2023/06/06

Loudspeaker Systems Design



アコースティックエアーサスペンション方式の発明者であるエドガーヴィルチャー氏はビジネスパートナーであるヘンリークロス氏と共に1954年にAR社(アコーステックリサーチ社)を設立した。
最初は、この発明を他のメーカーに持ちこみ、スピーカーシステムを製造してもらおうと思っていたが、どこにも相手にされず、結局、自分達で生産することになった。

最初に作ったのはAR1である。
1954年のことである。
オリジナルの30cmウーファーと20cmフルレンジの2ウェイ。
30cmウーファーがアコースティックエアーサスペンション方式であり、20cmフルレンジには小容積のチャンバーが与えられていた。
この20cmフルレンジは、ALTEC LANSING社製の755Aである。
そして、このAR1は商業的に大成功を収めた。




日本で有名なのはAR3a(下の画像)であろう。
エドガーヴィルチャー氏はアコースティックエアーサスペンション方式の発明だけではなくソフトドーム型ユニットの発明者でもあった。
ヴィルチャー氏が設計したのはそのソフトドーム型のユニットを搭載したAR3。
1958年に発売され、これも大ヒットした。
AR3aは、ヴィルチャー氏ではなくロイアリソン氏の設計によるもの。
なお、AR3とAR3aは一時期並販されており、AR3aでの改良点がAR3に施されたりしたそうだ。







2023/06/04

Loudspeaker Systems Design



お次はダイヤトーンのDS251、DS301である。
どちらもシルバーに輝く3cmコーン型スーパーツィーターがカッコよかった。
DS251は、20cmウーファーと5㎝コーン型ツィーターにスーパーツィーターを加えた3ウェイ、DS301はドーム型のスコーカーとツィーターを備えた3ウェイにDS251と同じと思われるスーパーツィーターを加えた4ウェイ。
DS251は日本のスピーカー市場で大ヒットを記録した最初のスピーカーシステムだったのではなかろうか。




DS251とDS301はアコースティックエアーサスペンション方式。
小容積の密閉型のエンクロージャー内部の空気の弾性をウーファーのコーンのサスペンションとして利用する。
コンパクトな箱なのに低域側の再生帯域を飛躍的に拡張することができ、スピーカーの設計に革命を起こした。
また、ハイコンプライアンス型のユニットは空気の弾性をサスペンションにするため、ダンパーと呼ばれていた機械的なサスペンションに頼る従来のユニットよりもリニアな振幅運動を実現し低歪だった。




この方式はアメリカ人のエドガーヴィルチャー氏が発明し、1954年に特許出願、1956年に特許権が付与されている。
この特許権は、AR社がエレクトロボイス社を訴えた特許権侵害訴訟において、裁判所が無効と判断した。
特許出願書類は特許弁護士に頼むことなしにヴィルチャー氏本人が作成した。
このため、発明の内容を明確に定義するための技術的な限定をうまく記載することができず、エレクトロボイス社が提出した先行技術との差異があることを裁判官に対して証明することができなかったのであろう。