2012/05/14

Subscription Concert No.734 at Suntory Hall

東京都交響楽団の第734回定期演奏会に行ってきました。








指揮は小泉和裕さん。
ピアノはアンドレア・ルケシーニさん。
曲目はブラームスのピアノ協奏曲第1番とラヴェルのグフニスとクロエ。

ピアノ協奏曲はアンドレアさんのピアノが素晴らしかった。
第2楽章の深遠な美しさ。
ブラームスの情の深さが伝わってきます。
解説にあった「深い宗教的気分」が普遍的な気持ちを表しているように思えます。

「それでいいのかい?」
「それでいいのよ。」
という無言の会話を聞いたような気がしました。

おなじみのグフニスとクロエ。
第2組曲は70年代のオーディオブームの頃はどこでも頻繁に聴かれていたのでは。
豪華絢爛というより絢爛豪華。
フルートの、これはパンの神の調べなのか、実に神々しい。
素晴らしい演奏でした。

「月刊都饗」の5月号のクラシック名脇役伝(著者小宮正安さん)にはグフニスとクロエにちなんでセルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)さんのことが紹介されていました。
以下のような面白いエピソードが掲載されています。

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「この人は何者だったのか」と問われた時、答えを出しやすい人と出しにくい人がいる。
今回の主役ディアギレフなどはまさに典型的な後者。
「バレエ・リュスの興行主」としてつとに有名だが、他にも芸術愛好家、コレクター等、その肩書きは多岐に渡る。
しかも、バレエ・リュスの興行師として華々しく活躍していた時ですら、彼が何者であるのかすぐには分かりかねたらしい。
例えばスペイン国王アルフォンソ13世(1886-1941)は、いみじくもディアギレフにこう尋ねたそうである。
「君は指揮者でもなくダンサーでもない。ピアニストというわけでもないが、一体何をしておるのかね?」
これに対するディアギレフの答えが傑作である。
「畏れながら陛下と同じです。あくせく働くことはもとより、これといったことは何一ついたしませんが、なくてはならない存在なのです。」

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この解説は続けて「ディアギレフが新作バレエ用の音楽の委嘱を行わなければ、ストラヴィンスキーの「火の鳥」、ラヴェルの「グフニスとクロエ」、ファリャの「三角帽子」、サティの「バラード」といった傑作は生まれず、現在のオーケストラのレパートリーは随分と寂しいものになっていたに違いない。」としています。







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