2019/09/29

DIY Speaker (107)



DIYホーンシステムにもグイグイくるイコライジングを試してみることにしました。
その前に、以前から気になっていた段積みになっていたDCX2496をそれぞれガラス棚板に載置することにしました。
段積みすると結構熱くなるのです。




それから黄色いホーンシステムと同様、2431Hと2407Hにコンデンサーを直列に入れサーという残留ノイズを消すことにしました。
2431Hは1.0μFと0.47μF2個をパラって1.94μF、2407Hは0.47μFをパラって0.94μFにしました。
残留ノイズは消えました。
なお、2451Hの守備範囲を低域側は600Hz、高域側は4kHzに戻しました。

イコライジング作業開始。
ます、DEQ2496のオートEQとECM8000により全帯域をフラット化。
次に、DEQ2496のパラメトリックイコライザにグイグイイコライジングをインプット。
この作業、数分ぐらい? 慣れると実に容易いです。

音出ししてみると見事な音です。
改造ALTECシステムと全く同じイコライジングなのですが、全然違います。
システムの規模や能力がそのまま反映されています。
今までの付き合いで両システムの個性は把握していましたが、それがはっきりと分かりました。




グイグイイコライジングはソースと音量によっては低音過多になるので、そういう状況でもクリアに再生できるように新しいイコライジング設定を作ってみました。
それが上の画像です。
最低域の28.3Hzは+5.5dBから+2.5dBに、また、低域の79.6Hzは+5.5dBから+1.0dBにしただけですが、最低音と低音が減ったためにクリアな印象です。
クリアイコライジングの誕生です。

しばらくグイグイイコライジングとクリアイコライジングの2種類で聴いていたのですが、2つだけだと変化幅が大きすぎます。
そこで、その中間に新たに2つのイコライジング設定を作ってみました。
とりあえずレベル2とレベル3という名前を付けました。

最低域はグイグイが+5.5、レベル2が+4.5、レベル3が+3.5、クリアが+2.5dBです。
低域はグイグイが+5.5、レベル2が+4.0、レベル3が+2.5、クリアが+1.0dBです。
最低域は1.0dBステップで、低域は1.5dBステップということになります。

DEQ2496のメモリには、オートEQによりフラット化した直後の"FLAT"、グイグイの"ORIGINAL"、レベル2の"LV2"、レベル3の"LV3"、クリアの"CLEAR"の5種類をメモリしました。
フラットを除く4種類を適宜呼び出すことで、様々な状況に対応できるようになりました。




 

2019/09/22

JBL 4315 Studio Monitor



以前、オーディオとの馴初めを少し書きました。
4315は、非常にインパクトのあったスピーカーシステムでした。
2色刷りのパンフレットを見た時、これが新しい時代のプロフェッショナル用なんだと思いました。
4341や4350には、そうした印象を全く持たなかったので、これはほんとうに不思議です。

4315は1975年ごろに登場するのですが、そのころからスピーカーシステムへの興味は急激に冷めてしまいます。
どんなスピーカーが登場しても、4315のインパクトを超えることはできませんでした。
のちに、これがグレッグティンバーズ氏の初期作品であることを知りました。
懐かしさをこめて、ランシングヘリテッジに掲載されている4315、L212、L250へ至る物語を翻訳してみました。



4315(1974年)

L250は、1980年代を通じてJBLのフラッグシップスピーカーであり、現在(2001年)も特別版で限定生産されています。
これは、JBLがこれまでに制作した中で最も高く評価されているスピーカーの1つであり、熟練した設計者であるグレッグティンバーズのお気に入りです。

L250は、グレッグティンバーズが1974年の4315モニターで先駆けた4ウェイコンセプトの究極の改良版です。
このような4ウェイコンセプトは、それぞれのスピーカーユニットがそれぞれ比較的狭い範囲の周波数帯域を再生するため、広大なダイナミックレンジを確保しつつ、ハイパワー再生を可能とします。
また、各スピーカーユニットは比較的狭い範囲の周波数帯域を担当するだけなので、各スピーカーユニットの特性に応じた最適なネットワーク設計が可能となり、きわめてフラットな特性を実現できます。

このコンセプトを導入した最初の家庭用システムは、1977年に登場した斬新なL212でした。
これは二つのサテライトスピーカーと一つのサブウーファーの組み合わせたシステム設計を特徴としています。
このようなシステム設計がなされたものとしては最初期のひとつであり、サブウーファーにパワードタイプを組み込んだものとしては最初のものです。
フロアタイプのサテライトスピーカーは、 8インチのコーン型ウーファー、5インチのコーン型ミッドレンジ、1インチのアルミドーム型ツィーターから構成されています。
一方、12インチ一発のサブウーファーは、75ワットのアンプを内蔵しており、70Hz以下の低音域を担当しています。
L212は、Greg Timbers、Steve Lyle、およびLorr Kramerによって設計されました。
L212は、タイムアラインの技術的要素が取り入れられたJBLの初めてのシステムであり、それにより比類のない正確な音場を再現することができるスピーカーシステムになりました。
残念ながら、このシステムは商業的には成功しませんでした。
製造コストが非常に高価であり、また、ホーンを使用する伝統的なJBLのスピーカーシステムからかけ離れたキャラクターを持っていたため、JBLのスピーカーに興味を持つオーディオファイルにはアピールできなかったからです。



L212(1977年)


グレッグは、L212の商業的な失敗にもかかわらず、4ウェイコンセプトの追求をあきらめませんでした。
彼は、与えられた仕事としてではなく、のちにL250となるプロトタイプの開発を個人的におし進めてゆきます。
自宅でこのプロトタイプを製作し、誰にでも試聴させました。
そして、このシステムの製造販売を実現するために、JBL社の経営陣を数年に渡り説得しました。
グレッグが述懐しているように、プロトタイプはエンジニア特有の技術的観点のみで製作されたシステムでした。
そのため全体の外観は重視しておらず、プロトタイプは先つぼまりのテーパー状の形状を有し、「非常に大きなメトロノーム」を連想するような形状でした。
このような奇妙な形状になったのには理由がありました。
直方体ではない不規則な形状のキャビネットは、定在波の発生防止に寄与するものでした。
また、このテーパー状のデザインは、高域及び中域のスピーカーユニットの見かけのバッフルの面積を最小限にし、キャビネットの回折現象を軽減するものでした。
そして、L212と同様に、すべてのスピーカーユニットのタイムアラインがとられていました。




L250及びB460(1982年)

生産型のL250は1982年にラインナップに加わります。
L250と同時にB460サブウーファーが開発され、このB460はL250を究極の"アクセサリー"として販売されました。
L250は、サブウーファーがなくても、30Hzまでフラットに再生することができます。
しかし、B460サブウーファーを追加することにより、このシステムは人間の聴覚の限界を超える超高域及び超低域までも再生できるようになり、超ワイドレンジ再生を実現したJBL初のスピーカーシステムになりました。
外観のデザインはDoug Warnerが手がけ、スピーカーの機能的な構成や構造をエレガントに表現しました。
Doug Warnerは、プロトタイプの技術的機能を達成した台形のエンクロージャー形状を魅力的にする役目がありましたが、より満足のいく控えめな外観になりました。

L250は、ウーファーのLE14H-1、8インチミッドベースの108H、ミッドレンジのLE5-11、およびコーティングされたアルミドームツイーターの044-1で構成されていました。
1984年に、ツイーターがチタンダイアフラムの044Tiに、ミッドレンジが104Hに置き換えられました。
このミッドレンジドライバーは、JBLとしては最初のポリプロピレンコーンを使用したスピーカーユニットでした。
この新型のスピーカーシステムはL250Tiと名付けられ、そのスピーカーユニットの構成はその後も維持され、Limited Edition、Classic、およびJubileeに引き継がれました。
最新のJubileeには、K2-S5500に最初に採用されたチャージカップルドネットワークが組み込まれています。

JBL社内でこのシステムが高く評価されているのは、シニアスタッフが選択するスピーカーであるという事実です。
たとえば、Garry MargolisとDrew Danielsは、JBLで在職中にJBL製品の中から任意のシステムを選択できます。
彼らはいずれもL250Tiを選択しました。
究極の信任投票ともいえるのは、このシステムを会社の会長であるシドニー・ハーマン博士が使用しているということでしょう。