2352を同じような性能をもつ2380Aと開口部の形状を比較してみると、2352の縦方向の寸法は2380Aよりも随分大きいことが分かります。
2352の縦寸法は457mm、2380Aのは279mm。
2352では垂直方向にもフレア(added flare)を設けて開口縁での反射を低減している、と説明することができますが、こうした寸法のちがいは垂直指向性における低域側の限界周波数を引き下げる効果も持っています。
定指向性ホーンのカットオフ周波数の考え方は、音響インピーダンス整合の限界周波数とするエクスポネンシャルホーンの考え方とは大きく異なります。
定指向性ホーンでは、「所定のパターンコントロール角度の維持が可能な限界周波数」という考え方を採るためです。
さらに、この限界周波数は当然のことながら、水平指向性と垂直指向性のそれぞれについて決定されることになります。
ですから、定指向性ホーンの低域側のカットオフ周波数は、「水平が358Hz、垂直が806Hz」というような表示になります。
上の画像はJBLの"Audio Engineering for Sound reinforcement"の139ページです。
ここには、定指向性ホーンにおける最低周波数の計算式が掲載されています。
「f0=1000000/θh
f0: 低域側限界周波数
θ: -6dBパターンコントロール角度
h: ホーン開口寸法」
これはキール氏のJBL 2360の米国特許公報に記載されていた例の計算式、W=K/AFと実質的に同じです。
定数が25000m・degrees・Hertzと記載されていたので、25000とはおかしな定数だなぁと思っていたら、要するにホーンの高さと幅寸法をインチ単位で計算するからこんな定数になっていたのです。
米国特許に記載されているパターンコントロール角度は0.9B、1インチ=0.0254mということで計算するとだいたい似たような値になると。
そして"JBL Audio Engineering for Sound reinforcement"の解説には、こんなことが書いてあります。
「上記の計算式、f0=1000000/θhは、垂直指向性と水平指向性をそれぞれ計算して求めなければならない。JBL 2360の場合、ホーンの水平、垂直の寸法は何れも31インチ。90°の水平指向性を維持できる低域側の周波数は、f0=1000000/θhという上記の式から358Hzとなる。同様に40°の垂直指向性の低域側の周波数は806Hzになる。」
上記説明の文章には低域側の限界周波数について、パターンコントロールの最低カットオフ周波数(the lower cutoff frequency for pattern control)という表現が用いられています。
これからも分かるように、定指向性ホーンのカットオフ周波数の概念は、エクスポネンシャルホーン等のカットオフ周波数(音響インピーダンス整合が可能な限界周波数)とは、全く異なる考え方に基づいています。
エクスポネンシャルホーン、ハイパボリック、トラクトリックス等のホーンの軸上のレスポンスがフラットな状態をして音響インピーダンス整合がとれている、などと説明されても、軸外のパターンコントロールが出鱈目では「整合」の意味がありません。
定指向性ホーンの出現により、音響インピーダンスのマッチングという概念に基づくカットオフ周波数はホーン設計における絶対的な要素ではなくなりました。
2352の縦寸法は457mm、2380Aのは279mm。
2352では垂直方向にもフレア(added flare)を設けて開口縁での反射を低減している、と説明することができますが、こうした寸法のちがいは垂直指向性における低域側の限界周波数を引き下げる効果も持っています。
定指向性ホーンのカットオフ周波数の考え方は、音響インピーダンス整合の限界周波数とするエクスポネンシャルホーンの考え方とは大きく異なります。
定指向性ホーンでは、「所定のパターンコントロール角度の維持が可能な限界周波数」という考え方を採るためです。
さらに、この限界周波数は当然のことながら、水平指向性と垂直指向性のそれぞれについて決定されることになります。
ですから、定指向性ホーンの低域側のカットオフ周波数は、「水平が358Hz、垂直が806Hz」というような表示になります。
上の画像はJBLの"Audio Engineering for Sound reinforcement"の139ページです。
ここには、定指向性ホーンにおける最低周波数の計算式が掲載されています。
「f0=1000000/θh
f0: 低域側限界周波数
θ: -6dBパターンコントロール角度
h: ホーン開口寸法」
これはキール氏のJBL 2360の米国特許公報に記載されていた例の計算式、W=K/AFと実質的に同じです。
定数が25000m・degrees・Hertzと記載されていたので、25000とはおかしな定数だなぁと思っていたら、要するにホーンの高さと幅寸法をインチ単位で計算するからこんな定数になっていたのです。
米国特許に記載されているパターンコントロール角度は0.9B、1インチ=0.0254mということで計算するとだいたい似たような値になると。
そして"JBL Audio Engineering for Sound reinforcement"の解説には、こんなことが書いてあります。
「上記の計算式、f0=1000000/θhは、垂直指向性と水平指向性をそれぞれ計算して求めなければならない。JBL 2360の場合、ホーンの水平、垂直の寸法は何れも31インチ。90°の水平指向性を維持できる低域側の周波数は、f0=1000000/θhという上記の式から358Hzとなる。同様に40°の垂直指向性の低域側の周波数は806Hzになる。」
上記説明の文章には低域側の限界周波数について、パターンコントロールの最低カットオフ周波数(the lower cutoff frequency for pattern control)という表現が用いられています。
これからも分かるように、定指向性ホーンのカットオフ周波数の概念は、エクスポネンシャルホーン等のカットオフ周波数(音響インピーダンス整合が可能な限界周波数)とは、全く異なる考え方に基づいています。
エクスポネンシャルホーン、ハイパボリック、トラクトリックス等のホーンの軸上のレスポンスがフラットな状態をして音響インピーダンス整合がとれている、などと説明されても、軸外のパターンコントロールが出鱈目では「整合」の意味がありません。
定指向性ホーンの出現により、音響インピーダンスのマッチングという概念に基づくカットオフ周波数はホーン設計における絶対的な要素ではなくなりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿