2004/04/08

幸せの黄色いホーン 48話 クロスオーバー周波数の調整(1)



黄色いホーンシステムのクロスオーバー周波数を変更するとどうなるのか実験してみました。2360Aのパンフレットによるとこのホーンに2446H(2445/2450)を使用する場合のクロスオーバー周波数の下限は500Hzと表示されています。また、2446Hのパンフレットには、クロスの下限として500Hz(12dB/oct)が推薦されています。

その一方、2360Aのパンフレットには、ホーン自体の使用可能な低域限界(Usable Low Frequency Limit)が300Hzと記載されています。適切なイコライジングを施して測定してみると180Hz程度までフラットな特性が得られます。これだけ大きなホーンですから、低めのクロスオーバー周波数を試してみることにしました。

そうはいってもドライバーである2446Hの振動系に過度の負担をかけるのは望ましくありません。どの程度の負担がかかるかを直接知ることはできませんが、SH-D1000+EQCDによりハイパス側の遮断特性をコンピュータに描かせて推測してみることにしました。もっとも、こうして表示された特性はSH-D1000の実際の出力特性とは若干ズレがあるように思います。でも、そこまで厳密に考えるような話でもないので、実際の出力特性の測定はしませんでした。




このグラフ図の赤色ラインは500Hz(12dB/oct)のハイパス側の遮断特性を示しています。黄色ラインは300Hz(18dB/oct)、緑色ラインは250Hz(18dB/oct)、青色ラインは200Hz(18dB/oct)です。そして、黄色ラインは-3dB、緑色ラインは-6dB、青色ラインは-9dBという減衰を行った状態を示しています。

設定する遮断特性がこの赤色ラインの右側(高域側)に収まっていれば正常な動作が保証されると考えてよいと思います。2446Hの許容入力は100Wですから、300Hzの場合なら50Wの入力に耐えられることになります。

同様に24dB/octの遮断特性を描かせてみました。黄色ラインは300Hz、緑色ラインは250Hz、青色ラインは200Hzです。それぞれ、-3dB、-6dB、-9dBという減衰を行った状態を示しています。




このように18dB/octや24dB/octの遮断特性であれば、300Hz程度のクロスオーバー周波数でも問題はなさそうです。さて、音質的にはどうなるのでしょうか。




2004/04/07

幸せの黄色いホーン 47話 DCX2496



T1951とDCX2496の何れにしようかと考えた結果、調整の自由度が高い方がよかろうということになりDCX2496を導入することにしました。

国内最低価格保証ということでサウンドハウスから2万8千円ぐらいで購入することができました。注文した翌日に届いたDCX2496の天板を外してみると、中はガランとしています。中央にCPUのような大きなDSPユニットがあり、その横にプログラムを書き込んだチップが並んでいました。このチップには「Ver.1.15」と表示されたシールが貼ってありました。

MG10/2からのアナログ入力で使用するため余計なA/Dコンバータ、D/Aコンバータが信号系に介入することになります。デジタル接続でもD/Dコンバータ(サンプリングレートコンバータ)を介しただけで若干のノイズの増加が計測できるそうですから音質の劣化があるはずです。そこでOut Configurationで「LHLHLH」を選択し、1808-8SPSを駆動するA501へのSUM出力を「A+B」に設定し、EQやクロスオーバー等は設定せず、素のままで聴いてみました。でも、A501への入力系統ではMG10/2のヘッドホンアンプやCRボリューム等がパスされ、A501のレベル調整も厳密には再現できません。こうしたこともあり厳密な聴き比べができません。注意深く聴いてみましたが音質の劣化は確認できませんでした。

このDCX2496がSH-D1000+EQCDよりも優れている点は、入力側とのイコライジングと、チャンネルデバイダ部により分割した後の各出力側のイコライジングとを独立して設定できることです。各出力側のイコライジングで徹底的にフラットな特性を作り、入力側のイコライジングで好みの方向を探れば良いので調整作業が楽です。また、DCX2496もSH-D1000と同様にコンピュータにより操作することができますが、フロントパネルの操作性が良好なためその必要性を感じませんでした。

測定しつつ左右の2155Hと1808-8SPSの特性を各出力側のイコライジングにより無理のない範囲でフラットにした後、クロスオーバー周波数の設定を行いました。1808-8SPSの受持ち帯域を100Hz以下にしてゆくとサブウーハーとして常識的な質感になってゆきますが、それ以上の帯域まで1808-8SPSを働かせると中低音の厚みがどんどん増してゆきます。

今度は2155Hの低域側と1808-8SPSの高域側とをチャンネルデバイダ部によりカットして受け持ち帯域を整理してみました。すると1808-8SPSのみから低域が再生されるようになるため、システムから離れて聴くとバラバラに鳴っているような感じがします。結局、2155Hの低域はそのまま出して1808-8SPSの高域側のみを80Hz程度でカットするという一般的な設定になりました。

DCX2496には大変満足できました。多機能であり操作性も良好。そして様々な設定による音の変化を体験できました。今回の調整の過程で感じたのは1808-8SPSを生かすならサブウーハーではなく、通常のウーハーとして使用したほうが良さそうだということでした。このユニットは中低域に至るまで弾むような生き生きとしたキャラクターを持っていると思います。

なお、DCX2496の購入と同時にノイトリックのNL4MPを購入し、ES70のスピーカー出力端子と交換しました。NL4MPの背面端子側基部にある薄く小さなリブを丁寧に削り取ると両者の外形サイズは全く同じになります。4つの背面端子の位置や大きさも同じでした。交換したところ接続部のガタツキはなくなり接触不良を解消することができました。