2022/01/31

Dogura Magura / Yumeno Kyusaku





夢野久作のドグラマグラ、先日、青空文庫で読んだ。
三大奇書の一つとされているが、微妙である。
夏目漱石の趣味の遺伝とよく似ている。
調べてみると、ドグラマグラが刊行されたのは1935年、趣味の遺伝は1906年である。

男女の話という点で、ドグラマグラは趣味の遺伝と共通している。
そしてどちらも飛切りの美少女、美女ということになっている。

ドグラマグラが趣味の遺伝と異なるところは、精神病という要素を加えた点であろう。
統合失調症患者にたまにみられる時間感覚の混乱という興味深い症状を持ち出している。
原因と結果の順序が頭の中で滅茶苦茶になるという症状だ。
夢野はドグラマグラに10年の製作期間をかけたそうである。
その間に精神疾患の症例などを調べこの着想を得たのであろう。

ドグラマグラの前半にある遺伝に関するの記述はよくできているが、残念ながら全体としては肉のつけすぎである。
夏目は、「それだから私は御寺参をしておりましたと答えたそうだ。」の一言で納めてしまう。
夢野に夏目の鋭さを望むほうがおかしいとは思うが。
ドグラマグラを再度読むことはあるまい。




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