"JBL AUDIO ENGINEERING FOR SOUND REINFORCEMENT"に、JBL2397のBeamwidthのグラフが掲載されていました。
このBeamwidthは軸上のレスポンスから-6dB落ちのレスポンス範囲が広がり角度においてどの程度の角度になるかを示しています。
2397は5つの島により分割された準マルチセルラ部により、カタログでは140度の水平方向の指向性を得ていることになっています。
しかし、すべての周波数帯域で140度というわけではない。
丸印をつないで示されている水平方向の指向性は、500Hzで140度以下、5kHzで90度、10kHzで75度ぐらいでしょうか。
一方、垂直指向性はカタログでは60度と表示されています。
この垂直指向性は、開口部の回折効果により得られ、その効果は3kHz以上で働くそうです。
四角印をつないで示されている垂直方向の指向性は、約3kHzで90度、5kHzで75度、10kHzで50度以下と、どんどん指向性が狭くなっていきます。
ちなみに、こぶしを握り、腕を伸ばすと、そのこぶしの幅が約10度になります。
腕を前方に突き出した位置からこぶし9個分を縦に並べてゆくと、腕は垂直になると思います。
天体観測のやり方。
2397はニアフィールド用(スタジオモニター用)のホーンであり、また推奨ドライバーは2440ですから、7kHzまでのある程度の指向性が確保できれば、その高域側はツィーターに任せることができます。
2397が回折ホーンと言っても、それは垂直方向だけです。
この垂直方向の指向性も2360のような定指向性ホーンに比べると見劣りがする。
2kHzから5kHzにかけて徐々に、さらに5kHz以上になるとどんどんビーム状になっていくことが分かります。
どうしてだろう。
まず考えられるのが、スリットの幅が広すぎること。
内側は1 3/8インチだけど開口部に向かってその幅が広がってしまっている。
回折をおこす周波数は、そのスリット幅と関係している。
高域側まで回折を生じさせるためには、スリットの幅は狭くなければならない。
では、スリット幅は狭ければ狭いほどいいのかと言えば、それは違う。
狭くなれば能率が低下してしまう。
次に考えられることとして、回折した音波が分散してしまうこと。
指向性制御に関するホーンの役割は、ある一定の範囲に音を放射するということと、その一定の範囲内にムラなく音を放射することが求められる。
これを実現するためには、スロートから入ってきた音波が、そのホーンの受持ち帯域の全域において、常にホーン内に均一に拡散されなければならない。
例えば、光の話に置き換えると…
懐中電灯を白壁に向けて点灯した場合、光の届いた円形の範囲が明るくなります。
ホーンから放射された音がこの明るくなった円形の範囲としますと、その明るさが均一であることが求められている、ということです。
暗い部分や、非常に明るい部分ができると困るということです。
ホーンを構成する壁面により囲まれている範囲は、音の放射方向を限定する。
そして、その放射された音は均一の強さをもっていなければならない。
しかし、音の性質として高域側になればなるほど指向性は狭くなるため、ホーンにより囲まれている範囲よりも狭い範囲で音波が進行してしまう。
これはホーン内の空間の中央部のみが強い音波放射しており、ホーン壁面近傍は弱い音波を放射している状態になるということです。
これがビームを感じる状態であり、懐中電灯の例で言えば、明るい円形の範囲の中央部だけが特に明るくなっている状態です。
この強い音波と弱い音波の強さ(音圧)の差が大きくなると、指向性が非常に鋭くなってしまう。
一方、その差が小さければ、指向性は鋭くならないということです。
-6dBの範囲を問題にするのはこういう理由なのです。
2360のスリットは水平方向における回折効果を発揮するためのもの。
この回折により、ベル部内部全体にムラなく音波を拡散する。
そして、その大きなベル部分で囲いこみ、回折により分散された音がホーン外に拡散することを防止する。
このため、軸上の音圧と周辺の音圧との差が小さくなります。
2397の問題は、回折がホーン壁面が終わったところで生じるため、周辺部の音圧が極端に下がってしまう点です。
回折によって周辺部の音は分散してしまい、中央部の音との音圧差が大きくなってしまうため、-6dBの範囲が非常に狭くなってしまう。
このため、指向性が鋭くなってしまうのではないかと考えるわけです。
Lansing HeritageのフォーラムにMr.Widget氏により投稿されていた2397の構造図です。
この投稿には更に細部の図面が掲載されていました。
こういう図面を見ると、2397の素直な素性を生かすべく、2397の縮尺1/2の1インチスロート用ホーンを自作し、2397+2インチスロートのドライバーと3kHzから6kHzぐらいでクロスさせる、などと考えてしまいます。
JBLの回折ホーンとしてはツィーターの2405のほか、2396(水平指向性160度)というホーンがありました。
2397とは異なり、これは2360と同様に水平方向において回折効果を利用しています。
音響レンズについてもグラフ図が掲載されていました。
2397よりもかなり暴れた指向特性。
しかし、モニタースピーカーの下方でのリスニングポジションでは、これらホーンレンズはexcellentであると説明されていました。
なお下方のグラフ図はどの音響レンズのものなのかは不明です。
このBeamwidthは軸上のレスポンスから-6dB落ちのレスポンス範囲が広がり角度においてどの程度の角度になるかを示しています。
2397は5つの島により分割された準マルチセルラ部により、カタログでは140度の水平方向の指向性を得ていることになっています。
しかし、すべての周波数帯域で140度というわけではない。
丸印をつないで示されている水平方向の指向性は、500Hzで140度以下、5kHzで90度、10kHzで75度ぐらいでしょうか。
一方、垂直指向性はカタログでは60度と表示されています。
この垂直指向性は、開口部の回折効果により得られ、その効果は3kHz以上で働くそうです。
四角印をつないで示されている垂直方向の指向性は、約3kHzで90度、5kHzで75度、10kHzで50度以下と、どんどん指向性が狭くなっていきます。
ちなみに、こぶしを握り、腕を伸ばすと、そのこぶしの幅が約10度になります。
腕を前方に突き出した位置からこぶし9個分を縦に並べてゆくと、腕は垂直になると思います。
天体観測のやり方。
2397はニアフィールド用(スタジオモニター用)のホーンであり、また推奨ドライバーは2440ですから、7kHzまでのある程度の指向性が確保できれば、その高域側はツィーターに任せることができます。
2397が回折ホーンと言っても、それは垂直方向だけです。
この垂直方向の指向性も2360のような定指向性ホーンに比べると見劣りがする。
2kHzから5kHzにかけて徐々に、さらに5kHz以上になるとどんどんビーム状になっていくことが分かります。
どうしてだろう。
まず考えられるのが、スリットの幅が広すぎること。
内側は1 3/8インチだけど開口部に向かってその幅が広がってしまっている。
回折をおこす周波数は、そのスリット幅と関係している。
高域側まで回折を生じさせるためには、スリットの幅は狭くなければならない。
では、スリット幅は狭ければ狭いほどいいのかと言えば、それは違う。
狭くなれば能率が低下してしまう。
次に考えられることとして、回折した音波が分散してしまうこと。
指向性制御に関するホーンの役割は、ある一定の範囲に音を放射するということと、その一定の範囲内にムラなく音を放射することが求められる。
これを実現するためには、スロートから入ってきた音波が、そのホーンの受持ち帯域の全域において、常にホーン内に均一に拡散されなければならない。
例えば、光の話に置き換えると…
懐中電灯を白壁に向けて点灯した場合、光の届いた円形の範囲が明るくなります。
ホーンから放射された音がこの明るくなった円形の範囲としますと、その明るさが均一であることが求められている、ということです。
暗い部分や、非常に明るい部分ができると困るということです。
ホーンを構成する壁面により囲まれている範囲は、音の放射方向を限定する。
そして、その放射された音は均一の強さをもっていなければならない。
しかし、音の性質として高域側になればなるほど指向性は狭くなるため、ホーンにより囲まれている範囲よりも狭い範囲で音波が進行してしまう。
これはホーン内の空間の中央部のみが強い音波放射しており、ホーン壁面近傍は弱い音波を放射している状態になるということです。
これがビームを感じる状態であり、懐中電灯の例で言えば、明るい円形の範囲の中央部だけが特に明るくなっている状態です。
この強い音波と弱い音波の強さ(音圧)の差が大きくなると、指向性が非常に鋭くなってしまう。
一方、その差が小さければ、指向性は鋭くならないということです。
-6dBの範囲を問題にするのはこういう理由なのです。
2360のスリットは水平方向における回折効果を発揮するためのもの。
この回折により、ベル部内部全体にムラなく音波を拡散する。
そして、その大きなベル部分で囲いこみ、回折により分散された音がホーン外に拡散することを防止する。
このため、軸上の音圧と周辺の音圧との差が小さくなります。
2397の問題は、回折がホーン壁面が終わったところで生じるため、周辺部の音圧が極端に下がってしまう点です。
回折によって周辺部の音は分散してしまい、中央部の音との音圧差が大きくなってしまうため、-6dBの範囲が非常に狭くなってしまう。
このため、指向性が鋭くなってしまうのではないかと考えるわけです。
Lansing HeritageのフォーラムにMr.Widget氏により投稿されていた2397の構造図です。
この投稿には更に細部の図面が掲載されていました。
こういう図面を見ると、2397の素直な素性を生かすべく、2397の縮尺1/2の1インチスロート用ホーンを自作し、2397+2インチスロートのドライバーと3kHzから6kHzぐらいでクロスさせる、などと考えてしまいます。
JBLの回折ホーンとしてはツィーターの2405のほか、2396(水平指向性160度)というホーンがありました。
2397とは異なり、これは2360と同様に水平方向において回折効果を利用しています。
音響レンズについてもグラフ図が掲載されていました。
2397よりもかなり暴れた指向特性。
しかし、モニタースピーカーの下方でのリスニングポジションでは、これらホーンレンズはexcellentであると説明されていました。
なお下方のグラフ図はどの音響レンズのものなのかは不明です。
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