1オクターブあたり1dB減衰するということは、20Hzから20kHzの10オクターブで10dBも減衰するわけで、以前からこれは減衰量が多すぎると思い避けてきた。
普通の部屋の場合、どうだろう、その半分の5dBからせいぜい7dB程度ではなかろうか。
しかし気持ちに余裕が出てきたというか、10dB落ちの音も一度は聴いてみようではないかと、やってみた訳である。
ところが、DEQ2496のオートGEQのグラフ画面を見ていると、5dB程度の傾斜にしか見えない。
ちなみにDEQ2496は最近購入したものであり、V3.0である。
最初のキャリブレーションの傾斜度合はPEQで調整してゆく段階でどうでもよくなるのだが、このDEQ2496のROOM CORR.の素のバランスは悪くない。
フツーの音量だと低域が薄く感じるが、比較的大音量で聴いてみるとこれは実にモニターサウンドである。
そうそう、以前紹介したハーマンのターゲットカーブ、その後、このAESの論文を読み、どういう話から出てきたカーブなのかが分かった。
この論文でも破線が邪魔して不鮮明だったので、図22(d)の破線を消してみた。
特徴的なのは低音をクリアにするために150Hzから300Hzあたりがしっかりカットされている点である。
全体的なバランスとしては7dB落ちぐらいではないか。
65Hzあたりもちょいとブーストしてあるが、これなんか全体の音の太さが増すんだよね、ほほえまし。
このカーブから色々なヒントをもらったし、それまでの自分のカーブもそう悪くないことが分かった。
それから、PEQで10素子を使うような細かな調整もプロの世界では当たり前なのかもしれない。
まあ、プロの世界云々はさておき、研鑽を積み重ね各周波数と音の変化の関係をつかんでゆく楽しさはEQの世界の醍醐味だね。
この論文にはJBL ProfessionalのM2も出てくるので、この"The all listeners preference curve"が製品に採用されているのかと思いきや、例えば、同社の308P MK2の"Estimated In-Room Response"のグラフを見てみると、単純な5dB落ちという感じだ。
もっとも、300Hz以下は室内の反射とか残響とか、要するに直接音以外の要素が加わるので、低域全体のレスポンス、そしてこの150Hzから300Hzのあたりがどうなるのかは部屋による。
事件は現場で起きている訳だから製品レベルであんまり厳密に追っかけても無駄ということだ。
とは言え、308P MK2について"このスピーカーを聴くのはなんと楽しいことでしょう"とamirm氏は感想を述べており、やはり、周波数レスポンスと指向性の精密な制御ができているスピーカーというのは素晴らしいということだ。
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