2004/06/12

幸せの黄色いホーン 92話 新しいシステムの音出し



工作の完了から一週間後の週末、音出しのときを迎えることができました。「ベースになる2ウェイか3ウェイのシステムを作り、それに一つずつユニットを加えてゆき、音の変化を把握するといいよ。」というヨハネスさんのアドバイスに従ってじっくり作業を進めることにしました。今回は慎重に事を運ぶのだ、いつまでもお調子者ではいけないのだ、と心に誓います。

こうして落ち着いていられるのはPD.2450以外のユニットの性格をすでに把握しており、また、ヨハネスさんのシステムのホーンタワーを聴かせて頂いているためです。ヨハネスさんの6連装の2360Aによるホーンタワーの素晴らしさには驚嘆しました。そして、その体験がこの新しいシステムを製作した原動力になっています。

DCX2496の初期設定は、カタログに記載されている各ユニットの能率値を参考にしてレベルの設定、2オクターブ程度を目安に帯域分割を行いました。ミュートボタンを操作して8組のユニットの中から一組ずつ音を出し、左右の位相が正しいかどうかをチェック。過大入力等の原因による変な歪が発生していないかもチェックしました。異常なしです。

とりあえずこの状態で音場はどんな具合なのか聴いてみようと考えDCX2496のミュートボタンをポンポンと景気よく解除。ところが出てきた音に呆然。迫力は皆無、ことごとく繊細。透き通るような音がサラサラと流れてきます。この音、マルチアンプらしい音と言えば言えるのかもしれませんが、しかし、これでは音楽の生命力のようなものが何も伝わってきません。しかししかし、こういう音しか出せないならこの方向に行くのも仕方のないことなのかしら・・・

いや、そんなのは困ります!という訳で当初の慎重な態度はあっと言う間に吹っ飛んでしまいました。ともかくこのサラサラ音の方向を変えることができるのかどうかを試さないと落ち着いていられません。息つく暇もなくDCX2496を操作し、次から次へとCDをとっかえひっかえの戦闘開始と相成りました。




今回のシステムはホーンタワーと箱が分離しています。様々な試行錯誤で分かったことは、ホーンタワーと箱のレイアウト変更が大きな影響力を持っていること。音場の広がり方の違いは当然ですが、そのレイアウトによってDCX2496の設定に大きな影響が出ます。中高域の指向性やサービスエリア、低音の回り込み等、様々な条件が変化するためなのでしょう。




レイアウトは、ホーンタワーを左右の外側に配置し、その間にウーファーの箱を4つ並べることにしました。そして、さらにDCX2496のレベル調整や帯域別のEQ設定を進めてゆくと、どんどん好みの音に近づいていきます。求めているのは、実体感のある音の厚みと鮮やかさ、深々と震える空気感、そして広大で豊かな音場。DCX2496の設定はとりあえずこんな具合になりました。位相は全てアブソリュートでの正相。ディレイの調整は行っていません。2台のEP1500の入力ボリュームの目盛りは24、1008-HE用のES70の入力ボリュームの目盛りは9時の位置+6ノッチ、他のES70の目盛りは9時の位置から+1ノッチです。

      Input Gain
DCX2496-L     -3dB
DCX2496-M     -6.2dB
DCX2496-H     -6.2dB


                                       Gain     HPF     LPF     EQ
1.     Sub-bass     PD.2450     -9.5dB     n/a     100Hz 24LR     30Hz BP +3dB 4.0
2.     Bass     1808-8HPS     -7dB     n/a     141Hz 18BUT     30Hz BP +3dB 4.0
3.     Mid-bass     1008-8HE×2     ±0dB     100Hz 24LR     294Hz 24LR     n/a
4.     Midrange     2392+2490H     -10dB     249Hz BUT18     1kHz 24LR     647Hz BP -3dB 0.3
5.     Upper-midrange 2360A+2446H  -10dB   1kHz 24LR   4.47kHz 24LR   662Hz BP +2dB 0.5
6.     Lower-treble   2332+2451H  -10dB   3.04kHz 24LR 7.97kHz 24LR   3.46kHz BP -3dB 0.2
7.     Treble     ME15+DE500     -9dB     7.97kHz 24LR     n/a     n/a
8.     Upper-treble     2402H-05      -10.5dB       9.06kHz 24LR      n/a     n/a


3台のDCX2496は、高域、中域、低域の3つの帯域に振り分けました。デジタル入力で使用しているためDCX2496の入力レベル調整は使いたくなかったのですが、これを使用すると3ウェイのような調整も可能になるためとても便利でした。後日、落ち着いてきたらこの入力レベル調整の値は出力レベル調整の値に移し替えようと思います。




音出し2日目には当初のサラサラ音とは全く異なる方向にもっていけました。一段落ついたので、調整を止めて聴きなれているCDをじっくり聴いてみました。あらゆる点で旧黄色いホーンシステムの音をはるかに凌駕しています。クロスを高め鳴らし放題にしたローライダー18とPD.2450によるウーファー部の猛烈なパワー感にホーンタワーによる中高域の鮮やかさがバランスし、8ウェイにもかかわらず全体の音にまとまりがあるように思えます。最後にこの音出しの記念にとエルガーのCoronation March, Op.65を聴きました。






2004/06/11

幸せの黄色いホーン 91話 工作完了



夜8時半になってようやく犬小屋完成、あなたぁそろそろお風呂に入って夕食にしてくださいよ、というようなお気楽DIYの世界のはずが、七転八倒の長期戦になってしまいました。2008年4月6日、新しい黄色いホーンシステムの工作がようやく完了。設計ミスや勘違いが相次いで発生、ホームセンターをウロウロ、でも解決策は見つからずこれは来週考えようと先送り。そしてその来週になっても妙案は浮かばず… 2192の購入作戦を発動してから2年弱。のんびりおやりになるにも限度というものがありますでしょう、と反省はするものの、どんどん事を進めるほどの腕と思い切りがないので仕方ありません。しかし、もたもたしていても諦めなければなんとかなるものです。さあ、新しいシステムをご紹介しましょう。




ホーンタワーと箱は配置変更を容易にするためキャスター付にしました。重心が低いのか、移動中でもホーンタワーはしっかり自立しています。移動中にひっくり返らないか、ホーンがゴロンと脱落しちゃうのではないか、というようなことをずいぶん心配していました。この画像のレイアウトの場合、スピーカー1本の大きさは、幅1.9m、高さ2.1m、奥行き1mです。




意外に面倒だったのは配線関係。全てのスピーカー端子とアンプ端子はスピコンになっているため、16本のスピーカーケーブルの両端にスピコンコネクタをつけなければなりません。スピーカーケーブルにはカナレの4S8と4S6を使用。4S8は被覆のビニールが硬くて弱りました。試しにドライヤーで加熱してみるとビニールは柔らかくなりを簡単に引き抜くことができました。でも指先を火傷しそうでした。




今までのラックにはアンプ類が収まらないのでラックを作りました。ラックと申しましても4本の脚をアンプに直接取り付けただけです。棚板等の材料費を節約するのが目的。断面がくの字型のアルミ材(50mm×50mm、3mm厚)の長さはちょうど1mです。このアルミ材は合板で補強してあります。全体の重量のせいかがっちりしています。




アンプケースの横幅はES70よりもEP1500の方が幅広いため、ES70の背面側の取り付け部分にワッシャーを3枚重ねて調整しました。アンプケースの横幅は規格化されていないようです。このラック、制作費が安いのはいいのですが、アンプの取り付け作業が大変です。また、アンプを変更する場合には後脚のネジ孔の位置を変更する必要があるため汎用性に欠けます。あまりお勧めできない代物。