JBLの人気ユニットやシステムには愛用者というかパトロンがついているようです。537-500(蜂の巣)なら菅野沖彦氏、D130や2397なら岩崎千明氏、4341なら瀬川冬樹氏、2220Bと537-512なら菅原正二氏という具合。それから、パトロンは人間でない場合もあります。例えば、537-509(ゴールドウイング)のパトロンはハーツフィールドだし、375や150-4Cならパラゴンとハーツフィールドがパトロンということになります。そういう意味で2155Hにはパトロンが出現しませんでした。
JBLの38cm同軸スピーカーユニットとして、2150というユニットがありました。これもあまり人気がなかった、というか話題にもならなかったような。ツィーターが中途半端な口径のコーン型というのが良くなかったと思います。ALTECの604等の人気にくらべると、JBLの他の同軸型(LE14C等)も今一つ人気が出ませんでした。
604Eは、スタジオモニターとしての実績がありました。2150や2155Hにはそういう実績がありません。それに、同軸型ユニットは興味深い歴史やマニアックな世界を持っているものの、その手軽さから入門用という側面も結構強いのです。しかし、オーディオブームが去ってしまい、JBL自作派の入門者がほとんどいなくなってしまったので、2155Hが注目されにくいのは仕方のないことなのでしょう。
2155Hのウーハー部のボイスコイル径は3インチです。これは604系と同口径。高域を伸ばしたかったからだと思います。タンノイも2インチぐらいです。JBLの38cmウーハーのボイスコイル径は4インチが主流ですが、そのほかに3インチ、2.5インチ、2.25インチ、2インチといろいろあります。
おそらくJBLの技術者は604やUREIのユニットを参考にしつつ、高域特性の兼ね合いや磁気回路の重量等からハイパワー用の4インチボイスコイルではなく、3インチボイスコイルを選んだのでしょう。そして、2155Hのウーハー部に手持ちのユニットの中から3インチボイスコイルのM151―8のフレームや磁気回路を流用したのだと思っています(この点については未確認です)。
定指向性ホーンとして同種であるマンタレイホーンを搭載した604-8Kと見比べると、2155Hのホーン開口部はほとんどコーン紙を覆うぐらい大きいです。これは素直にクロスオーバー周波数に影響しています。604系が1.5kHzまでしか落とせなかったのに2155Hは1.2kHz。
また、これだけ大きなホーンがついていると、ホーンスピーカーらしい音がするのではないかという期待も生じます。なお、30cm口径で弟分の2152Hのホーンは、ちょっと小さく作ってあり、ウーハー部の口径ごとに適正な大きさを選んでいるようです。ただ、2155Hにせよ2152Hにせよ、このホーンのデザインがいまいち。もう少し立体感というか、JBLらしい華のあるデザインにできなかったのでしょうか。
2155Hは、ステレオサウンド誌のフルレンジユニット特集の別冊等で取り上げられたことがありますが、好意的ではあったものの客観的な評価はあまり良くなかったような。しかし、乗りかかった船ですから、不安を抱えつつも正体不明の2155Hを買ってしまうことに決めました。
2150
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