2022/06/12

AKG K701 with Behringer DEQ2496



#4、#5、#6の3つの素子は、中音グループの素子である。
#4は、120Hz以上の中低域を調整する。
#5は、120Hzから1.2kHzまでの中域を調整する。
#6は、1.2kHz以下の中高域を調整する。
画像は、#4が200Hz、1/3oct、-1.5dB、#5が447Hz、3/2oct、+2dB、#6が796Hz、1/3oct、-1.5dBである。




中域は音楽の基礎の帯域なので、ここのレスポンスが低下すると全体が暗く痩せた感じになってしまう。
イコライジング作業は低域や高域に気持ちが行くので、相対的に中域のレスポンスが低下しており、できあがった特性の音が、なんとなくさえない場合は中域のレスポンスの低下を疑うべきだ。
目安としてはボーカルが暗く痩せた感じの場合は、この状態にある。

中域の主役は#5の素子である。
約440Hzをとりあえずの中心周波数にしている。
ピアノのA4の音を想像すると、1オクターブ上とか下などが理解しやすい。
Q値は1oct以上と広くとって広い範囲で浅くブーストするとおだやかな効果が得られる。

#5の範囲を#4と#6の2つの素子で限定する。
3つの素子のうち両側の2つの素子で中央の素子の帯域を限定するのは、低域と同じ考え方である。
#5のQ値を大きくして広い範囲でブーストしても、#4によって中低域が一緒にブーストされることを阻止することができる。
#4によるカットは、音の厚みの調整のほか、低域と中域を分離することができる。
#4の中心周波数は150Hzから350Hzと広い範囲で選択できるが、たいてい200Hzか250Hzぐらいを選択している。

#6は800Hzか1.2kHzの中心周波数であり、若干のカットで使用する。
等ラウドネス曲線でこの2つの周波数帯域の耳の感度がやや上昇しているからである。
たいていは800Hzを選んでいるが1.2kHzで設定することもある。
#6を800Hzにする場合にはQ値は小さめ(1/3oct)、1.2kHzの場合はそれよりもやや大きめ(1/2oct)がよい。




2022/06/11

AKG K701 with Behringer DEQ2496



#2、#3、#4の3つの素子は、低音グループの素子である。
#2は、25Hzから50Hzの音にならないような最低域を調整する。
#3は、60Hzから120Hzぐらいの低域を調整する。
#4は、120Hz以上の、正確に言うと低域ではなく中低域の素子である。
画像は、#2が20Hz、3/4oct、-6dB、#3が80Hz、1oct、+3dB、#4が224Hz、1oct、-1.5dBである。




#3が低音グループの中心で、たいてい3dBを目安にブーストしている。
中心周波数は64Hzから80Hzが多い。

最低域の#2は、通常のスピーカーの場合はまともに再生できないので、カットしようがブーストしようが結果は同じである。
サブウーファーがあり、クラシックを再生する場合には、ここは思い切ってブーストしている。
但し、この最低域の極端なブーストは他の帯域をマスキングしてしまう効果を持っているので、その場合でもほどほどにしないといけない。
明瞭度を上げるため、この帯域はカットすることが一般的だと思う。

#4は低域の厚み調整用である。
この帯域を低音と一緒に持ち上げてしまうと低音が不明瞭になり、モヤモヤして締まりがなくなってしまう。
低音の姿をはっきりさせたいときは、この帯域をカットする。
目安としては160Hzが0dBになるようにしている。

クラシックの場合は、この#4の帯域のカットは限定的か、または行わない。
厚みがなくなってしまい、主に弦のパートが全く面白くなくなるからである。
#4は低音の質を決定する極めて重要な素子だと思っている。

#2と#4は、#3のブーストの範囲を限定する役目を持っている。
#3のQ値を大きくとって広範囲の低域がブーストされた際にも、#2により最低域が、また、#4により中低域がいっしょにブーストされるのを抑え込むことができる。
という訳で、低音のコントロールにはこの3つの素子が必須なのである。