東京都交響楽団の第731回定期演奏会に行ってきました。
指揮はエリアフ・インバルさん。
メゾソプラノはイリス・フェルミリオンさん、テノールはロバート・ギャンビルさん。
曲目はマーラーの亡き子をしのぶ歌と交響曲「大地の歌」。
どちらも素晴らしい演奏でした。
マーラーさんを好きになったというか、理解できるようになった。
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亡き子をしのぶ歌は震災のあとなのでこれは聴くのは辛そうだなぁと。
それに大地の歌は酒に酔った厭世的な内容。
酒に酔うような話は嫌いなんだ。
そんな気持ちでコンサートへ。
しかし亡き子をしのぶ歌が始まるとそのあまりに悲しく美しい音楽がだんだんと気持ちに入ってきます。
歌詞はフリードリヒ・リュッケルトさんの詩による。
リュッケルトさんの二人の子供さんがお亡くなりになった心境が綴られた詩。
そしてマーラーさんの娘マリアさんもこの曲が作曲された4年後にお亡くなりになったそうだ。
1901年から1904年にかけて作曲され、初演は1905年1月29日。
100年以上経過している。
それなのにこれだけの人がコンサートに集まり、リュッケルトさんの二人のお子さんとマーラーさんの愛娘マリアさんの死について考え、その悲しみを想像する。
100年たっても曲を聴いた人々が気持ちをよせるというのは凄いことだ。
思い出すことが亡くなられた3人の子供さんを蘇らせる。
だから100歳以上長生きしたのと同じになる。
さらに子供を亡くすという悲しい体験をした方はこの曲を聴けば深く共感するだろう。
共感はその人を癒し救う。
厭世的なはずの大地の歌は、だからこんな具合に聴くことができた。
長女マリアさんを失い、さらに反マーラー運動でウィーン宮廷歌劇場監督の地位を辞任せざるを得なくなって、もしもマーラーさんが本当にイヤになっちゃったら、こんなに素晴らしい交響曲を作曲することはできなかったであろう。
作曲時期は1907年から1909年。
当時はブルジュア支配層による貧富の差の拡大、理性的人間観の敗北、社会主義や民族主義の台頭と、どんどん世の中がおかしな方向へ傾いてゆき、第一次世界大戦(1914年~1918年)に突入する寸前。
中国の詩に含まれていた西洋にはない価値観の提示というより、厭世的な気持ちをこんなに素晴らしい曲に仕上げてしまったということが素晴らしい。
「しかるに人間よ お前の生はいかほどか?
百年と持たぬではないか。
朽ちるばかりの瓦落多(ガラクタ)にうつつをぬかしながら。」
「涙は止まるところをしらない 我は独り
あまりに長い 心の秋
愛の太陽よ お前はもう輝ってはくれないのか
苦渋の我が涙を優しく乾かしてはくれないのか」
「人生もまた一場の夢なら艱苦に耐えて何になろう?」
というような内容であってもそれを高度な交響曲に織り込んでしまった。
マーラーさんはとても音楽が、作曲が好きだったのだ。
イヤになっちゃうことも音楽で客観化し克服してしまった。
ということは…
好きなことを存分におやりなさい、というメッセージだったのではなかろうか。
そうすれば思い残すこともないかもね、というメッセージだったのではなかろうか。
ガラクタという言葉は傍観者の言うこと、ガラクタかどうかは本人が決めることだ。
我々に残されている時間は少ない(のかもしれない)。
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今回もマルチマイク録音がされていました。
ところがマイクの配置が以前のと全然ちがう。
音に対する考え方が違うのが分かる。
面白いなぁと思いつつも、これだけ違うとマルチマイクなどと十把一絡げでは片付けられないな。
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これで2011年度の東京都交響楽団定期演奏会会員のコンサートはすべて終了。
2012年度も同交響楽団定期演奏会の会員です。
後期は少ないので他のコンサートにも行こうと思っています。
Commented by bj44v190e at 2012-03-31 13:50 x
一見マルチマイクでも実は違うというものがあります。たとえばTBMジャズ録音で有名な神成さんは超オンマイクのイメージを持つ人が多いのですが、じつはクラシックもジャズも同じ手法で録音するひとで、オフマイクのペアをメインにして、近接マイクが補助です。
Commented by kiirojbl at 2012-04-02 00:51 x
なるほどです。
前回は楽器毎にマイクが立てられた状態だったのですが、今回は第一、第二バイオリン、ビオラ、チェロの方向へ各1本づつ計4本、それから打楽器に2本と何故かホルン1本という具合でした。
それ以外はオーケストラ上空のオフマイクです。
近接マイクを補助に、という使い方のように思います。
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