ローライダー18を入手したころは、今の箱を改造して流用するということを考えていました。奥行きを10数センチ延長すればそこそこの内容積が稼げるからです。なんとなくローライダー18に対して半信半疑だったのでしょう、手軽な改造でごまかしてしまおうと思っていたのです。
ある夜、ユニットを包装箱から出し、フランジの取付けボルト穴の周囲にはみ出している接着剤を電動ドリルに装着した円筒型の砥石を用いて削り落としていました。作業が終わると、裸で鳴らしてみよう、と思い立ちました。電子ピアノ用のシステムにつないで聴いてみると、低音も高音も出ていませんが、コーン紙の上に音楽がふんわり浮かび上がります。サブウーハー用のユニットなので、力まかせの強い音を想像していたのですが、そういう音ではないです。素直で自然な感じ。これは真面目にやる価値がありそうだと思いました。
こうした訳で計画変更、ちゃんと箱を作り直すことにしました。今までは21mm厚のシナ合板ばかり使っていたのですが、今回は24mm厚を使用することにしました。板材の値段の価格差が小さいことと、ローライダー18のパンフレットには20mmから30mm厚の高品質の合板で作れと記載されていたからです。
同パンフレットには実効容積で142L(5キュービックフィート)、191L(6.75キュービックフィート)、255L(9キュービックフィート)の小中大3種のバスレフ推薦箱について丁寧な解説がなされていました。箱の計算ソフトを使って計算してみると220L前後が適しているようです。
JBLの2242Hのパンフレットには、225L(8キュービックフィート)バスレフ箱の特性グラフが、また、2241Hのパンフレットには、280L(10キュービックフィート)バスレフ箱の特性グラフが掲載されています。いずれもダクトチューニングは30Hzです。ローライダー18の255L(9キュービックフィート)バスレフ箱のダクトチューニングも30Hzです。このクラスのユニットは、この程度の実効容積を想定して開発されていることが分かります。
CADと箱の設計ソフトを使用して設計を進めてゆきました。箱が大きいので設計では一人で作業可能な作りやすさを考慮しました。今回は、最初に天地板や側板にそれぞれ補強材を接着し、それらT字型の端面により、裏返しに寝かせたバッフル板の上に天地板や側板を自立させるようにして接着しました。
内寸容積が273L(内寸772W×681H×520Dmm、外寸820×750×568mm)です。補強材、ダクト、ユニット、少量の吸音材により減少する容積を計算すると約30L。したがって実効容積は243Lになりました。ダクトチューニングは約30Hz、ダクト開口は120×120mm、ダクト長224mmが2本です。25Hzまで再生できそうです。
最低域はEQで調整できるためダクトの設定は欲張っていません。また、ダクトのもやっとした音が好きではないためダクト長を短め、そして開口面積も小さめになっています。なお、今回ははかまを作らず上げ底にし、底板の振動が直接床に伝わらないようにしました。
メインシステムから退役した2155Hをピアノモニターにするための小型のバスレフ箱も同時に製作しました。4つの箱で21mm厚サブロク板2枚と24mm厚サブロク板を4枚使用するという今までで最大規模のDIYです。渋谷の東急ハンズでカットしてもらいました。また、今回はスピーカーターミナルにスピコンコネクタ(ノイトリックのNL4MPR)を使ってみました。
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