2004/04/14

幸せの黄色いホーン 54話 ダブルホーン



CH-1とRX22が届きました。早速CH-1を包装箱から取り出してみると思っていたよりも大きなホーンでした。なかなか買い得感があります。ただし真っ黒で不気味です。これも塗装しようかなと思いました。ちなみにCH-1の造作はかなり雑。

ベル部の奥のほうが狭くて塗りにくそうだと思いながらCH-1をしげしげと見ていると、どうやら二つの部品をもなかのように上下に配置してホーンの側部でネジ止めしているようです。試しにホーン側部の8つの木ネジを外してみると二つの部品は接着されておらず簡単に分解することができました。またスロート部にはドライバ取付け用の金属製の六角ナットがはめ込まれています。これも取外すことができました。これならベル部の奥まで楽に塗装できます。

このCH-1は、背びれと尾びれのように設けられている一対のスタンド部がホーンの後端(スロート部)の上下に一体成型されています。このためホーンスタンドが不要です。さらにそのスタンド部の先端にはネジで取付けるためのネジ穴までついています。この手のホーンはPAで使用する際にはホーン用の箱に組み込むため、箱に固定しやすいように工夫されているのでしょう。また、このようなホーン固定用のためにホーン開口部の上端縁部と下端縁部にそれぞれ3個のネジ穴が設けられています。

ふたたび8つの木ネジを取付けて元に戻し、しばらく2つのホーンを眺めていました。2360A(ホーン開口部は一辺79.5cmの正方形形状)を見慣れているせいかその大きさが今一つもの足りません。そこで2つのホーンを上下に重ねてみました。すると中央部にボリューム感のある大きなふくらみが出現し、なんとも不思議な形のホーンになりました。子供は宇宙船のようだと喜んでいます。これは面白い。この状態ではホーン開口部のサイズが一辺72.4cmの正方形になります。

垂直方向の指向性を改善するためにホーンを上下に重ねる(スタックする)方法は、従来からPAの現場で行われてきました。パワーハンドリングを改善する場合にこの方法が採られています。この方法に関してはJBL社のテクニカルノート(Technical Notes Volume 1, Number 7, In-line Stacked Arrays of Flat-front Bi-Radial Horns)に詳細な解説が掲載されています。また、この文献によるとデュアルスロートによるダブルドライバよりも複数のホーンをスタックする方法を勧めているようでした。

複数のホーンをスタックすると広い面積から音波が放射されることになる訳ですから、ホーン特有の刺激的な感じが和らげられます。一方、干渉によって高域の減衰が予測されます。2360Aの大きなホーン開口部から放射される音の感じが好きなので、もう一組発注することにしました。





2004/04/13

幸せの黄色いホーン 53話 RX22



CH-1にと組み合せるドライバはPEAVEY社のRX22にしました。サウンドハウスで1万円位です。PEAVEY社はコンプレッションドライバを30年に渡り作り続けており、2インチダイアフラムドライバは、22、22A、22T、22TI、22XT、RX22と進化してきました。また、4インチドライバは44Tから44XTへと発展しました。

RX22は2000年ごろに発売された比較的新しい製品です。エッジと一体成型されたチタンダイアフラムとRadialinerという名称(商標)の新しいフェーズプラグを採用し、また、改良された磁性流体を開発したことにより高域特性の改善が図られたようです。ちなみに22XTは22Tの改良版であり1995年ごろ開発されました。RX22はこの22XTを磁気回路も含め全面的に変更した全く新しいタイプだそうです。ダイアフラムの互換性もないそうです。

高域特性は改善されたそうですが、パンフレットのレスポンスグラフを見てみると、10kHz以上はダラ下がりになり、イコライジングで持ち上げても15kHz程度までと思われます。それにCH-1のように比較的大きな定指向性ホーンと組み合せた場合には、あまり高域の伸びは期待できないと思います。


PEAVEY RX22

RX22のボイスコイル直径は50.8mm、外寸の直径が133mmで奥行きは74mm、重さは2.44kgです。ちなみにJBL社の2426Hは、ボイスコイル直径が一回り小さい44mm、外寸直径が134mm(マグネットカバーなし)で奥行きは104mm、重さは約4.3kgです。この重さの差は、RX22が安価だから・・・ではございません。2426Hのスロート取付け部に付属している鋳鉄製スロートアダプタの重さが原因。これはスタンダードサイズのネジ型スロートをボルト止めの1インチスロートに変換するためのもの。

こういうコンプレッションドライバの構造は、どれもこれも同じようなものです。ちがうのはダイアフラムの材質や大きさ、それに磁気回路の規模だけ。あきちゃったね・・・と思っていたら、なんと同軸ドライバを発見。BMS社の4590は、2インチスロート、リング型の中域ダイアフラムのボイスコイル直径が90mm、同じくリング型の高域ダイアフラムのボイスコイル直径が44.4mm。ダイアフラムの材質はポリエステルだそうです。オリジナリティがあるユニットは素敵ですね。