2004/04/02

幸せの黄色いホーン 42話 2155Hふたたび



ローライダー18にウーハーの座を奪われた2155Hは、ピアノモニター用として復活することになりました。LS-11EXの代わりということになります。ピアノシステムは、メインシステムを引退した機材による寄合いシステムの様相を呈してきました。

2155Hは21mmシナ合板で作った小さなバスレフ箱に入れることにしました。外寸650mm×480mm×282mm(内寸608mm×438mm×240mm)で実効容積55リットル程度です。ダクト開口寸法は100mm×100mm、ダクト長は86mmです。吸音材はなし。端子はスピコンのNL4MPRです。仕上げは今回同時に製作したローライダー18の箱と同様、白色との粉による板端面の目止めと水性ウレタンクリアの3度塗りです。

Q値の大きなユニットを小さな箱と組み合せると、ボンついた低音になる恐れがあると雑誌に書いてありました。2155HのQ値がそこまで大きいとは思えないので、おそらく単に低音が出にくくなるような気がします。ダメならEQ調整でごまかそうと思います。




2155Hをメインシステムの46cmウーハーや大型ホーンと比べてしまうと、これは残念ながら勝負になりません。2155Hはホーンの浸透力を備え38cmユニットらしい幅のある音の出方をしますが・・・ そうしたこと以外にも中低域が薄く音楽の豊かさが乏しい感じがします。でもピアノスタンドに仕込んだ1808-8SPSの分厚い低域や中低域がそれを補ってくれるのではないでしょうか。




今回はネットワーク駆動に戻します。2155Hのネットワークとマルチアンプ駆動との差については、マルチアンプでも12dB/octの遮断特性を選択すると、ほとんど同じ傾向の音になります。もっとも、バイラジアルホーンですからEQによる高域補正は必須であり、そういう意味においては純粋に比較したことにはならないかもしれません。

こうした細かい話はさておき2155HはJBLらしい音を聴かせてくれます。それに愛着もありますし、こういう古典的な構成のユニットが身近にあるとそれだけでうれしいものです。なお、2155Hのウーハー部は151-8のフレームや磁気回路を流用したものではないかと以前書いてしまいましたが、最近151-8のサービスマニュアルを見たところ全く別物のようです。両者のフレーム形状は完全に異なっており、また磁気回路も151-8の方がかなり大きいようです。お詫びして訂正いたします。








2004/04/01

幸せの黄色いホーン 41話 音像の高さ



ローライダー18の鳴らし込みは順調に進み、どんどん低音の再生能力が向上してきました。量感、質感共に全く文句ございません。情けないことにこれまでオーディオをやってきて満足な低音を出すことができたのは初めてのことです。録音時に低域を持ち上げたと思われるCDではベースのお化けが床を這い回るようになりました。このため最低域のブーストはやめました。

音量を上げてゆくと壁や薄い天井の共振が激しくなり低域が不明瞭になってきます。YSTの導入以前、2155Hの低音不足に悩んでいたころ、JBLの46cmフルレンジであるE155の導入を検討したことがあります。資料が手に入らなかったため当時の日本代理店にFAXで資料を送ってもらいました。そのとき詳しそうな担当者の方と電話でお話したところ、家庭内での使用は強烈すぎると思います、というアドバイスをいただきました。46cmウーハーが家庭用スピーカーとして根付かないのは箱の大きさのせいもありますが、低域のエネルギー量が無用に大きすぎるせいだとも思います。

鳴らし込みが進んできたので、ここでもう一度調整を行いました。最初に手をつけたのは2402H-05のコンデンサ容量の再調整です。半田ゴテ片手にコンデンサの表面の文字をふと見ると、「2.0μF」だと思い込んでいたコンデンサには「2.2μF」の表示が・・・ 購入した時からずっと勘違いしていたようです。

というわけでコンデンサ容量は3.67μFでは大きすぎ、2.67μFでは小さすぎると。ならばその中間位の3.2μFにすればドンピシャのはず、と試してみたところ、聴感上はバランスがとれたようです。でも、イコライジングをさらに追い込む予定なので、これで決まりにはならないと思います。




なんとなく整ってきた感じがするのでローとハイの位相を見直してみることにしました。2155Hのウーハー部を使用してきたときから、ローとハイ(2446H)は共にアブソリュートでの正相接続にしてきました。ハイ側を正相接続にすると音像が前に出てくる一方、音像が若干大きくなるという傾向があります。ハイ側を逆相接続にすると音像がやや奥に引っ込み、その一方音像は小さく引き締まります。

こういう場合、一般的には音像が引き締まる逆相接続が正解だと思うのですが、音像が前に出てくるほうが好ましいと思っていたため、あえて正相接続を選んでいました。しかし、鳴らし込みによりローライダー18の中低域の質感が高まってきたこともあり、引き締まった音像を得ることができる逆相接続に変更しました。

今回の調整を行ったとき、主な音像が目の高さに現れることに気付きました。正確に言うと耳の高さだと思います。座っていると音像の位置は座っているときの耳の高さに、立ち上がると立ったときの耳の高さになるようです。水平線は常に目の高さと同じ位置に見えます。音像の位置も同じことのようです。2360Aの垂直方向の指向性が優れているためなのか、音離れが良好なためなのか、それともスピーカーユニットの高さに音像が出現すると思い込んでいたためなのか、これまで全く気付きませんでした。