2155Hをヒノオーディオに買いにいきました。電話すると一本5万5千円、在庫もあるとのこと。気持ちが変わらないうちに買ってしまおうと、すぐに出かけました。1996年の春雨が降ったりやんだりの週末のことでした。
オーディオ店にはもう何年も行ったことがありませんでした。苦手なのです。店に入るなり「こんにちは、先ほど電話した者です。2155Hを2本下さい。もしあれば連番でお願いします。」と早口でお願いしました。店長さんは、すぐに店員の若い人に「連番を探しなさい。」と言ってくれました。店員さんが探しにいっている間、店長さんが昔使っていたA7(A5だったかもしれません)の話をしてくれました。音がすっ飛んでくるので大変でしたと楽しそうに笑っておられました。また、2155Hは604の代わりに米軍の空母に搭載されるようになったようですよ、と教えてくれました。
「一組だけ連番がありました。」と店員さんが倉庫からユニットを持ってくると、店長さんは「素晴らしい」と一言。連番かどうかなんて品質管理の発達した現在においてどうでもいいことなのでしょうが、こんな風に言われるとうれしいものです。
2155Hを車のトランクに積み込み帰路につくと、ついにJBLを買ってしまったといううれしさと同時に、分不相応なものを買ってしまったのではないか?と少し不安な気持ちになったことを憶えています。
ユニットを入手してから、さっそく箱作りにとりかかりました。箱作りは、自分の手で設計し形にしてゆくプロセスが面白いです。これで3作目、工作技術はおそろしく低いです。
設計は、雑誌等に掲載されている意味不明の計算式から容積を割り出し、それが実効容積で160リットルぐらい(JBLの推奨容積は133リットル)。好きな4320のプロポーションを参考にし、外寸78×64.2×45cmにしました。そして、いつものように、最終的にボール紙で模型を作ってみて、板取りにまちがいがないかを確認し、渋谷の東急ハンズで板を切ってもらいました。21mm厚シナ合板のサブロク板と120×240cm板を各1枚、使いました。
低音が不足すると思ったので補強は少なめ、吸音材(グラスウールはガラス繊維を吸い込むと肺に悪そうなのでいつもフトン屋さんで売っている化繊を使っています)も少なめ。ダクトは、内径3インチ×4個で紙厚1cm弱の強靭な紙管です。これは紙の巨大なロールの芯に使うためのもので、そういう倉庫の外に捨ててあったのを断ってもらってきました。箱の仕上げは水性のウレタンクリア。小さな子供の攻撃からユニットを保護するため、PA用の安価な金網状のカバーを装着しました。
片方の箱は大変うまく組み上がったのですが、もう一方の箱は組みつけ方が悪く一部にほんのわずかズレができてしまいました(ちなみに東急ハンズのカットの精度は極めて高かった)。高校2年生の夏休み、おっかなびっくりしながら最初に作った箱にもズレができてずいぶん気にしましたが、今は、自作ならそういうことは当たり前、とあきらめられます。仕上がってみると、なつかしいビクターSX3のような印象を持つスピーカーになりました。
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