2023/06/11

Loudspeaker Systems Design



ダストキャップ全体が透けているスピーカーユニットはそう無い。
おっ、こいつ透けてるぞって奴がヤマハのNS470だった。
電流歪防止の銅キャップ付きポールピースを見せつけるその25㎝ウーファーは密閉箱に入れられていたのである。




ぶらりと立ち寄ったとあるオーディオ店で発売されたばかりのNS470が死闘を演じていた。
お相手はなんとJBL Professionalの4320である。
NS470の価格は一本32000円。
しかも、サランネットは赤、青、緑の3色から選ぶことができ、大ヒット作のビクターSX3みたいな白木仕上げ。
オマエ、やる気あんのかよっ、ってまあ、普通なら門前払いを喰らいそうなスピーカーシステムである。

ところが、このNS470、殴られても殴られても立ち上がって挑み続ける。
いい勝負をしているのである。
とうとう4320を打ち負かしてしまいました、というところまではいかなかったが、その力量に度肝を抜かれたことは確かだ。

4320の名誉のために付け加えておくと、4320はフロアにベタ置き、NS470は段積みされたスピーカーの中央に陣取っていた。
だから4320はホーンの位置が低すぎたし、NS470は小口径故の低音側の迫力不足をバッフル効果で補えたように思う。
また、NS470には似つかわしくない結構な大出力アンプが使用されていた。
しょぼいスピーカーには凄いアンプ、凄いスピーカーはしょぼいアンプでOKっていうオーディオ三大鉄則からすると、NS470にはかなり有利な条件だったと言えよう。





2023/06/09

Loudspeaker Systems Design



当時、DS251やDS301よりも面白いなぁと思っていたのがDS31CMK2である。
30cmと20cmの2つのウーファーが搭載され、5cmコーン型ツィーターも2つ、さらに銀色の3cmスーパーツィーターまで搭載されており、豪華絢爛である。




しかし、今になってよくよく眺めてみると、これもアコースティックエアーサスペンション方式だし、何となくAR1の焼き直しのような気がしてきてあまり面白いとは思わなくなった。
それに、当時の三菱は、ロクハンの他には、5cmツィーター、20cmと30㎝ウーファーぐらいしか製造しておらず、パイオニアやナショナルといった国産スピーカーユニットメーカーの多彩な製品群に比べると数段劣る感じがした。
フォスターやコーラルの方がまだまし、という感じだ。
そういう旗色の悪さをカバーするためか、三菱はNHKのBTS規格に準拠していることを喧伝していたが、規格準拠というのは最高性能を意味しない。
規格準拠とは最低限の性能保証という意味にすぎず、従って、解明されていない技術的要素が多いスピーカーに関して規格を振り回し高性能を訴えるのは愚かなことだろう。

でも、三菱のスピーカーユニットは、その分なんだか妙に安かったという印象はある。
なんだかんだ言っても安価なユニットは大好きである。
30cmウーファーのPW125なんか2S-305の価格に比べると大変安く、自作する価値は十分あるように思えた。




ところでこのPW125、ダストキャップ(センターキャップ)の全体が透けておりポールピースのてっぺんが丸見えである。
通気性を良くしてボイスコイル周辺の温度上昇を抑え、過大入力によるボイスコイルの焼損を防止するためだったのだろう。