2022/06/11

AKG K701 with Behringer DEQ2496



#2、#3、#4の3つの素子は、低音グループの素子である。
#2は、25Hzから50Hzの音にならないような最低域を調整する。
#3は、60Hzから120Hzぐらいの低域を調整する。
#4は、120Hz以上の、正確に言うと低域ではなく中低域の素子である。
画像は、#2が20Hz、3/4oct、-6dB、#3が80Hz、1oct、+3dB、#4が224Hz、1oct、-1.5dBである。




#3が低音グループの中心で、たいてい3dBを目安にブーストしている。
中心周波数は64Hzから80Hzが多い。

最低域の#2は、通常のスピーカーの場合はまともに再生できないので、カットしようがブーストしようが結果は同じである。
サブウーファーがあり、クラシックを再生する場合には、ここは思い切ってブーストしている。
但し、この最低域の極端なブーストは他の帯域をマスキングしてしまう効果を持っているので、その場合でもほどほどにしないといけない。
明瞭度を上げるため、この帯域はカットすることが一般的だと思う。

#4は低域の厚み調整用である。
この帯域を低音と一緒に持ち上げてしまうと低音が不明瞭になり、モヤモヤして締まりがなくなってしまう。
低音の姿をはっきりさせたいときは、この帯域をカットする。
目安としては160Hzが0dBになるようにしている。

クラシックの場合は、この#4の帯域のカットは限定的か、または行わない。
厚みがなくなってしまい、主に弦のパートが全く面白くなくなるからである。
#4は低音の質を決定する極めて重要な素子だと思っている。

#2と#4は、#3のブーストの範囲を限定する役目を持っている。
#3のQ値を大きくとって広範囲の低域がブーストされた際にも、#2により最低域が、また、#4により中低域がいっしょにブーストされるのを抑え込むことができる。
という訳で、低音のコントロールにはこの3つの素子が必須なのである。





2022/06/10

AKG K701 with Behringer DEQ2496



昔のアンプのトーンコントロールには、ターンオーバー周波数の切替えスイッチを備えた機種があった。
これは、Q値を変えると似たような特性が作れる。
画像は、Q値を5オクターブから3オクターブに変更した特性だ。




#1と#10の2つの素子による変化は広範囲に及んでいるので、スピーカーやヘッドホンの個性をそのままに全体の帯域のエネルギーバランスを好みの方向へ持っていける。
部分的な帯域が強調された妙な音になる可能性が小さい。

#1と#10の2つの素子は、低域、中域、高域の各帯域の調整をしたのち、全帯域のエネルギーバランスを最終的に微調整するのに使用すると大変作業効率が高い。
部分的な帯域をそれぞれ調整して全体のエネルギーバランスの微調整をおこなうのは非常に大変なのだ。

なお、アナログのグラフィックイコライザで傾斜した特性を瞬時に作るには、傾けた定規にノブを次々に当ててゆけばよい、と考えている、がどうだろうか?