2023/06/15

Loudspeaker Systems Design



当初NS10MはNS1000Mの残念賞みたいなスピーカーシステムだった。
そうですかあなた1000Mは高すぎますか、ならこちらはどうです1000Mを作られた仲村昭氏の手によるものです、目玉焼きぐらい僕が作りましょう...御免

しかし、レコーディングエンジニアのグレッグラダーニーが東京のスタジオで耳にしたNS10Mをロスに持ち帰ったことから状況は一変する。
自社のスピーカーシステムが世界の著名な録音スタジオのモニタールームに設置されるという見果てぬ夢は、その音だけでプロフェッショナル達に選ばれてゆくという理想的な過程を経て実現されてゆく。
それをこの残念賞のスピーカーシステムが完璧にやってのけたのである。




それまでのオーラトーン5Cに代わりNS10Mはミキサー卓のメーターパネルの上に置かれ、ニアフィールドモニターとして使用された。
主にミックスダウンに使用されるため、低域と高域を抑え、音楽の基礎的な帯域である中域が聴こえやすい小型スピーカーが望ましい。
低域に関しては小型の密閉箱と等価質量の小さな振動系であったため、300Hzぐらいから低域側にかけてレスポンスがだら下がりであった。
量感のある低音は中域を聴き取りにくくするため、NS10Mの低域特性はニアフィールドモニターとして好ましいものだった。
一方、ボブクリアマウンテンがNS10Mのツィーターをテッシュで覆ったのは有名な話である。
これはソフトドーム特有の特定帯域での鋭い指向性を緩和し、明るすぎる高音を弱めて中域を聴き取りやすくするためであった。
しかし、NS10Mの価値は、そうした帯域バランスだけではない。







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