2004/05/14

幸せの黄色いホーン 74話 モノラル4ウェイの調整



巨大な2192ですが、2、3日そのままの状態にしておくと、段々と目が慣れてきたのでしょう、この部屋にしばらく置いておいてもいいかなって気になってきました。家族の方も、この馬鹿馬鹿しい巨大ホーンに対応しかねている状態ですから、彼らの混乱に乗じてもう少し遊んでみることにしました。

片付けるのが惜しくなったのは、モノラルなのになかなか聴かせてくれるから、ということもあります。ご存知のようにモノラルって少しさびしい感じがしますよね。でも、2192が朗々と鳴るために物足りない感じがしないのです。結局、2006年の10月から2007年の1月いっぱいまで、このモノラル4ウェイのシステムを聴くことになりました。

相変わらず耳だけでレベル調整を続けていきました。なかなかうまく鳴ってくれません。特定の帯域でかなり強い刺激音がします。部分的にエネルギー感が暴走している感じ。これが2392+2490Hが原因なのか、それとも2332+2451Hが原因なのかが判然としません。

3ヶ月ほどがんばってみたものの、とうとう白旗。そこでちょっとだけカンニングすることにしました。JBL社のサイトからダウンロードした2192のデジタルチャンネルデバイダー(DSC280)の設定表、これをチラッと(ホントはマジマジと)見てしまいました。本格的なマルチアンプは初めてだから修行するのだ!という当初のココロザシは、どこ行った?




これはなかなか複雑。それにしても、Bチャンネルの「Lows」って何? これ、どんなウーファー部? それはさておき、2451Hの2つのイコライジングの内の一つがミスプリントのようです。Q値が-3というのは明らかにおかしい。これ、Q値が0.2で、レベルが-3dBの間違いでしょうね。しかし、Q値0.2というのはプロの凄さ。Q値がこれほど小さくなると非常に広い帯域に渡って浅くカーブすることになります。こんな設定、到底思いつきません。2490HのイコライジングのQ値も0.3です。※

さらにクロスオーバー周波数では、2490Hのハイカット(1.23kHz)と2451Hのローカット(1.62kHz)と両者の周波数が違う。これもミスプリか?と、この時は思ったわけです。結局、このパンフレットの設定はミスプリントのテンコ盛りにちがいないと、適当に無視することにしました。なお、「LR」というのは、Linkwitz-Rileyの略でしょう。DCX2496では、Linkwitz-Rileyの-12dB/oct、-24dB/oct、-48dB/octの3種類のスロープ特性を選ぶことができます。

JBL社の設定表の中から、スロープ特性、2451Hのディレイタイム(2ms)、2451Hと2490Hのイコライジング設定を拝借し、さらにレベル調整と各帯域別のイコライジングを詰めてゆきました。マルチアンプ初心者なりに理解できたのは、2490Hではなく2451Hのレベルやイコライジング設定によってシステム全体の音の雰囲気が大幅に変わってしまうということです。こうして、特定の帯域での強い刺激音が未解決のままとはいえ、2007年の1月末には、ある程度満足できる状態に追い込むことができました。



※訂正です。
ここに表示されている2192等の設定表は、Q値ではなくBandwidthで表示されています。
このため、BandwidthをQ値に換算するとC1のBandwidth0.3はQ値の約4.8、D1のBandwidth0.5はQ値の約2.9、D2のBandwidth0.2はQ値の約7.2ということになります。




2004/05/13

幸せの黄色いホーン 73話 モノラル4ウェイでの音出し



2192のパーツが全部揃ったのは2006年9月30日の午前10時。珍しくすぐに行動開始。正常に動作するのかどうか試聴してみることにしました。組み上げてみると、これは大きい。黄色いホーンの2360A+2446Hを組み上げたときにも、その大きさに驚きましたが、今回もやっぱり動揺してしまいました。それにしてもこの後ろめたさ、プライスレス・・・

とりあえず「音が出るのかなテスト」ということで、2色ホーンシステムに接続して以下のようなモノラル4ウェイのマルチアンプシステムを急造しました。DCX2496はモノラル6ウェイまで対応しており、また、AVアンプのDSP-AX450は5つのパワーアンプを搭載しているため、モノラルであれば5ウェイマルチアンプシステムまで構成することができます。




各チャンネルのレベルをざっと合わせて音を出してみました。正常に作動するので、音を出したこの2192をすぐに分解、もう一本の2192を組み立てて音出しします。こっちもOK、一安心。耳だけでレベル調整を始めましたが、しかし、どんどん訳の分からない感じになってきて手に負えません。モノラルとは言え、相手は4ウェイ。

これは難しい。測定しようか?と思ったのですが、これは止めときました。測定結果に引きずられてしまい偏見ができてしまうこと、それから使い手の訓練のためです。また、長い付き合いになるのですから、先を急ぐ必要もありませんし。

という訳で、レベル調整をあれこれ試してみると、ホーン臭い音やホーン鳴きのような音が出たり、そうした音が不意に消えてしまったりします。太い音が出るかと思えば、今度は細い音が出る。ともかく様々な音が次から次へと出てきます。七変化、これは面白い。そして、こうした音の変化を聴いていく内に、これはうまくいきそうだと思うようになりました。鳴らし込みが足りないため音数が少ないし、鮮やかな感じも出せない状態でしたが、なかなか端正な音。どうにもならないようなクセは感じられず、家庭内での使用を拒絶するような驚天動地の音?ではありません。これなら好みの音にまとめて行けるかも、と思うようになりました。