この35mmという焦点距離、実は苦手なのである。
フィルム時代はシグマの28mm f/1.8という安いレンズを多用していた。
室内でもぶれにくく、引きができない場所でも問題なく使える。
少し前のことだがドジャーズの専属カメラマンであるジョン スーフー氏の活動を扱ったNHKの番組があり興味深く見た。
番組開始直後からスーフー氏が撮影した大谷翔平や他の選手の写真が何枚も出てくるのだが、これは28mmで撮ってるな、と思って見ていた。
そのうち機材が写され、180-600とZ9の組み合わせ、それからライカのコンデジだった。
Z9の方は、こんなレンズでも似合うんだ、カッコいいな、これなら金を出してもいいかなと思った。
そして、ライカのコンデジのレンズは案の定28mm f/1.7だった。
28mmは、人物の表情を撮ろうとするとかなり近寄って撮影することになる。
パースのせいで誇張されゆがんだ表現となるのは当然としても、カメラがぐいぐい異常に近寄ってくるので撮られる側にも変化が起こる。
その撮られる側の"おっ、なんだなんだ"という困惑と面白がる気持ちが撮る側にも伝わってなんとも楽しく愉快な写真が撮れることが多い。
しかし、プロ野球は勝負の世界だ。
その緊迫感を演出できるのも28mmだろう。
引きが少ないロッカールームや通路といった殺伐とした雰囲気の場所で、ひとり集中する選手と周囲の空間を広く引き入れることができる。
ひとりきりの空間で集中し感覚を研ぎ澄ます選手の姿を通じて内に秘めた闘志を表現できるのである。
さて、これが35mmになるとズッコケるのである。
やってみれば分かるが面白くない画角なんだ、真面目過ぎて。
かといって周りの空間を引き込むには長すぎる。
まあ、そうやって決めつけるのは良くないと、しばらく勉強させてもらうつもりで購入したのである。
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