2004/06/06

幸せの黄色いホーン 86話 PD.2450(1)



モノラル6ウェイとのつきあいは良好です。なんだかんだとDCX2496の設定を変更し聴き比べています。これは楽しい。1008-8HEのミッドベース帯域のさじ加減でシステム全体の雰囲気が大幅に変ります。この帯域が張り出したパンチと厚みのある音、これが段々と心地よくなってきて・・・う~む、音の好みがふらついて迷子になりそう。

ところで大型ホーンから豊かな響きを得るためにはサブウーファー帯域の低音をたっぷり供給することが大切、というようなことを日頃から感じています。46cmウーファーのローライダー18にはその能力があると思っていたのですが、ヨハネスさんの30W(30インチウーファー)×4発を聴いてしまうと… という訳で、スピーカーユニットのお買い物道楽記もいよいよ大詰め。真打登場です。プレシジョンデバイシズ(Precision Devices)社のPD.2450(カタログ散策の11話をご参照下さい)を2本購入。78話の「馬鹿馬鹿しいシロモノ」とはこれのことです。

この61cmウーファーユニットに興味を持った発端は、海外のPA用サブウーファーシステムの自作に関するBBSを読んでいたため。業務用スピーカーユニットマニアの間で「PD.2450を聴いたことある方はいませんか?」とか、「箱はどういうのが合うのでしょうか?」などという話題が時々出てくる。調べてみると、このプレシジョンデバイシズ社は、ターボサウンド(Turbosound)社と同じ業務用音響メーカーの企業グループに属しており、同社へスピーカーユニットを供給しているようです。最近(2007年)同じ英国のFANE社も買収したようでなかなか意気盛んです。また、プレシジョンデバイシズ社は、タンノイ社へも同社の業務用スピーカーシステム用のユニットを供給しているようです。

ターボサウンド社というとTMS-3やTMS-4が有名です。野外コンサートのような大規模PA用スピーカーシステムで一世を風靡しました。最盛期は80年代後半でしょうか。このTMS-3やTMS-4の活躍により、それまで使用されてきたJBL社の4560や4550をベースとするPAシステムを見かけなくなりました。ターボサウンド社とプレシジョンデバイシズ社の連合艦隊は、JBL社の大規模PA艦隊の撃破に成功した、ということになると思います。でも、現在のターボサウンド社には当時の勢いが感じられません。ターボサウンド社の設立者の一人であるトニー・アンドリュー氏が1992年に同社を辞め、ファンクションワン(Funktion One)社を立ち上げてしまったから?




TMS-3

TMS-3は、15インチウーファー×2+ホーン、10インチミッドベース×2+ホーン、2インチコンプレッションドライバー+ホーンという3ウェイホーンシステムです。上の画像の置き方の場合、幅101.9cm×高さ84.4cm×奥行き57.8cm。重さは134kgです。システム構成から考えると非常にコンパクトだと思います。




TMS-4

TMS-4は、18インチウーファー×1+ホーン、10インチミッドベース×1+ホーン、1インチコンプレッションドライバー+ホーンという3ウェイホーンシステムです。上の画像の置き方の場合、幅50.2cm×高さ114.3cm×奥行き73cm。重さは75kgです。46cm3ウェイという構成にはなんとなく親近感があります。当時、TSM-3よりも斬新なシステム構成だったのではと思っています。



GS-1

話は変りますが、80年代中期に突然出現したオンキョー社のグランドセプターGS-1、なんとなくTMS-3の影響を受けたのではないかと考えています。このGS-1に関してはオーディオ懐古録やオーディオの足跡に詳しい解説が掲載されています。






2004/06/05

幸せの黄色いホーン 85話 多連フェーダー



DCX2496をデジタル入力で使用しているため、ボリューム調整用の多連フェーダーを製作することにしました。使用したのはアルプス電気のRSKシリーズのミキサー用2連スライドボリュームです。10kΩ、Aカーブ、操作部形状は9-T。電即納という直販サイトから11個以上購入すると極端に単価が下がるために11個購入しました。それからRCA入出力端子板。これは12個口のものを3つ購入しました。

これらの部品を机の上であれこれ並べてみます。スピーカーシステムならユニットを購入する前に設計図を作ることができますが、多連フェーダーなど作ったことがないので完成したイメージが湧かず、すんなり進みません。連動誤差の不安もありますし、バッファアンプを省略した試験的なものになると思うので、できるだけ簡単に作ってしまいたい。でも、触れる頻度が高い機材ですから、しょんぼりしてしまうような仕上がりでは困ります。

ところでこの手のフェーダーの自作には2つの大きな問題があります。まず、フェーダーをどんな具合に取り付けるのかということ。フェーダーを取り付けるためにはアルミ板にスリット加工を行う必要があります。東急ハンズに相談してみると、そういう加工はできませんときっぱり。そういう即答は幸せを遠ざけるよねぇ…という訳で他力本願の道は早々に閉ざされてしまいました。

次に立ちはだかる問題がフェーダーをどうやって連動させるかということ。これはずらっと並んだノブ同士を棒のようなもので連結すればいいのですが、この連結はしっかりとしたものでなくてはなりません。また、組立ての容易性やメンテナンス等を考えると、この連結棒は取り外しができるようにしたい。

とりあえず厚さ3mmの工作用の木の細板を購入し、多数のフェーダーをビスで細板に固定、アルミの丸パイプ(直径19mm)を両面テープでノブに貼り付けフェーダーの連動実験をやってみました。1cm幅の厚手の両面テープをノブの幅に切断し、各ノブにそれを1枚ずつ貼っていきました。でも、これはダメ。丸パイプはしっかりとノブに固定されるのですが、フェーダーのスライド方向に対して斜めになるような力を加えると、その力の方向にノブの列が簡単にゆがんでしまいます。

丸パイプを取り外し可能にするというのをあきらめて瞬間接着剤で固定するしかないか…と考えたのですが、ダメもとで横一列に並んでいるノブの上面に両面テープを張り渡すように貼ってみたところ、不思議なことにこれが大成功、ガッチリ固定できます。今度は斜めになるような力を加えてもノブの列が全くゆがみません。うふん。

こんな実験をしているうちに、フェーダー取り付け用のスリットなんかいらないんじゃないの?というお手軽な結論に至り、できちゃったのがこれ。





3mm厚アルミ板と両面テープで貼り付けてある40mm角のアルミサイコロが主成分。1円硬貨7枚を接着剤で張り合わせたスペーサーで脚部の高さを稼いでいます。アルミの丸パイプも豪華なアルミムク棒(直径20mm)に変更。土台の板はスピーカー作りの際に余っていた端材です。この板の端面には実験用に購入した細材の余りを貼り付けました。アルミ材の切断と切断面の仕上げには時間がかかりましたが、がっちりしている上にずっしりと重く、なんだかうれしい仕上がりに。





使用した線材はベルデンの1503A。最初にモガミのシールド線2520を購入してみたのですが、並外れて手先が器用!なものですから細い芯線さん達はすぐに折れたり切れたりしてどっかに旅立たれてしまいました。一方、ベルデンは芯線が太くしっかりしており、こちらは大丈夫。という訳で紆余曲折の多連フェーダーの製作、たっぷり楽しめました!

(このフェーダーの製作にはARISAさんからアドバイスやヒントを頂きました。ありがとうございました。)