2019/10/09

JBL 4315 Studio Monitor



4315に"新しいプロフェッショナル用"を感じたのは、三菱の2S-305のイメージがあったからだと思います。
プロフェッショナルというより仕事用というか"裏方用"。
見ていて全く面白くないというか、魅力がない。
でもまあ、そういうものなんだと、仕方がないことなんだと、それは理解できた。
だから、4320はスタジオモニターとしてストンときたけど、4341や4350は違和感があって無理だった。

もともと秋葉原の街は、キラキラした要素がない地味な街だった。
整然と分類された目立たない部品が、店を違えても全く同じように並べられており、その得体のしれない整列がそれこそ無限に続くという訳の分からない街だったから。

その街で育った感覚は、"裏方用"を嗅ぎ分けることができた。
地味なら裏方用、というわけでもない。
フォスターのユニットなど論外だった。技術のないメーカーの単なる安物という印象しかなかった。

4315は、"意味のないミッドベース"を備えていた。
2S-305は2ウェイで、4315は4ウェイ。
どちらも3ウェイではない理由が"裏方用"であるから、それを無言のうちに語っていた点で共通するものがあった。

閑話休題。XPL200との比較で4315についてグレッグ氏自身が語っている文章がランシングヘリテッジにあったので翻訳してみました。


"4315 vs XPL200

両スピーカーを熟知しているだろうから、このスレッドについてコメントしてほしいとGiskard氏に依頼されました。

4315は、非常にコンパクトでハイパワーの4ウェイスタジオモニターです。
このスピーカーシステムは、実際にそうされることは非常にまれですが、スタジオの壁に埋設することを前提として設計されました。
4315の長所は、非常に強力で速い(けれども深い音はちょっと苦手な)ウーファーと、素晴らしいミッドベース(killer midbass unit)を備えていることです。
LE5は少し攻撃的な感じもしますが、非常に生々しい表現をします。
また、LE5と2405のボイスコイルアライメントがほぼ完璧であるため、ホーンドライバーと共に使われる際に2405が発生するコーミング(ツィーターを並列配置すると発生する干渉のこと)が発生しません。

4315では、HFおよびUHFのアッテネータを「0」設定よりかなり下げないと、システム全体の音が明るくなりすぎます。
とは言え、4315は非常にダイナミックであり、かつ、克明な描写をし、さらに、非常に音楽的な表現に長けたスピーカーシステムです。
今でも私のお気に入りのスピーカーの1つです。

一方、XPL 200は、091や093という素晴らしいミッドレンジを備えています。
ミッドレンジとツィーターは同一平面上に配置され、かつ、ダイアフラムが同じ素材で作られているため、両ユニットの音はててもよくブレンドされています。
2214Hは最低域側の再生帯域の拡張を目的に採用されたましたが、残念なことに4インチ径ボイスコイルを備えている2203と比べると、キックやダイナミクスが感じられません。
そして、XPL200の最大の弱点は、そのミッドベースユニットです。
このユニットは、ビニール製のサラウンドを有するポリプロピレンコーンを使用しており、基本的には非常に滑らかな音を特徴としています。
しかし、駆動中にポリプロピレンが分割振動を生じ、生暖かくて「ふわふわ」したサウンドになってしまいます。
さらにXPL200の問題点として、ウーファーとミッドベース間のパッシブクロスオーバーの位相管理があります。
このクロスオーバー回路は、トグルスイッチの切り替えだけでバイアンプドライブ用に切り替えることができました。
一方、4315のクロスオーバー回路は、高次の遮断特性を持ち、より複雑な切り替え用回路を備えていました。
これは、XPLの開発においてコストの制限が私に課せられていたからです。

2.83vの入力で1dBから1.5dB程度、4315の方が能率が高いと思います。
両システムのツィーターのレベルを同程度に調整した場合、すなわち、4315の方のレベル調整を少し下げると、全体的な特性は次のようになると思います。
4315は、800Hzから1000Hz以下において、よりダイナミックかつ克明な描写を行います。
XPL200は、そこから上の帯域では優れた描写を行います。
XPLは、狭まったバッフルとネオプレーン製のカバー素材により、かなり3次元な描写を行います。
両システムのどちらを選ぶかは難しいと思います。
それは、両者ともに優れている一方、違いもあるからです。
XPLをバイアンプで駆動すると2214への経路からローパスフィルターが除去されるのでクロスオーバーの問題が解決し、XPLの音に命が吹き込まれます。
しかし、そうするためには専用のスロープ特性を与える必要があります。
DX1は理想的であり、その目的のために開発されました。 4315のバイアンプ駆動でも同様の利点が認められます。

両スピーカーシステムがいまだに多くの方々に使われており、喜びをもたらしているのを見てうれしいです。



"4315 vs XPL200

Giskard asked me to comment on this thread as I come from a position of knowing both speakers very well.

The 4315 is a very compact, high power 4 way studio monitor.
It was designed around in-wall mounting although they are very rarely used that way.
Its strong points are a very powerful and fast woofer (doesn't go real deep however) and a killer midbass unit.
The LE5 is a little aggressive but quite lively.
The good news here is that the VC alignment on the LE5 and the 2405 is nearly perfect so none of the combing that usually occurs with the 2405 used with horn drivers happens.

The 4315 requires that the HF and UHF L-Pads be turned down considerably below the "0" setting or the system is too bright.
With that said, it is very dynamic, detailed and quite good tonally.
It is still one of my favorite spaekers.

The XPL 200 has a killer midrange in the 091 or 093.
The blend between the HF and UHF is really good as they are in the same plane and identical materials.
The 2214H was chosen to give good bass extension and it does just that.
Unfortunately compared to a 4" VC 2203, it doesn't have the kick or dynamics.
The biggest weak link inthe XPL 200 is the mid bass unit.
It uses a filled polypropylene cone with a vinyl surround.
It is very smooth but it is too warm and "fluffy" sounding due to the poly collasping under drive.
Another weak point is the LF/MF passive crossover topology.
It was done to allow bi-amping with a simple toggle switch.
The 4315 crossover uses a higher order crossover at that point and has a much more complicated switching circuit.
That means money which I didn't have in the XPL.

I would only expect about 1-1.5 dB difference in 2.83v sensitivity in favor of the 4315.
If both systems are adjusted to similar HF response (i.e. turn down the 4315 a little) and overall sensitivity I would expect the following:

The 4315 should be more dynamic and detailed below 800 Hz - 1000 Hz.
The XPL200 should kick butt above that.
The XPL will be considerably more 3-dimensional due to the narrower baffle and neoprene covering.
It could be hard to choose between them as they are both quite nice but just different.
Bi-amping the XPL really brings it to life by fixing the crossover problem and taking the LF inductor out of the path for the 2214, but a special drive slope is required to do the job correctly.
The DX1 is ideal and was developed exactly for that purpose.
The 4315 benefits substantially from bi-amping as well.

I'm pleased to see that both are still around and bringing pleasure to people. "





2019/10/04

Yellow Horn System



PDN.2450の導入も無事終わり、黄色いホーンシステムにもイコライジングを試してみることにしました。
イコライジングを行わないもともとのグイグイサウンドはDCX2496にメモリし温存しました。
DEQ2496によるイコライジングの作業手順は以下の通りです。

まず、DEQ2496にECM8000を接続。
UTILITYの1ページ目でCHANNELをDUAL MONOにします。
これで準備完了。

I/Oの1ページ目でPINK NOISEを大型ダイヤルで選択、大型ダイヤルを押し込んで確定。
同ページでNOISE GAINをとりあえず-15dBに上げる。
2ページ目でGEQとPEQ経由を大型ダイヤルで選択、押し込んで確定。
同ページでNOISE SHAPER(点灯を消す)とDITHERをOFF。
3ページ目でRTA/MICを大型ダイヤルで選択、押し込んで確定。

RTAを押して、アンプのボリュームでピンクノイズの音量調整。
2ページ目、RATEをAVRGに、また、PEAKをOFFに。
3ページ目を表示、上下一対の小ダイアルでスケール(15dB幅、30dB幅、60dB幅の3種類が選べますが、30dB幅が使いやすいです)とレベルを調整して、周波数特性を見ることができます。
この状態で、DCX2496のレベル調整でなるべくフラットな特性を作りました。

次にAUTO EQ。
RTAの1ページ目でAUTO EQを選択。
GEQが表示されたら低域側を指定するため、上小ダイアルで周波数を選択、大型ダイヤルで0dBにして押し込んで確定、これを繰り返す。
2ページ目でSTART AUTOEQを選択。
頃合いを見て、3ページ目でDONE。
次に、RTAの1ページ目でAUTO EQを選択。
今度はRIGHTを選択し、LEFTと同様にAUTO EQの作業を行い、左右別に全帯域をフラット化。
そして、MEMORYボタンを押して"FLAT"という名前でメモリします。

最後に、"FLAT"の状態でPEQボタンを押し、パラメトリックイコライザで好みの特性を設定します。
"FLAT"はグラフィックイコライザに任せ、パラメトリックイコライザでサウンドコントロールをする訳です。
グイグイの"ORIGINAL"、レベル2の"LV2"、レベル3の"LV3"、クリアの"CLEAR"の4種類をメモリしました。
なお、PEQの2ページ目で6素子以上をOFFからPARAMに変更しないと5素子までしか使えません。
それからPEQの周波数は上小ダイヤルを押し込むと細かい調整ができます。
なお、音を出すときにはI/Oの1ページ目で入力端子を選択します。

DEQ2496は安価な機材ですが、プロ機材なので何度も練習して習熟しましょう。
RTAでは、表示された周波数特性をスマホで撮影しておくと検討が楽です。
AUTO EQも日を変えて何度もやってみましょう。
もし、訳が分からなくなったときは、COMPAREとMEMORYボタンを同時に押しながら電源を入れれば初期化できるので安心です。

イコライザーはプロセッサー類の基本です。
その中で、AUTO EQを備えたデジタルイコライザーは、最も高度なサウンドコントロールを可能とします。
イコライザーは音質が劣化するというような過去のしょんぼり機材の常識は現代のデジタル機材には通用しません。
プロ機材であるDEQ2496を使いこなしてオーディオのスキルアップをしましょう。




セットアップが完了したので、とりあえず、イコライジングを行わないもともとのグイグイサウンドと、DEQ2496の"ORIGINAL"を聴き比べてみました。
う~む、違いがわからん。
将来、違いがわかる男になるかもしれんから、その時までほっとこ、ってことになりました。
フラットを除く4種類のイコライジングを適宜呼び出すことで音量や様々なソースに対応できるため、DEQ2496を組み込んだ構成で当分いくことにしました。

あいかわらず黄色いホーンシステムは絶好調です。
オーディオもここまで来れば、趣味として立派なものではなかろうかなどと思ってしまいます。
テストドライブのあと、とりあえずあれを聴いてみるかと選んだのが、Star Wars Episode 3 シスの復讐。
以前、なくしたと思ったことがあり、amazonで中古のCD(国内盤)を購入。
1円でした。

聴くのは1曲目の"Star Wars and The Revenge of the Sith"と、5曲目の"General Grievous"です。
2360バイラジアルホーンはTHXスタンダードの認定を最初に受けた栄えある大型ホーンなので、THXと深い関係があるスターウォーズの曲が黄色いホーンシステムのテーマミュージックになっているわけです。
これを大音量でやると痛快この上なしなのです。




この手の大規模(大型、じゃないよ)スピーカーシステムを愛する人々を、ひそかに"野獣派"と呼んでいます。
野獣派って絵画の方ではフォーヴィスムになるのですが、wikiによるとそのいわれは、"1905年、パリで開催された展覧会サロン・ドートンヌに出品された一群の作品の、原色を多用した強烈な色彩と、激しいタッチを見た批評家ルイ・ボークセル(仏: Louis Vauxcelles、英: Louis Vauxcelles)が「あたかも野獣(フォーヴ、fauves)の檻の中にいるようだ」と評したことから命名された。"そうです。

野獣の檻の中にいる"ようだ"じゃないですよね。
まさに、野獣がそこにいる。
右に一匹、左に一匹。
JBLの咆哮、素晴らしいです。