2004/02/16

幸せの黄色いホーン 10話 終着兵器(1)



ところが2155Hとの蜜月は、長くは続きませんでした。何故かと言えば、南カリフォルニアのサンディエゴで1年8ヶ月間(2001年5月~2003年1月)暮らしたからです。この間、ラジカセとカーステレオだけでオーディオを楽しむことはできませんでした。

唯一の慰めはむこうで購入した1999年型トーラスワゴンのカーステレオを聴くこと。年代やジャンル別のポップス専門局が多数ありました。それから、JAZZ専門局(88.3MHz)やスパニッシュのクラシック局(90.7MHz)もありました。カリフォルニアをテーマにした曲を現地で聴くのは奇妙な気分でした。

現地での生活に慣れてくると、せっかくJBLのお膝元(ロサンジェルス北部の本社まで車で3時間弱ぐらい)にいるのだし、この楽しい生活の記念としてJBLの製品を買って帰りたいという、余計なことを考え始めました。

インターネットでJBLのユニットを探していると、中古の2360Aの木製スタンド付が700ドル(350ドル×2台)で出ていました。当時の為替レートは1ドル約125円だったため9万円ぐらいです。

このときは、いいかもしれない、と少し考えたのですが、すぐに諦めてしまいました。開口寸法が約80cm×80cm、奥行きも80cmを越える大型ホーンなんて買ってどうするの?というわけです。想像してみてください。このホーンは、ウーハーの箱の上に設置しなければならないことになりますが、その奥行きは、ドライバーの奥行きを加えると、90cm以上になります。それに、ウーハーの箱の高さが机程度の高さだとすると、システム全体では身の丈ほどの高さになってしまいます。

しかし、2360Aの改良版である2360Bでさえも単品の販売が中止になっていて、今後は入手が難しくなるであろうことも知っていました。

この2360Aのことはずいぶん昔から気になっていました。こんなに巨大なホーンは、どんな音を出すのだろうかという好奇心があったからです。それに、2155Hのホーンがいい調子で鳴ってしまったから、一旦は諦めた2360Aのことをだんだん真剣に考えるようになってきました。

ところで2インチスロートのホーンは最終兵器ならぬ終着兵器?になる可能性が高いのではないかと密かに考えています。どうして「終着」なのかと言えば、購入後は買い換えず使いつづける人を見かけるからです。もちろん可能性の話だから事情が許さず泣く泣く途中で手放す方もおられるでしょうし、複数のホーンを所有して時々付け替えて楽しむ方もおられるとは思います。けれども、菅野沖彦氏は蜂の巣を、菅原正二氏は537-512を使いつづけておられます。





1999 FORD TAURUS SE WAGON



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