2013/11/11

YAMAHA MT-07

ヤマハのツインが出てしまいました
乾燥重量164kg、ホイールベース1400mm。
うむむ。




スチール製パイプバックボーンフレーム。
短いスイングアーム。
リンク式モノクロスサスペンションのショックユニットはほぼ水平に配置され、その端部はクランクケース上面に装着されている。


689cc、DOHC4バルブ、270°クランク。
80.0mmx68.6mm
11.5:1
74.8ps/9000rpm、 6.9kg-m/6500rpm


F120/70ZR17、R180/55ZR17
車両重量 179kg
タンク容量 14L

理想的だなぁ。
困ったなぁ。






乾燥164kgでトルク6.9kg-mというのは経験がないです。
ものすごく速いような気がします。
CB750FZが乾燥228kg/トルク5.9kg-mで、これでも全開にすると凄まじかった。

前輪荷重はそんなに大きくないように見えます。
このため、ハンドリングは"弱アンダーでビクともしないというタイプ"ではないと思います。
RZ250ほどではないと思うけど、コーナーの脱出加速で前輪の接地感が失われるほどの軽快さを持っているのかも。

普通に走らせるならツインの親近感が味わえると思いますが、本気で走らせるとかなり怖いバイクのような気がします。
初心者や返り咲き組用にもなんて書いてあるけど、 Rise up your darknessって、挑発的なエンジン特性なのかなぁ。


そのエンジンを見てみるとクランクシャフト前方に大きなバランサーが配置されており、振動低減を図ることによりパイプバックボーンフレームを実現していることが分かる。
また、排気側バルブは可変タイミングタイプだと思う。(訂正記事 下のほう)
さらに、DOHCはシム調整による直打式になっており、スロットルレスポンスを重視していることも分かる。

デザインは少しごちゃごちゃしてるけど正統派のロードバイクのプロポーションを持っており悪くないと思う。
足回りにもほとんどケチをつけるところがない。
YAMAHAらしいというか、YAMAHAしか作れない素晴らしいロードバイクだと思います。






2013/11/09

DIY Speaker (73)

ハイホーンのベル部の各部寸法です。
板厚は全て12mm。


ところでベル部のフリース生地は、張り渡すとフリースは内側に湾曲してしまいます。
下の画像はその湾曲具合を撮影したものです。
よく見るとスロート側になるほど湾曲の程度が大きくなります。
エクスポーネンシャルホーンのような雰囲気があります。




このフリース生地の湾曲を考慮して設計を行いましたが、実際に樹脂が硬化すると、想定していたよりも湾曲の程度が強い。
下の図は、左側が設計時のもの、そして右側が樹脂硬化後に設計変更したものです。
赤い斜線で示すスペーサーを取り付けてスロート部を深くし、ベル部の形状とスロート部の形状の整合を図ろうと思います。




ホーンの設計において、ホーンの開口寸法とホーン長は非常に重要な要素とされてきました。
何故、重要なのかというと低域の再生限界を定め、また、音響インピーダンスの変換の最大効率を狙うためです。
エクスポーネンシャルホーンやトラクトリックスホーン等はスロート口からの距離に応じてホーンの断面積が徐々に広がるように設計されています。
ところが、こうしたホーンでは高域になるにつれて指向性が狭くなってしまう。
軸上のレスポンスはフラットであっても、軸外のレスポンスががた落ちになり、いわゆるビームを発生してしまいます。

変な想像かもしれませんが、音波の立場からすると、 エクスポーネンシャルホーンやトラクトリックスホーン等は大変居心地の良いホーンではないかと思います。
音波の広がりがホーン壁面によって制限されていることを除けば、音波の広がりに極端な変化が無いからです。
すると音波は好き勝手に振舞い、高域になればホーン壁に沿って広がるのを拒否し、ビームとなってリスナー側へ飛んでくるようになります。
このビーム現象以外にもfingeringのようなクセのある指向特性や歪率の悪化が問題となります。

リスニングルームの形状においても同じようなことが言えると思います。
立方体のリスニングルームは、直方体のリスニングルームよりも音波にとって均一の空間です。
音波にとって均一な空間は音波の好き勝手な振る舞いを許すことになります。
そこで不均一な空間にして好き勝手な振る舞いを阻止するために壁を凸凹にしたり天井を傾斜させる。
こうすることにより特定の帯域で発生する定在波や強烈な反射を防止する。





ではホーンのビームの発生を阻止するためにはどうしたらよいか。
音波の振る舞いに強制的な介入をする必要があります。

最初に考え出されたのがマルチセルラホーンでしたが、効果はありませんでした。
これは音波側から見れば大きな単一のエクスポーネンシャルホーンにすぎないためホーン中央部からのビームを解消することができず、また、各セルラにおいてもそれぞれビームを生じてしまいます。

複数のスラントプレートから構成されているホーンレンズは、プレートがホーンの開口部に設けられているため、やはり高域におけるビーム現象を解決することができません。
ホーン内でビームが発生してしまったあとにプレートを並べても思ったような効果をあげられないということです。



また、回折ホーンは回折部がホーンの縁にあるため、やはり高域でのビーム現象が生じてしまいます。
これは回折された音波が周囲に拡散してしまうため、軸上と軸外の音圧レベル差が大きくなってしまうことに起因するのではないかと考えています。





そして定指向性ホーンが発明されます。
最初はキール氏が考案した3段階の広がりを持つ複合ホーンでした。
そしてスロート口から一定の距離に回折部を設けたJBL2360やMR94が開発されます。
回折ホーンの外側にさらにホーンを取り付けたような構造。
ホーン内部に設けた回折部が音波を分散し、ビーム現象の発生を防止することができました。
音波側から見ると、この回折部は好き勝手な立ち振る舞いを許さない意地の悪い存在になるわけです。

ホーン内部の回折部の隙間は、狭いほどより高域においても回折効果を発揮し続けます。
回折部の隙間を狭くするためには、できるだけスロート口に近い位置に回折部を配置すればいいことになりますが、それはそれで問題があるようです。
JBL2352ホーンでは、高域になるにつれて垂直指向性がどんどんナローになってゆきます
垂直方向における音波の分散を行う構造を持たないからです。





今回のハイホーンは、こうしたホーンの技術史の理解をベースにして設計しました。
低域再生限界としてのカットオフ周波数は最初から考慮していません。
経験的にこの程度の大きさがあれば3ウェイでは十分以上だからです。

現在入手している情報ではホーン内における回折後の音圧分布等を計算で求めることはできません。
計算したいのはカットオフ周波数ではなくそうした要素なのですが、おそらく計算できたとしてもこのアバウトな性格ですからそんな面倒な事はやらず、やっぱり適当に作っちゃうと思います。