TSQシリーズの磁気回路の断面説明図である。
ネオジム磁石の上部に配置されているポールピースの断面を見ると、周囲に向かって広がる複雑な形状になっているのが分かる。
これは、磁気ギャップにおける磁界の強さが、コーンの移動方向において対称的に分布させるためである。
コーンが磁気回路の内側方向へ移動する場合と、外側方向へ移動する場合において、磁界の強さが非対称であると、直線性が損なわれる。
なお、ポールピースやトッププレート周囲の2個一対の穴はボイスコイル周囲の温度を下げる
ための冷却孔である。
グラフ図5はTSQ2145のBL(X)であり、磁気回路とコイルによって発生する電磁的な力であるBLとコイルの移動位置(X)の関係を示している。
このグラフ図はたいていの場合、小山のような形状になっており、頂部はできるだけフラット、なだらかな両斜面の中心は(X)の0mm位置、そして斜面は対称的であることが望ましい。
グラフ図6はTSQ2145のBL(X)の対称性の範囲を示しており、赤線がシンメトリカルポイント、すなわち、両斜面の中心を示している。
TSQ2145ではその赤線がほぼ中心に位置していることが分かる。
比較のため、VOLT社のRV3143ウーファーのBL(X)とその対称性の範囲のグラフ図を見てみよう。
シンメトリカルポイントがコイルイン側に傾いているのが分かる。
これは、磁界がコイルイン側になだらかに広がってしまっているためである。
TSQ2145の場合は、トッププレートよりもポールピースがより外側にせり出しており、磁界の対称性を確保していることが分かる。