2022/02/28

Audio-Technica ATH-M20x Professional Monitor Headphones (3)



一連のモニタースピーカーやモニターヘッドホンの音はとても良い参考になった。
「とても良い参考」とは、目標となる音を見つけたという意味ではなく、モニターとしての音は各社それぞれにあり、要するにモニターとしてきまった音などない、ということがよく分かったということである。

各社は、理想と考える周波数特性、すなわちターゲットカーブ(目標曲線)を設定し、それに準ずる製品を作っているわけで、それらは室内スピーカーの場合とヘッドホンの場合でもそれぞれ異なるということである。
ハーマンインターナショナルの"DEVELOPMENT OF HARMAN HEADPHONE TARGET CURVE, 14 APRIL 2016"によるとヘッドホンでは、"diffuse, modified diffuse, free-field"の3種類を検証している。
また、室内スピーカーに関し、下の黒実線のカーブ(20Hzから20kHzへかけておよそ10dB落ち)が平坦な緑破線よりも好ましいとし、また、この黒実線に近い赤の破線も好ましいとしている。






という訳で、久々にイコライジングを見直すことにした。
見直すといってもイコライジングのカーブそのものではなく、イコライジングの作成方法を見直すことにしたのである。
オーケストラ用として開発したグイグイイコライジングは、オートEQでフラットにした特性から直接作り出したが、この方法を見直す。
新しい方法は、まず、オートEQでフラットにした特性をベースにオリジナルのターゲットカーブを作成する。
このターゲットカーブは、音楽のジャンルを問わない万能型の周波数特性である。
そして、このターゲットカーブをベースにオーケストラ用のグイグイイコライジングを作成しようという計画なのである。
要するに、フラット特性からターゲットカーブ、ターゲットカーブからグイグイという2段階の作成方法を試してみようということになったのである。

さらに、ターゲットカーブは、ラウドネス補正を加えた3種類を作成する予定である。
当然、グイグイ系も3種類になる。
今後一年ぐらいかけてのんびりやろうと思っている。




2022/02/25

Audio-Technica ATH-M20x Professional Monitor Headphones (2)



ATH-M20xを購入したのは2020年11月。
amazonで5800円だった。
安価なのとレビュー数が多かったので興味本位で購入したのである。
しかし、これを最初に聴いたときは驚いた。
ナチュラルで好みの音なのである。
MDR-CD900STよりも20xの方をよく使うようになった。

そして先日、JBLの308PMk2を購入し聴いてみると、音の方向性が20xと似ているなぁ、と思ったのである。
さらに購入した305PMk2は、これはこれで別の方向性を持っているように感じた。

さらにその後、サウンドハウスの7300ポイントでATH-M30xを購入した。
20xとの価格差はわずかなので音など違わないだろうと思ったら、これも違う。
どうやって作り分けているのだろう?
面白いものである。

フラットな特性自体は、オートEQやキャリブレーションソフトを使えば容易に手に入る。
昔は大変だったが、現代ではありがたがるようなものではない。
であるから、各社のモニタースピーカーやモニターヘッドホンの機種の様々な音の方向性は興味深い。

DIYホーンシステムは、ラージモニターに属するので小型スピーカーやヘッドホンとは異なる世界ではあるが、上記のような音の方向性は大変参考になった。
やはり、新しい機種で評価の高いものは時々入手して聴いてみるべきだと思った。




「どうだい、308PMk2を聴いてそのバカげた大型スピーカーシステムが嫌になったんじゃないの?」
ふっふっふっ、心配無用である。
マルチアンプの大型スピーカーが小型スピーカーに負けてしまうのは、位相管理ができていないからである。
各スピーカーユニットからリスニングポイントまでの距離を測ったって不思議なことに駄目なのである。
DCX2496などの業務用デジチャンのオートアラインを試すべきだ。
アキュでもいいが、あれは5mm単位なのでDCXの半分以下の精度しかない。
これでその大型スピーカーの前に置かれている小型スピーカーはいらなくなる。
もし、オートアラインの効果を知らないままだったら…考えただけでもゾッとする。



2022/02/24

Audio-Technica ATH-M20x Professional Monitor Headphones



現在、3つのヘッドホンを使用している。
SONYのMDR-CD900ST、あとはオーディオテクニカのATH-M20xとATH-M30xだ。




音楽制作環境を考えた場合、モニタースピーカーやヘッドホンに求められる要素は何だろう。
まず、モニターとしての正確性、フラットな特性が必要だ。
次に、長時間の作業でも疲れないこと。
そして、音楽を楽しく聴けることだ。
上記の3つの要素は相反するものであり、これらすべてを単一の機材でカバーすることは不可能だ。
また、モニターとしての正確性やフラットな特性はミックスダウンやシンセ等のボイスエディットの際は必要だが、それ以外の場面ではそれほどでもない。

そこで役割分担だ。
モニターとしての正確性やフラットな特性はスピーカーよりもヘッドホンの方が実現が容易だ。
この役割にはMDR-CD900STなどを使う。
次に、深夜に及ぶような長時間に渡る作業の場合は、刺激的ではない音のヘッドホンが必要だ。
これはATH-M20xを使用する。
そして音楽を楽しく聴くためには元気のいい小型のモニタースピーカーがピッタリだ。
それにはJBLの305PMk2が好適であろう。
こんな具合に、シチュエーションに応じて使い分けることにより、ストレスなく音楽制作を行うことができる。

ATH-M20xはナチュラルな感触を重視して作られており、モニター用途としては割り切りの良さを感じる。
この20xをベースにMDR-CD900STのような本格的なモニターヘッドホンの方向へ少し振って作ったのがATH-M30xだと思う。
長時間の作業で使用するのであれば、これは20xであろう。
20xがナチュラルと言っても周波数特性が崩れているわけでもなく、細部の描写がいい加減ということでもない。
考え抜かれた絶妙のバランスの音造りだと言える。

ATH-M20xや305PMk2を、従来のモニターシステムを補完するように使用すれば、音楽制作環境はより充実するだろう。
そして近い将来、こうした機種がモニターシステムの新しい音の方向性を作っていくように思えてならない。




2022/02/23

JBL Professional 305P Mk2 (4)



スピーカーマニアならチャーミングな305で遊んでみたいなぁと思ったりするのではないか。
こういう気持ちにさせられるのである305は。




大昔、オーディオブームだったころにテクニクスのSB-7000が出現した。
結構インパクトがあり、次にSONY SS-G7が出た。
今見てもなかなか良いデザインだと思う。
こういうユニット構成をデジタル制御とマルチアンプで追及するとどうなるのだろうか。




15インチウーファーを格納した箱に305を挿入できるように四角いトンネルを設ける。
DCX2496で150Hz~300Hzぐらいでクロスを探る。
305への低域成分がカットされるとその分305のウーファーの負担が減り分解能が向上するので、これが楽しみだ。
なお、305のレイテンシーがどの程度なのか分からないからDCX2496のオートアラインを実行する。




SB-7000のようにウーファー箱の上に305を置くのが現実的かもしれない。
大昔のB&Wの801のように12インチウーファーでも良いかもしれない。
ならばEMINENCEのKAPPALITE 3012LFなんてどうだろう。
12インチは15インチに比べて箱が小さくても良いし、12インチというのはなんとなくマニアックだ。
こんな具合にノスタルジーに酔いつつ妄想が際限なく広がってゆく。
全く困ったものである。






2022/02/22

JBL Professional 305P Mk2 (3)



305PMk2をもう1ペア購入した。
妻のYAMAHA P515Bと組み合わせるためである。
サウンドハウスでモニタースピーカー用スタンドMST20のセットを購入した。
28800円で1440ポイントがついてくる。
このモニタースタンドは、305に似合っているし、三角の台座が面白いデザインだと思う。
(なお、MST20の天板のすべり止めシートは簡単にはがせる。)




308も305もキーボードアンプとして使用するため、オーディオとしては使用しない。
少し残念である。
これで全てのシステムがマルチアンプシステムになった。
慶賀の至りである。

308と305の音を知った上で、305をさらに選んだのはサイズと価格からである。
308は305より本格的な音が出るもののサイズが大きい。
キーボードアンプとしては305で十分だと思ったし、なにしろ価格が半分である。

オーディオとして使用するなら308の方だろう。
配置を工夫したり、イコライジングで詰めてゆくと素晴らしい音になると思う。
モニタースピーカーらしく変なクセがないためイコライジングの効き方が素直だ。
サブウーファーが必要かどうかは微妙なところだが、JBLが3シリーズ専用のLSR310Sを用意しているので試す価値はあろう。
さらにDEQ2496とECM8000を加えれば完璧かもしれない。

対して305はホームスタジオのモニタースピーカーとしてピッタリだ。
近距離での使用を前提に開発されているように思った。
305はモニター用ヘッドフォンを補完する役割を十分に果たす。

この3シリーズは好評なので今後も改良型が作られるだろうと思う。
できれば10インチウーファーとより大型のホーンを使った"310"をお願いしたい。





2022/02/21

JBL Professional 305P Mk2 (2)



305PMk2、第一印象は、サイズを超えた迫力のある低音とちょっときつ目の高音で元気がいいなと。
とりあえずHF Trimを0dBから-2dBへ変更し、高域をカット。
ここからスタート。

スピーカーの配置を変更、壁から離したり、左右の間隔を開けたり狭めたり。
内側に振ってみる、戻してみる。
なるほどなるほど。

BBE風の低音に気をよくして交響曲でオーケストラの厚みに挑戦。
イコライザーで300Hzから最低域にかけて徐々にブースト。
おおっ、これはなかなかいいではないか。

イコライザーを元に戻して、今度はスピーカーに近づいて聴いてみる。
やはり近距離の方が楽しい。離れるとやや薄くなってしまう。
しかしまあ、この性能をこのような価格とサイズで実現する現代のJBL Professionalの技術力の高さに感銘した。




先に入手した308PMk2とこの305PMk2を比較すると、両者は異なる個性を持つ。
まず、308はナチュラルでみずみずしい音だ。
セッティングなどを工夫してうまく鳴らすと、スピーカーの存在を綺麗に消すことができる。

対して305は、かなり元気である。
注目すべきはホーンの大きさである。
308の方がホーンの開口面積が広く、ホーンの深さ(ホーン長)もある。
このため、ツィーターの持ち帯域の全域で高音の拡散がうまく行われている印象がある。
対して305はホーン部分は小さく、やや刺激的な帯域が残っている。
それがチャームポイントなのかもしれない。

308ではHF Trimは-0dBのままだったが、305では-2dBに設定した。
305を-0dBのままで聴いていると、これは北米サウンド。
THの発音などを重視するアメリカ人用。
過去のJBL製品の遺伝子を感じる。
そして、この高域の性格に釣り合うように迫力ある低音を持ってきてバランスさせている。
決してドンシャリという訳ではなく、現代的スタジオモニターの正確さを維持しつつも上記のような絶妙な音造りがされている。
こんな具合に308と305は同じシリーズに属しているのに個性は異なる。

両者共に家庭内のスタジオモニターとしての性能は十分満たしている。
(305は、モニタースピーカーとしては若干痛快?すぎる感じはある。)
また、308の方が低音は余裕があるが、両者共に低音の満足感は高い。
サブウーファーを導入しなくてもこの低音なら十分楽しめると思う。

なお、305はその小ささゆえにミニチュアのような精密感がある。
デザイン的なまとまりが感じられ精悍な感じを受ける。
308PMk2と共に、この305PMk2、大変気に入った。






2022/02/17

JBL Professional 305P Mk2



pf70に使用していたDENONのミニコンポのスピーカーからノイズが出るようになってしまった。
これ幸いと305p MK2を購入した。
サウンドハウスでペア23600円(1180ポイント)。
スタンドはハヤミのNR-600T、amazonで8427円だった。




箱から出してみると思っていたよりも大きかった。
画像のようにペブルスよりもかなり大きい。








2022/02/01

Dogura Magura / Yumeno Kyusaku (2)





趣味の遺伝について漱石は、「昔はこんな現象を因果と称えていた。」と書いている。
ドグラマグラでは、おどろおどろしい因縁という感じか。
いずれにせよ、これら小説のテーマは生物学的な遺伝ではない。

まあ、因果でも因縁でも遺伝でも呼び方は何でも良いと思うが、例えば、音楽の才能などはどんな伝わり方をするのだろう。
演奏という行為は、当然のことながら、演奏者の動作と音楽が密接に関連する。
動作という体の動きが含まれている以上、生物としての遺伝情報として伝わりやすいと思う。
そして演奏という行為が必要とする能動的に音楽を理解する力は、これもまた遺伝しやすいだろう。

欧米ではピアノはたいてい両親や祖父母などから教わる。
蓄音機やラジオ等を含むオーディオ装置が普及する前は、買ってきた楽譜を家族で演奏して楽しんでいたという歴史がある。
日本はまだまだ音楽を家庭で演奏して楽しむという文化が浸透していない。
そうした残念な環境で育った者では、ピアノはピアノ教室で教えてもらうものという発想しか出てこない。

家庭内での演奏に無縁な環境では、そもそも音楽の才能など遺伝するわけがない。
やはり子供にピアノを習わせるよりも、まずは親がピアノを弾けるようにすべきであろう。
これは、ピアノ教師による教え方ではなく、親としての教え方を伝えることにもなる。

音楽に関し、子孫に伝わるものは、音楽の範囲にとどまらないような気がする。
ベートーヴェンやモーツァルトの音楽は、美しいヨーロッパの街並みがあったからこそ、という気がする。
何世代もがその街で生涯を送るとすれば、そこで培われた物事のとらえ方は何らかの形で遺伝子に取り込まれるのではないか。

電信柱があたりまえに林立するような雑然とした街なんかで世代交代を繰り返しても、美しい音楽は生まれないのかもしれない。
地方には街の景観に積極的に取組んでいる自治体がある。
地震にも火事にも強い住宅を用いて、美しい街づくりが広がってほしいものである。