2004/04/16

幸せの黄色いホーン 56話 ユニットを比べてみよう



V字型バッフルと組み合わせるユニットは38cmウーハーにしました。46cmウーハーも考えてみましたが、さすがに恐ろしくなってきてやめました。

38cmウーハーをちょっと比較してみましょう。振動系の実効質量の順で並べてみました。有名なユニットの数値はだいたい覚えてますけど、あなたはどう?




フロントロード向きの515-8HGPと2220Aは、実効質量が60gと軽く、やはりQ値が0.2以下と小さいですね。ところで、最近の業務用のサブウーハー用フロントロード箱は、密閉箱の特性にホーンロードの帯域を付加するという考え方で設計されています。こうした箱に適合する最近のユニットはコーン紙が強靭なためか、それともサブウーハー用だからなのか、実効質量は大きめになっています。

ハイコンプライアンス型のTL-1601aと2235Hは、FsとQ値の何れもが小さく、小さな箱に入れてFsとQ値を上昇させることを前提に設計されています。

2265Hと2266HはJBL社の最新型主力ウーハーです。いずれもNDD構造の磁気回路(3インチボイスコイル)を搭載しています。2265Hは過去の主力ウーハーであった2226Hよりも実効質量が重くなっています。低域のレンジを欲張る傾向になってきているようです。2266Hはサブウーハー用のユニット。実効質量はなんと260gもあります。残念ながら両ユニット共に単品では販売されていません。

PEAVEY社の38cmウーハーは全て4インチボイスコイル。1508-8ALCPとCUCPはプロライダーシリーズ、また1508-8SPS、HE、CUはブラックウィドウBWXシリーズのユニットです。プロライダーシリーズは、BWXシリーズの改良型であり上位機種になります。ちなみに、BWXシリーズは2001年頃、プロライダーシリーズは2003年頃に開発されました。

1508-8HPSはローライダー18の38cm版であるローライダー15のこと。非常に強力なサブウーハー用ユニットです。そして、LO MAX15はこのローライダー15をさらに強化した怪物ユニットです。LO MAX15はブラックウィドウシリーズのフルサイズフェライトマグネットを2段積みにした磁気回路を備えており、ユニット重量が14.8kgもあります。


LOMAX15

安価に入手できるPEAVEY社のユニットの中から1508-8ALCPに決定。適度に軽い実効質量、4インチアルミボイスコイル、そして新型フレームの搭載と魅力を感じていたからです。






2004/04/15

幸せの黄色いホーン 55話 V字型バッフル



さあ、問題のウーハー部。箱やユニットを考えていると、これは無限の組合せ。楽しい悩みは尽きることがありません。色々な案を考えましたが、V字型バッフルを用いたシステムが有力な候補に上がってきました。

この手のV字型バッフルのシステムは家庭用スピーカーでは見られないものの、PA用スピーカーの世界ではかなり以前からあり、珍しいものではありません。下の画像はEV社のX-LineシリーズのXvlsです。38cmウーハー(EVX155Plt)2発と20cmミッドレンジ(ND08)2発がV字型バッフルに取り付けられています。


XVLS

また、JBL社ではASB6128Vという46cmウーハー(2258H)2発を用いたサブウーハーシステムがあります。V字型バッフルの中央部にはバスレフのダクトが開口しているようです。JBL社ではこの形式のバッフルにVローデッドバッフル(V-Loaded baffle)という名称(商標)をつけています。



ASB6128V

たいぶ以前のことになりますが、長岡鉄男氏がポラリス(BS-77)という20cmフルレンジを用いたV字型バッフルのスピーカーを製作されました。そして押し出しのよさがあると感想を述べられておりました。しかし、それ以降、このタイプの自作スピーカーを発表されていませんので、お気に召さなかったのかもしれません。このポラリスの特性グラフではフロントロードホーンのような中低域の盛り上がりが見られ、これが長岡鉄男氏の好みから外れた原因なのではないかと想像しています。

また46cmダブルウーハーを用いたラフトクラフトのSL-18-V Driveという箱もあります。この箱についてラフトクラフトは「ユニット同士互いに音響負荷がかかり、ホーン効果も期待できる」としています。

V字型バッフルのいいところは工作技術が低くても作れるところです。また、EV社やJBL社のシステムに見られるようにホーン用のウーハーではなく普通のウーハーでもかまわないようです。それから設計理論のようなものはなさそうなので気楽なDIYオーディオには向いているかもしれません。