2004/06/16

幸せの黄色いホーン 96話 降伏文書



大阪夏の陣での歓談中、「ベーリンガーはねぇ」という話題に。この手の話は困ります。ハチャメチャな自作スピーカーシステムの音をなんとかまとめてくれるDCX2496は手放せない・・・しかし、そういう次元での話ではなくオーディオに対する態度が何となく不真面目であ~る!というご指摘なのです。これには冗談を連発したもののごまかし切れず、あえなく無条件降伏。気付いてみれば衆目監視の下、降伏文書、もとい、宅配便の送り状に自宅の住所等をせっせと書き込んでおりました。

と、これでは何の話なのかよく分かりませんよね。大阪夏の陣に集結した「カタログ男的安直路線なんて認めないもんね即席連合軍」による「逆相に接続しちゃった程度の腕前なのは承知しているけど、名の通った本格的な製品をそろそろ使いなさいよ」という温かい声援によろめき、「納得したならちゃんと態度で示そうね」という訳で、ステレオサウンド誌風本流オーディオ機器をヨハネスさんから譲って頂くことになったのです。う~む、やっぱりうまく説明できていないような・・・

「値段はそっちで決めてね。」「ありがとうございます。」「おまけにウーファーユニットも付けるよ。」「ええっ!いいんですか? ありがとうございます。ありがとうございます。」降伏は幸福の始まり。その送り状により送って頂いたのはALTEC社の291-16Kと3156です。

お礼の電話をかけました。「無事届きました。ありがとうございました。」「ホーンはどうするの?」「B&C社のME90をつけようかと。」「箱は?」「小型のバスレフ箱を設計中です。」これでこの話は終わるはずだったのですが、その数日後、ヨハネスさんから電話がありました。「もう箱、作ったの?」「まだです。これからホーンを発注するところです。」「828とMR94、使いませんか?」「!」



B&C社 ME90

94話で少しご報告しましたように、この828とMR94によるALTECシステムを実際に聴かせて頂いております。スピーカー遍歴に終止符を打つことができるほどの素晴らしい音。ヨハネスさんはご満悦、お気に入りの様子。それを譲って頂くのですから、これは棚から牡丹餅&猫に小判。



ダークサイド城でのALTECシステム
(この画像はヨハネスさんのブログから転載しました。)

このときのヨハネスさんの電話の声、少し思い詰めたような雰囲気でした。手許に置いておきたいというお気持ちだったのでしょう。こちらも設置スペースがないなぁと躊躇。少し考えさせて下さいと、とりあえずお返事したものの、どう考えてみてもこれは頂戴したい。置き場なんかどうにかなります・・・よね。結局、828とMR94を「こんなに甘えちゃっていいのかな?」というお値段で譲って頂きました。さらに、ホーンスタンドも頂いてしまいました。ベーダー卿のご厚意に深く感謝。

828とMR94が届いたのでお礼の電話をしました。「丁寧な梱包、ありがとうございました。」「ホーンや箱を塗装すると響きが変わってしまうからね・・・」ベーダー卿は愛機の行く末を心配されておりました。








2004/06/15

幸せの黄色いホーン 95話 大阪夏の陣



2008年7月19日と20日、大阪夏の陣に参加させて頂きました。新幹線の小さなテーブルに広げられているのはDSC280の英文マニュアル。このマニュアルを読んでヨハネスさんが最近購入されたデジタルチャンネルディバイダーDSC280の取扱方法を説明することになっています。大阪夏の陣に手ぶらで参加するのは気が引けるのでこれはありがたい。なお、英文カタログやマニュアルの読解には英語力は不必要です。日本のカタログやマニュアルに親しんでいる方なら単語さえ調べれば大抵理解できます。逆に英語力があってもオーディオに疎ければこれは非常に困難だと思います。

ヨハネスさんのダークサイド城に到着。久しぶりにお会いできたARISAさん、ごさ丸さん、そしてヨハネスさんと楽しいおしゃべり。お世話になります。リスニングルームに入ると、いきなり2360を一組降ろすというホーンタワーの簡素化作業。さらに、4発の30Wも鳴らさないとのこと。う~む、と考えたところで真意は分かりません。お気に召さない? で、それはいいとしても、この簡素化したシステム(それでも4ウェイマルチアンプシステム)にこれから様々な機材をつないで鳴らすわけですから、ちゃんと調整できていないと困ります。しかし、そこはヨハネスさん、即座に調整完了。やっぱり凄い。

この簡素化されたダークサイドシステムで早速戦闘開始。プリアンプの代わりのアクティブフェーダーとミキサー対決。ヨハネスさんのノイマンフェーダーは精悍な音。これに対して歴戦のアンペックスやクワドエイトが挑みかかる。例によって、鈍感な吸音材は、それら機材の違いを聴きとるのに必死です。今回はなんとか違いが分かるようになってきました。初心者の学習効果炸裂?

ふと振り返ると、ARISAさんが年季の入ったジュラルミンケースから小型のミキサーを慎重に取り出しています。スチューダー169。知る人ぞ知る(知らなかった…)クラシック録音用の名機。しかも、ARISAさんの改造によるスペシャルバージョン。この音が「!」なのです。音楽がゆっくりと聴こえてきます。絹のような肌触り。コンサートホールの空気感までもがそのまま伝わってきます。全員唖然陶然。ARISAさんは照れた表情で、長く聴くとボロが出ちゃうからと言いながら、やっぱり慎重にジュラルミンケースの中に隠してしまいました。

スチューダー169の強烈なインパクトに触発されたのか、続いて行われたアナログプレーヤー対決は全軍突撃状態となりました。ここでごんた先生登場。ヨハネスさんのレコカット、ARISAさんの…あれっ機種名忘れた! そしてごんた先生ご自慢の無数のプレーヤーが、浮き輪を利用した特製フローティングプレートの上に次から次へとセッティングされていきます。カートリッジとトーンアームはオルトフォン。さらに、昇圧トランス、ヘッドアンプ、フォノイコライザー等も聴き比べ。一番印象に残ったのは、ごんた先生のエンパイア限定版カートリッジの音。以前使用していた4000DⅢと同じMI型なのにこんな音が出るとは…




DSC280の操作方法の解説、なんとかなりました。これは解説者の手柄ではなくDSC280の操作性が良かったからです。呼び出す画面と操作ボタンとの関連性が理解しやすい。特に感心したのはそのセキュリティ機能。パスワードを設定すると指定した設定画面を表示不能にすることができます。要するに他人による設定変更を阻止するだけではなく設定画面の表示を不能にしてノウハウを秘密にしておけるのです。DSC280の内部も見せて頂きました。さすが90万円、中身がギッシリ詰まっています。JBL社と共にHarman Internationalの企業グループに属しているBSS社の小さなステッカーが貼ってあるので、このDSC280はBSS社によって製造されているのかもしれません。

こうして2日間の楽しい時間はあっという間に過ぎてゆきました。お忙しい中、無数のアナログプレーヤーを聴かせて頂いたごんた先生、適確な解説をして頂いたごさ丸さん、素晴らしい改造スチューダー169を聴かせて頂いたARISAさん、2日間じっくり煮込んだおいしい野菜スープをご馳走して頂いたヨハネスさん、ありがとうございました。また遊んでやってくださいね。