2022/06/13

AKG K701 with Behringer DEQ2496



#7、#8、#9の3つの素子は、高音グループの素子である。
#7は、2kHzから5kHzの高域を調整する。
#8は、7kHzぐらいの高域を調整する。
#6は、10kHzから12kHzの高域を調整する。
画像は、#7が2825Hz、1/2oct、-3dB、#8が6324Hz、3/4oct、+2.5dB、#9が11246Hz、1/2oct、+1.5dBである。




高域は、耳に聴こえやすい帯域と、耳に聞こえにくい帯域の2種類の帯域がある。
#7は聴こえやすい帯域、#8と#9は聴こえにくい帯域である。
したがって、一般的には#7はカット、#8と#9はブーストする。

#7は等ラウドネス曲線からも理解できるように全帯域で最も聴こえやすい帯域だ。
キャンキャン、チンチンといった音である。
耳につく帯域であり、聴き疲れする帯域でもある。
Q値を広めにしてバッサリとカットしたくなるが、やりすぎると高音全体の力が失われてしまうので注意が必要だ。
この場合、容易にカットを弱めるのではなくQ値を狭めると生き返る。

#8はおなじみのサ行の気になる音である。
FFTで分析するとかなり広い帯域に分布しているのでこの#8の帯域だけではないはずなのだが、#8でおよそコントロールできる。

#9は事実上の最高域であり、コントロールの難しい帯域だ。
シンシンという感じの音にならないような帯域だからだ。
やはりキャリブレーション(AUTO EQ)してから調整したい。
この帯域では定在波が考えにくいのでキャリブレーションの結果には基本的に手を加える必要はないと思うが、20kHzで+10dBなどという修正結果が出た場合には、異常値であるため0dBに修正しておこう。

#7と#8は、遠慮してしまいがちな帯域ではあるが、これをきちんと出しておかないと音が死んでしまう。
とりあえずドーンとブーストして、それから徐々にカットしながら最適値を探るようにしたい。





2022/06/12

AKG K701 with Behringer DEQ2496



#4、#5、#6の3つの素子は、中音グループの素子である。
#4は、120Hz以上の中低域を調整する。
#5は、120Hzから1.2kHzまでの中域を調整する。
#6は、1.2kHz以下の中高域を調整する。
画像は、#4が200Hz、1/3oct、-1.5dB、#5が447Hz、3/2oct、+2dB、#6が796Hz、1/3oct、-1.5dBである。




中域は音楽の基礎の帯域なので、ここのレスポンスが低下すると全体が暗く痩せた感じになってしまう。
イコライジング作業は低域や高域に気持ちが行くので、相対的に中域のレスポンスが低下しており、できあがった特性の音が、なんとなくさえない場合は中域のレスポンスの低下を疑うべきだ。
目安としてはボーカルが暗く痩せた感じの場合は、この状態にある。

中域の主役は#5の素子である。
約440Hzをとりあえずの中心周波数にしている。
ピアノのA4の音を想像すると、1オクターブ上とか下などが理解しやすい。
Q値は1oct以上と広くとって広い範囲で浅くブーストするとおだやかな効果が得られる。

#5の範囲を#4と#6の2つの素子で限定する。
3つの素子のうち両側の2つの素子で中央の素子の帯域を限定するのは、低域と同じ考え方である。
#5のQ値を大きくして広い範囲でブーストしても、#4によって中低域が一緒にブーストされることを阻止することができる。
#4によるカットは、音の厚みの調整のほか、低域と中域を分離することができる。
#4の中心周波数は150Hzから350Hzと広い範囲で選択できるが、たいてい200Hzか250Hzぐらいを選択している。

#6は800Hzか1.2kHzの中心周波数であり、若干のカットで使用する。
等ラウドネス曲線でこの2つの周波数帯域の耳の感度がやや上昇しているからである。
たいていは800Hzを選んでいるが1.2kHzで設定することもある。
#6を800Hzにする場合にはQ値は小さめ(1/3oct)、1.2kHzの場合はそれよりもやや大きめ(1/2oct)がよい。