2025/12/26

Mercedes-Benz S560 Long



Dieter Zetsche氏(ディーター ツェッチェ)は、2006年から2019年にかけて同社を率い、就任時点で低迷していた「ダイムラークライスラー」からクライスラー部門を切り離し、低迷していた同社の業績を13年に及ぶ在任期間において立て直したメルセデスベンツの会長である。
メルセデスベンツは「世界で最も売れている高級車ブランド」の座を2005年の時点でBMWによって奪われていたが、ツェッチェ体制になってからはより魅力的なラインナップが生み出されるようになったことで評価も取り戻し、2016年にその座を奪還することに成功した。


このCMはライバルのBMWが製作したものとして評価が高い。
CMの最後には"ディーター ツェッチェ氏、長年にわたり競争を鼓舞し続けてくれてありがとう"とのメッセージが添えられている。
ツェッチェ氏そっくりさんの俳優が、同氏の引退時の様子を演じている。
今回購入したW222後期型の後席で感慨に浸るツェッチェ氏。
そして帰宅、去ってゆくW222。
そして、翌日からのツェッチェ氏はBMWのi8で自由な生活を謳歌するという内容だ。

W222はあくまで後席に乗るためのセダンであり、自らがドライブして人生を楽しむ車はBMWである、との主張も込めている訳だ。
まあ、W222の大ヒットでかなりの痛手を被ったBMWならこのぐらいのことは言ってもいいだろう。
実に紳士的なファイティングポーズであるとも言えよう。


ツェッチェ氏は1971年からカールスルーエ工科大学で電気工学を学び1976年に卒業、その後ダイムラー・ベンツ在籍中の1982年にパーダーボルン大学で工学の博士号を取得という技術畑である。
銀行からやってきた経済通、というようなのとはちがって好感が持てる。


2025/12/24

Mercedes-Benz S560 Long



最初の運転での印象は、走りの部分において前期型と後期型はほとんど同じだと思った。
優劣など語るほどのものはなく1時間も乗れば意識しなくなる。

内装もほとんど同じだ。
しかし、MBUX(Mercedes-Benz User Experience)が搭載されて、運転以外の操作系が一新された。
かなり緻密に機能を詰めていった印象があり、操作を覚えるのが楽しそうだ。

このS560ロングショーファーリミテッドは2020年の登録であり、W222の後継機種であるW223が発表されたのが2020年の秋なので、本当に最後のW222である。
W223はほとんどの操作がタッチパネル式なのでさらに進化しているのだろう。
ちなみにW223はまだ新しくて価格的に手が届かなかった。



W222 AMG-Line



W223


でまあ、W222の良いところというか気に入っている点は、ともかく乗ると気持ちが良くなることだ。
"ふぅ〜 なんていい車なんだ"と。
ゆっくりと走りはじめた直後からなんとも言えない満足感を味わうことになる。
750iLや760Liでも同じような感触を味わったが、Sの方がより強く感じる。

この感触について、"人生で何事も達成できなかった人でもこの車(Sクラス)に乗ると何事かを達成したような気分になれる"というような話をYoutubeで聞いた。
なるほど、その通りかもしれない。

結局、再度W222を購入した一番の理由はこれである。
にしても、同じW222を乗り継ぐというのは、酔狂にも程があるような気もする。しかし、こういう選択はSのオーナーの場合にはそんなに珍しいことではないようだ。
まあこれでいっぱしの車趣味人(一般人が理解に苦しむという意味で)になったような気がするな。