2024/06/15

Remodeling Altec System



A-S301はシングルプッシュプルである。
シングルプッシュプルよりも3パラレルプッシュプルとか4パラレルプッシュプルのようにパワートランジスタがずらっと並んでいるアンプの方が力強い音が聴ける。
しかし、これはネットワークを使用した普通のスピーカーシステムを駆動した場合の印象であり、マルチアンプになると話が変わってくる。

業務用の大口径ウーファーや大型ホーンを用いた巨大なマルチアンプシステムの場合、そんなに凄いアンプを持ち出さなくても、力強いなどというレベルをはるかに超えた凄まじい音を聴くことができる。
マルチアンプは各アンプの負担が小さい上に、変換効率の高い業務用ユニットならこれはなおさらだ。
では、そんなマルチアンプシステムに凄いアンプを組み入れるとどんな音になるのか。
この音の感想は人によると思う。
さらに力強くなったと感じるか、それとも、やりすぎであってマルチアンプ特有のすっきり感が損なわれてしまっていると感じるかだ。
後者、である。
なお、こういう感想を持つ方は他にもいる。

こうしたことが生じる原因ははっきりとは分からない。
ただ、マルチアンプシステムではアンプやスピーカーユニットの素の音がもろに出るため、特性の揃ったパワートランジスタを厳選しても解消することができない"にごり"の一種を感知できてしまうのかもしれない。
温度環境や経年変化、複雑な動特性において一糸乱れずというのを期待するのは、どうなのか。
ともかくこうしたことは解像度の高い巨大システムで体験してみると一発で理解できる。

菅原正二さんはJBL SE400Sを使い続けておられる。
これもシングルプッシュプルというか、そのご先祖様だ。
まあA-S301からSE400Sを連想するのはかなりのオーディオ歴、いや、かなりのオーディオ的想像力、いやいや、かなりのオーディオ的ユーモア力が必要になろう。
すっきり系の音がお好みだった早瀬文雄氏がA-S301を愛用されていたのも心強い。




オーディオ高原駅から先はベテランクライマーの世界。
各々独自のアプローチで異なるピークを目指すことになる。



2024/06/02

Remodeling Altec System



気になっているアンプは2つある。
一つ目はデジタルアンプである。
JBL Professionalの305PMK2と308PMK2を聴いたとき、DSPのセッティングもさることながら内蔵のデジタルアンプもいいのかもしれないな、と思ってしまった。
すっきりとした素性の良さみたいなのが感じられたからである。

二つ目はヤマハのA-S301である。
テレビシステムで使用しているヤマハの普及型プリメインアンプである。
SONYのSS-F6000という格安のフロア型と組み合わせて使用しており、時々いい音を聴かせてくれる。
そういう時の手柄はアンプかスピーカーかということになるのであるが、A-S301の手柄だろうと思っている。
スピーカーが良い場合の音と、アンプが良い場合の音というのは性質が違うので判別がつく。




さて、どうしたものか。
第一希望はデジタルアンプである。
色々検討してみたのだが、どうもピンとくるものがない。
CrownのCT875がいいかなと思ったが、もうちょっと待てばDSPが付いたりさらにはDante対応になりそうで手が出ない。
安価な中華モデル等は信頼性やマルチアンプでの使い勝手を考えると、やはり踏み切れない。

じゃあ、A-S301にするのかというと、これもなんだかなぁという感じだ。
だいたい改造ALTECシステムとは格が違い過ぎる。

みんなが乗り込んだのはオーディオ登山鉄道である。
誰でも金さえ払えば終点のオーディオ高原駅までなら行ける。
このオーディオ高原駅にふさわしいスピーカーシステムとは何か。
JBLならパラゴン、4350、アルテックならA5、タンノイならオートグラフといったところか。
ちょっと古いか、まあ最近のことはよう分らんのでテキトーに考えてくれたまえ。
同格の改造ALTECシステムのお相手が始発の入門駅が似合うA-S301では、がっかりだろう。