んだ高音を予感させる上、そのデザインも未だに斬新さを失っていません。

こういう場合は無理しないで、全部買ってしまうというのが一つのやり方ですが、使わないかもしれないのに買うのは畏れ多い、というかもったいない。結局、どれにしようかなと、同じようなことを延々と考え続けてしまうことになります。

ところが、「075か、それとも、077か」なんて、二十年以上考え続けてきたことを僅か一時間程度で決着させてしまうこともあるのです。2002年9月ごろ、JBLプロフェッショナルのサイトを久しぶりに覗いてみた時のことです。そこにはE-TENTという在庫品の直販部があって、売れ残り等を格安で販売しています。残念ながら販売対象地域は米国内のみ。送料は無料です。例えば、製造中止になってからだいぶたつ、重さ8.4kgの立派な38cm口径のフルレンジ(3インチボイスコイル)のM151-8が、一本わずか70ドルで数十本売り出されたことがありました。思い切って8本ぐらい買ってしまおうか、などと考えてしまうのが健全なスピーカーマニアの証拠であり、こういうのを世間一般には狂気の沙汰と呼ぶのでしょう。

こんな具合にフワッと正気を失うのが快感なので、月に一度ぐらいの頻度で、このE-TENTを見ていたのですが、その夜は一番下の欄に「2402H-05」と小さく表示されているのを見つけてしまいました。型番の隣には「2402H WITH 2405 DIAPHRAGM」とだけ説明されていました。価格は1個110ドル(2402Hの北米での相場は1個250ドルのようだから半額以下)。販売個数は50個ぐらいでした。それにしても、なんなんでしょう、これ?