2004/03/16

幸せの黄色いホーン 36話 LOW RIDER 18



46cmユニットはJBLではなく、PEAVEY社のローライダー18(1808-8HPS)を選びました。一本約2万円でした。残念ながらJBLの46cmウーハーである2241Hや2242Hには手が出ませんでした。これが最新のSRXシリーズに使用されている2268H(単品で販売されていません)なら話が変わってくると思うのですが。

このローライダー18は、アルミダイキャスト製フレーム、4インチ銅リボンボイスコイル、ケブラー繊維入りのコーン紙、重さ10kgと立派なものです。フェライト磁石の大きさもJBLの2242Hとほぼ同等です。また、重さは1808-8SPSよりも1.8kgほど重くなっています。

このユニットは比較的小容積のバスレフ箱と組み合わせるサブウーハー用ユニットです。ブラックウィドウBWXシリーズの上位機種であり、振動系や磁気回路が強化されています。銅ボイスコイルと重めの実効質量から強力な大口径ウーハーの音が期待できそうです。

一方、こういうサブウーハー用のユニットを通常のウーハーとして用いることに不安があります。2360A+2446Hとうまくつながるのかという心配です。2155Hのウーハー部は最低域が伸びていませんが、その代わりにこの「つながり」という点では成功していたように思えるからです。結局、このローライダー18を使用したサブウーハーシステム(QW-118/QW-218)のパンフレットには1.5kHzまで±3dB以内の平坦なレスポンスがあると記載されていたため、賭けてみることにしました。

ローライダーの包装箱は8角柱形状の変わった形でした。今度はハーレーダビッドソンの絵(同名のオートバイの機種があります)でも描いてあるのかな、と思ったのですが、その代わりに「STOP WIMPY(弱虫の)BASS」と大書きされていました。ユーモアのあるメーカーですよね。

フレームが黒色塗装されており仕上げもそんなに悪くないです。1808-8SPSよりも明らかに手がかかっています。このローライダーもエッジがウレタンではなかったのでホッとしました。真っ黒なコーン紙にはコルゲーションがあり独特の面構えです。1808-8SPSと同様、これにもガスケットや取付けネジが付属してきませんでしたので5mm径のネジとT型ナットを購入しました。鬼目ナットは少し締め上げただけで板の内部へ沈み込んでいくため使いません。最初に製作した箱に鬼目を使用し、みごとに失敗しました。







2004/03/15

幸せの黄色いホーン 35話 棚上げになっていた計画



2155Hの代わる新しいウーハー部として、2226H×2を水平方向に横並びにした38cmダブルウーハーを考えていました。理由は簡単、カッコいいからです。ところが、4675(11話 終着兵器(2)に画像が掲載されています)のウーハー部である4648Aのパンフレットに掲載されているレスポンスグラフを見てから考えてしまいました。このグラフによると、水平方向の指向性に比べて垂直方向の指向性が乱れています。




4648Aはウーハーが縦並びですから、この250Hz以上での垂直方向の指向性の乱れはウーハー間の干渉によるものなのでしょう。ダブルウーハーを水平方向に並べれば、当然、水平方向の指向性が悪化してしまいます。

そういえば4350のクロスオーバー周波数は250Hzです。これは、ダブルウーハーの相互干渉による音の濁りを回避するためかもしれません。また、4435では箱を2室に分け、片側のウーハーを100Hzでカットしています。これも同じ目的だと思います。

一方、上記の4648Aの推薦クロスオーバー周波数は500Hz(12dB/oct)から800Hz(18dB/oct)になっています。音の混濁感を問題にしなければ、水平方向の指向性は悪くありませんし、垂直方向の指向性はさほど重視されないからでしょう。また、4350等のスタジオモニター用の設計とPA用の設計は違う、ということなのかもしれません。

解決方法としてクロスを250Hz程度まで下げればよいのですが、2360A+2446Hではそんなに下まで使うことができません。4350のようにミッドローを加えればこの問題は解決しますが、それでは2360Aのような大型ホーンを使う意味が薄れてくるように思えます。2つのウーハーを縦に並べると箱の高さが高くなりすぎますし、高さを詰めると下側のウーハーと床との距離がとれません。

高校生のころ10F-60(コーラル製の25cmフルレンジ)を縦並びにしたダブルウーハーシステムを作りました。このシステムの箱の内部は55リットルと90リットルの2室に分割されていました。そして、容積による影響がどのようなものであるのかを知るために、一つのユニットだけ駆動するという実験をしてみたことがあります。結果は、容積の影響よりもダブルウーハーとシングルウーハーの差の方が顕著でした。ダブルだと迫力が増すのですが混濁した感じを受け、シングルの方が鮮明な音だったのです。ダブルの方が良いに決まっていると思い込んでいたので、この結果にはショックを受けました。

こうした経験のほかに、業務用の高能率型ユニットを使用して家庭用のシステムを作る場合、業務用システムとは異なったアプローチを考える必要があると思っています。また、大音量ではなく中音量で聴く程度ですから、大音量再生に有利なダブルウーハーシステムのメリットを活かせないような気がします。

こうした理由から38cmダブルウーハーへの興味が冷めてしまいました。その後、46cmのシングルウーハー部を考え始めたのですが、1808-8SPSの音を聴くまでは46cmウーハーの音に対して自信が持てず、結局、新しいウーハー部の計画は棚上げになっていました。