2025/05/27

Nara and Kyoto



今回の旅は京都国立博物館の特別展"日本、美のるつぼ"と奈良国立博物館の超国宝展が目的だった。
と言っても、本当のお目当ては風神雷神図屛風の現物である。
初めて見る風神雷神図屏風は剥がれかけた塗膜等が修復されているように感じた。
また、全体的にすっきりした印象で、もしかすると表面の汚れもクリーニングしたのかもしれない。
そして、やはり本物はちがうと思った。
以前、Canonの高精細模造品を以前建仁寺で見たことがあるが、それは今回のような感銘を受けなかったのである。

制作当時は金箔に銀粉の雲、極彩色で表現されていたのであろうから、これぞ天空を舞う天衣無縫の軽やかな仕上がりだったろう。
尾形光琳のは以前MOA美術館で、紅白梅図屏風と共に本物を見たことがあるが、宗達のような縦横無尽の伸びやかさと品格はない。

今回、かなり詳細に観察できた。
嬉しかったのは、雷神の模写で気に入らず10回ぐらい描き直した眼球が、ほぼ同じように再現できていたことが確認できたことである。
これは本当に苦労した。

そういえば不思議極まりない風神の左足であるが、現物をじっくり見てもやっぱり理解できなかった。
まあ、神様だから何でもあり、というのが妻の意見である。
もっとも、こういう意味不明な部分を持つ絵は古今東西色々あるが、どれも恐ろしい絵である。
細かいことなんか気にしていないというか、はるかな高みから他のお利口さんな画家をあざ笑うような、そんな印象を受ける。
そういう意味で、風神雷神図屏風は日本最強の絵かもしれない。




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