2013/02/22

JBL 2332 and 2352 (13)

2352のホーン形状、特にスロート部分の形状を観察してみよう。


水平方向においては、Cの狭まった部分にスリット(ギャップ)が形成されており、ここで回折現象が 生じる。
この回折現象により、フェーズプラグの端面に発生した超高圧の音の塊が分散されます。
そして、この分散範囲は、Bのウェーブガイド部分により指向性を与えられる。
Bの壁面の広がり角度は90°の指向性を公称する場合、およそその90%である80°近辺になります。
なお、Aの部分はホーンの縁部での反射を和らげる部分であり、キール氏の論文によればBの広がり角度の2倍になります。
また、Bの部分の軸長は、Aの部分の軸長の半分になる。


 

この2352は、JBLによるとバイラジアルホーン(optimizied aperture bi-radial horn)とされていますが、"added flare"であるAの部分がラジアルであるだけであり、 ホーンの主要部分であるBの部分はコニカルホーンです。
この部分をコニカルで構成するウェーブガイド理論の影響だとは思いますが、複合コニカルで構成されているALTEC MR94の音の素直さにJBLは気付いていたのではないか?



水平方向に対して垂直方向の形状は、図面を見ている限り単純に見えます。
即ち、コニカルホーンであるBの部分とその外側に広がるAの部分だけ。
しかし、水平方向のCの部分により、垂直方向においてもフェーズプラグの端発生した超高圧の音の塊が分散されます。
超高圧の音の塊は、Cの部分を通過することにより、スリットの縦長の長方形状に分布するように導かれてゆきます。
下はHiFi堂のデータベースに掲載されていた2352の画像です。


下は2352の姉妹機である2332。
このスロート部分も同様の形状を有しています。


しかし、2352において、Beamwidth vs. Frequencyのグラフ図を見ると、この垂直方向の分散はうまくいっていないような気がします。
垂直指向性(Vertical)が2kHzから8kHzに向かってどんどんナローになっていく傾向は、2352だけではなく、2332や2380でも見られます。
こうした傾向を持たないのは2360です。
おそらく、2360の軸長の長いスロート部により、垂直方向の音圧分布が十分に均一化されるのだと思います。











ビールぐらいしか飲まない。

もらいものの赤ワインを電子レンジでホットワインに。
クローブ、シナモン、カルダモンのパウダー。
もらいものの蜂蜜を加える。
もらいもののメープルシロップも大量にあまっている…

うまい、です?






2013/02/19

DIY MR94 of S-san and his friend (2)

Sさんのご友人によるDIY MR94の製作過程です。
さあ皆さん、ディスプレイを穴があくまで見つめてください!



材料は18mm厚のバーチ合板だそうです。
この合板の大きさは1200mm×2400mmでしょうか?


なんだかプロの工房のような雰囲気です!


原寸大の型紙と冶具です。


なるほど、角度がある場合、紐にテンションを与えて圧着するのですね。


接合部分には組み木がしてあります。
凄い木工技術!


組み上がった上下のホーン壁面部材に左右の部材を慎重に組合わせているところです。



う~む、この接合過程が一番難しいような気がします。


おおっ、ベル部分が組みあがりました。


隙間もなく組みあがりました。
完璧な手際!!


ん? これは何をしているのでしょうか??


端の余分をカットしたのですね。
この工具、なんていうのだろう。
見たこともありません。


そして 綺麗に仕上げる。
いつもサンドペーパーをとりつける安価なサンダーを使用していますが、これは別物のようです。
なんだか物凄い迫力の工具です。


これは縁部分ですね。
シロートには到底無理だと思われる凄い木組みです。


この4つの穴はなんでしょう?


おおおおっ!
ダボで組み付けるとな!!


 ホーン部がこうして完成。


 スリット部の周囲は積層構造!


積層部分も謎の工具できれいにしています。



JBL 2365のスロート部分はちょっと短いので、スロート部分を延長するための延長スロート部分を製作されたようです。


縦にするとこんな具合です。
積層の厚みが凄い。


延長スロート部の貼り合わせにもダボ!
う~む、ダボってやったことないです。
なんと素晴らしい。


美しい仕上がりです。
どうするとこんなにきれいに仕上げられるのでしょう?


JBL 2365のスロート部分の内壁面ともきちんと整合しています。
なんという工作精度の高さ!


JBL 2365のスロート部分を取り付けて完成。
素晴らしい仕上がりですし、とても立派です。
脱帽です。感動しました!
貴重な画像の提供、ありがとうございました。






 

Sさんにいくつかの質問をしたところお返事のメールを頂きました。

「さてお尋ねの件ですが資料室にてご指摘のとおり以前の写真に写っていましたのが1号機で私が所有しているものです。
そして友人の物は2号機になりまして、もう一台同じ物を保管しておりますので計3組製作しました。
JBL 2365Aのスロート部の2365Tを使用したのは私のモデルだけであり、他のものはそれを参考にしてバーチ合板にて製作されています。」

下の画像は1号機を試されているころのご友人のシステムです。
見事な木製ラジアルホーンもきっとご友人のお手製なのでしょう。
凄いなぁ…




下の画像はそのバーチ合板製のスロート部です。
ドライバーはBMSの4592NDですね。


「友人に製作時に工夫した点は?と聞きましたら特にないという素っ気ない返事でした。
彼は今まで10台以上木製ホーンを作って来ていますので以前の無垢材や集成材を使った大型ホーンに比べると楽だったとのことです。
後ほど製作時の写真を送らせていただきますので参考までに。」

やはりご友人の方はホーン作りのベテランさんだったのですね。
本当に凄い木工技術です!







「ALTEC MR945AとMR94との比較についてですが、MR94の音質レベルを探る為に購入しましたのでまったくの同条件で比較出来ませんでした。
しかし、MR94より945Aの方がかなり元気な音が出ていたような気がしています。
特に高域において。
これは恐らくスリット部の開口寸法の違いからきているのでは無いかと推測しています。
特にスリット部の幅がMR945Aが3cm、MR94が2cmでこれが一番効いているのではないかと。
MR94はkiirojblさんもおっしゃっていますように素直な音質と言うのに尽きると思います。」

下の画像は、MR945Aを試されている頃のSさんのシステムです。

 
定指向性ホーンのカットオフ周波数は水平、垂直指向性のそれぞれ低域側と高域側の4箇所にあります。
MR945AやMR94の水平指向性の高域側のカットオフ周波数はスリット幅により決定されるため、Sさんのご指摘は正しいと思います。
スリット幅が広がると、能率は上がり、高域の指向性が急激に狭くなる周波数が低くなるからです。
 
 
 
 
 
「DIY MR94に組合わせているドライバーは、私はSelenium D405 TRIO、友人はBMS 4592NDです。
聴き比べてみると着色が無く正確な音を出すのはBMSです。
これほどの高性能ドライバーは他にあまり無いのではと思う程です。
しかし同軸タイプのこのモデル(4592ND)はトゥイーターの音も出してしまうといくらイコライザーで補正しても納得いく音は出ませんでした。
やはりスロート部の長さが影響しているのではないでしょうか?
そこでBMSのトゥイーター部を殺し、私が同時に購入していましたSelenium ST400 TRIOを付け加えてみますと
素晴らしいバランスで鳴りだしました。
オーディオを始めて長いのですがこんなに美しい高域を出すトゥイーターは初めてお目にかかりました!
これには友人も同意見でSeleniumのサイトを覗くとこのモデルが製造中止になったようで二人とも予備にもう1セット購入した程です。」

「D405 TRIOの音には正直、癒されます。
BMSほどの正確さは感じられないのですが、これがフェノリックの音なのでしょうか。
音に潤いがあって手放せません。」



下の画像は、SさんのD405 TRIOとST400 TRIOです。
大規模自作ネットワーク!



確かにST400 TRIOがセレニウムのサイトに表示されていない時期がありました。
Selenium ST400 TRIOは、現在JBL Selenium ST400 BLKになっており、黒色の塗装仕上げになってしまいました。
ST400 TRIOと ST400 BLKのスペックシートのデータは完全に一致しており、外装以外は同一製品のようです。
また、ST400は、JBLのMarquis Dance Club Seriesに搭載されています。








Sさん、そしてご友人の方、貴重な情報、大変ありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。