2015/11/30

JBL VTX Series V20 & S25 (8)



V20の"Application Guideline"には、以下のようなシステムが例示されていました。
V20が24、S25が8、S28が12台という構成。
これを4ウェイか5ウェイで駆動すると。
ところで"FOH"って、Front of Houseの略?





S28(下の画像)は2269Hをダブルで搭載したサブウーファーシステムです。
このS28はグランドスタックされており、一方、S25は宙吊り。



サブウーファーシステムの音は、結構違いがありますよね。
15インチと18インチ、同口径だとしてもユニットの性格により音が全然異なります。
それから箱の形式。
ダイレクトラジエターの他、X1のようにロードがかけられているもの。
これも全く違う。

そして、宙吊りと据え置き。
サブウーファーは方向感がないと言われていますが、そうなのかなぁ。
サブウーファーが高い位置にも配置されていると、やっぱり迫力が違う。

様々な個性を持つサブウーファーシステム。
これが楽しい問題なのだ。
上記システムは4ウェイか5ウェイということだけれども、宙吊りのS25と据え置きのS28では、音の傾向がかなり違うでしょう。
2系統のサブウーファーを独立して制御する5ウェイの方がハンドリングが容易だと思います。
マルチアンプで独立制御の2系統サブウーファー、魅力的だなぁ。





…と、書いてしまったものの、V20はMF/HFのネットワークを内蔵。
ネットワーク使用時には4ウェイということだと思います。




2015/11/24

JBL VTX Series V20 & S25 (7)



S25はV20と組合わせるサブウーファーシステムです。
緩やかな角度のV字型バッフルに15インチの2267Hを2発搭載しています。
2267Hは連続最大入力2000Wの超絶最強ユニットですから、ダブルで連続最大入力4kw、ピークでは実に16kwになります。



バスレフの開口部の形状が変わっています。
ダクト長はかなり長いと思われますが、材質は樹脂製なのでしょうか?
スペックシートからはダクトチューニングが32Hz前後であることが読み取れます。





V20とS25を組合わせると4ウェイのフルレンジシステムを構築できます。
38cm、25cm、10cm、ホーン型ツィーターという構成。
でも、4344等とはクロスの考え方がちがいます。
25cmにボイスレンジの下を任せるのか、それともボイスレンジそのものを任せるのか。
ユニットの性格も関係してくる楽しい悩みですね。










2015/11/18

Herend Queen Victoria Tea Pot




ヴィクトリアブーケのティーセットです。
先日サービストレイが加わり、いい雰囲気になりました。
大きいポットが606、小さいポットはヴィクトリアプレーンの608です。
サービストレイは437、2つのクリーマーが649、そしてシュガーポットが472。





見た目のバランスは、下のように606を使う組合せでしょう。






でも、一番出番が多いのはミニポットの608です。
一人のときはいつもこれです。






四人のときはクリーマーを2つ使います。
トレイがあるとミルクが垂れてもテーブルを濡らしません。











2015/11/14

JBL VTX Series V20 & S25 (6)



V20のレスポンスグラフを見てみると、低域側は業務用の10inchとしては伸びており、一方、高域端が以外に伸びていないことが分かります。
バスレフのダクトは10inchウーファーである2つの2261Hの内側にそれぞれ設けられており、分解図を見てみるとダクト長はあまり長くないように見えます。
バスレフの設計をされた方なら分かると思いますが、これらのことからV20の箱の容積が十分以上であることが伺えます。
高域端が伸びていないのは、ローパスフィルターを設定しているからでしょう。





"Beamwidth"グラフは、これは見事な水平方向の指向性を示しています。
レスポンスグラフは、デジタルプロセッシング(デジタルイコライジング)を施したあとのものなのでフラットなのは当たり前ですが、この水平方向の指向性はそうした処理は不可能です。
Spec Sheetに表示されている"Coverage Pattern (-6dB) Horizontal: 105 degrees nominal (315 Hz-16 kHz)"の通りになっています。
300Hzから低域側の水平指向性が急激に広がっていることから、LFとMFのクロスが300Hz前後であることも分かります。

この優れた水平指向性は、V20の中央に搭載されたウェーブガイド部材とRBI(Radiation Boundary Integrator)によるものでしょう。
このウェーブガイド部材は第4世代(4th generation advanced high frequency waveguide)のものなんだそうです。
改良に改良を重ねたその完成度は非常に高いものとなっているのではないでしょうか。





黄色いホーンシステムではボイスレンジをJBL2392/2490Hと2360A/2446Hに任せ、その低域側を10inchのPeavey 1008-8HEを2発用いたバスレフに受持たせています。
このため、ボイスレンジの低域側を10inchダブルに受持たせているV20には親近感があります。

2392/2490Hの守備範囲は250Hzから1kHz、2360A/2446Hは1kHzから4kHzです。
2オクターブずつということ。
2オクターブは音響的には狭い範囲ですが、音楽的には広帯域と言ってもいいかもしれません。
黄色いホーンシステムでは、この2つの大型ホーンの領域以外の各受持ち帯域は1オクターブになっています。

250Hzの1オクターブ下は125Hz、その1オクターブ下は60Hz、さらにその1オクターブ下は30Hz。
4kHzの1オクターブ上は8kHz、その1オクターブ上は16kHzになるわけです。
実際に8ウェイの帯域分割は以下のような設定になっておりますが、さまざまなクロスを試しているうちにこのような帯域分割にたどり着いたわけです。
なお、ツィーターの領域はツィーターユニットの個性に応じた変則的な帯域分割になっています。
また、111Hzとか4.02kHzなど、異常に細かな設定周波数になっていますが、これはデジタルチャンネルディバイダーのDCX2496の設定できる数値がそうなっているからです。
110Hzを希望しても111Hzになってしまうし、4kHzとしたくても4.02kHzになってしまう、とこういうわけです。


PD.2450  -50Hz
1808-8HPS  50Hz-111Hz
1008-8HE  111Hz-249Hz
2490H  249Hz-897Hz
2446H  897Hz-4.02kHz
2431H  4.02kHz-8.5kHz
DE500  8.5kHz-
2402H-05  10.1kHz-


黄色いホーンシステムの8ウェイ拡張時、Peavey 1008-8HEのバスレフ箱には随分悩みました。
ミッドベースとしてはかなり低域側になるとはいえ、それでもミッドベースであることには変わりはないわけで、そうした帯域に密閉箱ではなくバスレフを選択したことについてです。

密閉箱は十分な容積を稼がないと音が固く薄くなる傾向があります。
例えば、バスレフのダクトを封鎖して密閉箱にする場合、こうした音になりがちです。
Thiele and Small理論を適用して設計されている現代的なユニットとバスレフ箱は、そうした実験に向いていないのです。
当然のことながら、大きな密閉箱に、そうした箱と相性の悪いTSパラメータを持つユニットを入れると、低域のレスポンスがほとんど稼げていない悲惨な特性になってしまいます。

密閉かバスレフかという議論は、Thiele and Small理論が発表される以前の議論だったので、最近ではほとんど語られなくなりました。
こうした話は、もちろん昔のユニットには当てはまりますから、その世界では依然として"あり"です。
そう、これは昔のユニットとそれに適合する巨大な箱の時代を知る者にとっては楽しい話なのです。

一方、現代的なユニットはTS理論を前提に設計されているので、そうした昔の議論をそのまま当てはめても良い結果は得られないようです。
これはダクトを封鎖する実験をしたときに如実に感じました。
結局、現代的なスピーカーユニットを生かすためには、昔の議論に拘泥することなく、TS理論をよく理解した上で設計をしなければならないということです。

Peavey 1008-8HEをどうしても使いたかったのでミッドベース用でもバスレフという変な話になってしまったのですが、今ではこういうのも悪くはないのだなぁ、と思うようになりました。
なお、V20の2261HのTSパラメータは確認していませんが、箱の容積や能率(93dB)から見て、2261Hはミッドベース用のユニットではなく、ウーファー用のユニットとして設計されているように思います。




2261H



2015/11/12

JBL VTX Series V20 & S25 (5)




V20のスピーカーユニットは、25cm、10cm、そして小型ドライバーと、比較的コンパクトなユニットで構成されているため、ユニットの配置が極めてタイトです。
ユニットの集中配置という点では屈指のスピーカーシステムでしょう。

よく見ると、各フロントグリルの内側中央には円盤状の部材が取り付けられています。
番号がはっきりしないのですが(36?)、Technical Manualによると"Foam, LF RBI"と表記されているものではないかと。
10inchユニットのRBIということなんでしょうね…










3発のD2415Kが金属製のスロート部分に取り付けられています。
ラインアレイのこの手のスロートは垂直方向の指向性を極限にまで絞るようにできています。
家庭に持ち込むにはちょっとむずかしいと思わせるのがこの点です。






各D2415Kの2つの磁気回路の熱は、金属製スロートと背面の放熱板により均等に放熱されるようです。
2つのボイスコイルは直列に接続されているようですが、それぞれの磁気回路の熱の不均衡はボイスコイルの抵抗値に影響を与えるため、ダイヤフラムの完璧な対向運動を阻害するのかも。
ちなみにTechnical Manualには、D2415Kに関し以下のような記載があります。

"Nominal Impedance: 3 x 20 Ohms
 (in parallel): 8 Ohms
Bandpass Sensitivity: HF x3 in parallel: 111 dB @ 1W / 1m (2.83 Vrms at 3.3ft)
D.C.Resistance: 16.0 ohm +/- 0.2 ohm each
 (in parallel): 6.1 +/- 0.3 Ohms"







RBI(Radiation Boundary Integrator)と組み合わされている4つの2164Hは、ディファレンシャルドライブではなく、シングルコイルです
ボイスコイル径は50mm(2inch)と大口径。
なお、2164Hの口径について、Spec Sheetには"130mm(5inch)"と、また、Brochureには"4inch"と記載されております。
4inchだとは思うのですが…



2015/11/10

Moser Purity 626, hand cut and engraved vase, motif The Deer




モーゼルの花瓶をヤフオクで購入しました。
鹿がエングレービングにより描かれているものが以前から欲しかったのです。
花瓶の形状は626タイプで、高さは28cm。
Octagonal Facet、色はベリルです。
落札価格は9万円(税込97200円)でした。




北米にはエルクという巨大な鹿がいます。
イエローストーン国立公園にリドルレイクという湖があり、そこに行くためのトレール(小道)を家族で歩きました。
そしてリドルレイクからの帰路、森の中で一匹だけで静かに下草を食べている巨大な雄のエルクに出くわしました。

イエローストーン国立公園ではエルクはめずらしい動物ではありません。
しかし、リドルレイクで出会ったそのエルクは、並外れて大きかった。
その角(antler)も素晴らしく巨大なものでした。

エルクはこちらに気付き、我々の方をじっと見つめます。
エルクは発情期になると非常に危険です。
これはまずいです。
刺激しないようにゆっくりと帰路を進みました。
そのときはエルクに許してもらったというか、相手にされなかったようで事なきを得ました。






ガラスの表面はこんなに深く削られています。
凹状なのに、上の画像のように凸状に見えます。

626のデザイン時期は、1920年~1935年だそうです。
随分時間に幅があるので、色々な形状を試しつつ徐々に形が決まっていったのではないでしょうか。
また、626にはさまざまな種類があり、6面カット、8面カットの他、円筒状のものもあります。






モーゼルの工場はチェコの温泉地カルロヴィ・ヴァリにあります。
チェコの鹿というのはどんな連中なのかなと調べてみると、アカシカが生息しているそうです。
北米のエルクはアメリカアカシカというそうで、アカシカはそれよりやや小さい。
もっとも大きさを除けば似たようなものでしょう。

鹿の角は春に伸び始め、冬の終わりに抜け落ちます。
それを毎年くり返す。
しかし、角は年齢を重ねるごとに大きくなり、また、枝分かれも多くなってゆきます。
エルクの平均寿命は10~13年ほどであり、飼育下では20年ほど生きるそうです。
今回購入した花瓶の鹿さんは若々しい感じがします。
4~6歳ぐらいかなぁ。

モーゼルの鹿にはいろいろあります。
それぞれに味があっていいなぁ。
592



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2015/11/08

JBL VTX Series V20 & S25 (4)




2014年の4月の記事、VTX-V20がそのままになっていました。
う~ん、何を書こうと思っていたんだっけ…
とりあえず、以下の3つの記事の続編です。

JBL VTX Series V20 & S25
JBL VTX Series V20 & S25 (2)
JBL VTX Series V20 & S25 (3)

V20の一番の話題は新型ドライバーだったので、この話題からリハビリがてら書いてみましょう。
この新しいドライバー、D2 D2415Kといいます。
D2430Kの小型版。



放熱板がなかなか精悍です。
V20のSpec Sheetには、"High Frequency: Three 2415K D2 Dual Diaphragm Dual Voice Coil
Compression Driver; two 38 mm (1.5 in) dia. voice coils; 21 mm (0.8 in) exit"と記載されています。
ボイスコイル径が38mmというのはなじみがありますが、スロート口の直径が21mmというのは、見なれないというか。
まあ、ホーンは自作するからどうでもいいけど。



これでD2シリーズは2機種。
ハイ側はこれで鉄壁。

4インチダイアフラムは高域側が今ひとつ。
それで黄色いホーンシステムでは4kHz以上を2431Hに任せています。
この2431Hがいい仕事をするのですよ。

次世代システムでは、この2431HがD2430Kになるわけです。
さらに、そのD2430Kの上をこのD2415Kが受持つ!
ふ、ふ、ふ、ふ、ふ。






ふふふ、というからこのがぞうではなく、まちうけがめんのかべがみをつくってみた。
1136ぴくせるのがぞう、けっこうおおきいよね。
こんなもんのぞかれたら、しゃかいてきにしぬかも。


2015/11/05

JBL 4367 Studio Monitor



10月15日、米国ダラスで開催されたオーディオ機器などの展示会"CEDIA EXPO 2015"でJBL 4367 Studio Monitorが発表されました。
M2 Master Reference Monitor直系、久々のモニターグレードのスピーカーシステムです。
伝統あるJBLモニターの雰囲気が漂い、これはなかなかカッコいいですね。





スペックは以下のとおり。

4367
15" 2-way Studio Monitor Loudspeaker

Specs
Features:
15" (380mm) low-frequency transducer for low-distortion, natural sound

Extremely smooth and wide frequency response

High-Definition Imaging (HDI™) horn technology

Frequency Response:
30Hz – 40kHz

Speaker Configuration:
3" (75mm) D2 2430K dual compression (U.S. patent no. 8280091) with High-Definition Imaging (HDI™) waveguide horn (U.S. patents pending)

15" (380mm) 2216Nd-1 Differential Drive® woofer (U.S. patent nos. 5664023, 5748760, 6768804, 6847726, 6774510)

Power Handling:
300 watts RMS

Sensitivity 1W @ 1m:
94dB

Nominal Impedance:
6 Ohms

Dimensions (H x W x D):
37-1/16" x 22-1/16" x 16-3/4" (941 mm x 560 mm x 425 mm)

Weight:
135 lb (61.2 kg)



黒っぽい仕上げのもあります。
AV用なのかな。







ホーンは、High-Definition Imaging (HDI™) waveguide hornというそうです。
M2のホーンと比べるとスロート奥の左右の突出がなくなっています。






ドライバーはD2 D2430K、ウーファーは2216Nd-1。
M2と同様の構成ですが、ウーファーは新しいスパイダーを採用しサラウンドのトリートメントを変更したそうです。
家庭内での音量に合わせて手直しをしたのでしょう。










この2216というのは、本当に美しいというか、精悍なデザインのウーファーですね。
萌えますというか、2216蕩れ~
M2との大きな違いは、ネットワークを内蔵していることです。
そのアッテネーターはHFとUHFとに分離しています。
2ウェイなんだけど3ウェイと同等の調整ができます、というのはうれしいですね。
なお、Lansing Heritage Forumに、4367のネットワークの設計がグレッグさんの最後の仕事のようだというようなことが書いてありました。





悲しいのはお値段。
ペアで15000ドルだそうです。
日本では1本80万円。
このさきオーディオ世代はだんだん収入が少なくなっていくし、このデフレのご時世に、ちと高すぎはしませんか。







D2430K蕩れ~なんて、今ごろなに言ってるのよ、阿良々木くん。