1970年代後半から1980年代前半にかけて、JBL社の15インチウーファーは様々なタイプが発売され、百花繚乱の状態でした。
これは、当時のJBL社が業務用15インチユニットに関して混乱状態にあったということかもしれません。
D130のアルミボイスコイルを銅ボイスコイルへ、実効質量を60gから70gに増やしたウーファー版の130Aや2220が開発されますが、この系統は結局消滅します。
この系列は、アンプの出力が十分ではない時代に、高効率を優先して設計されたもの。
しかし、高出力のトランジスタアンプが出現した後は、効率が多少悪くなっても低域側の再生能力に優れたユニットにとって代わられます。
D130系はXmaxが非常に小さいため、ホーンロードをかけることが好ましいユニットでした。
ホーンロードをかければコーンの振幅幅(はば)を抑えることができるからです。
また、効率や遠達性という点からもホーンエンクロージャーは理にかなったものでした。
しかし、4520、4530、4550、4560の後継機種は現れませんでした。
理由は箱が大きすぎたからではなく、現代の基準からするとびっくりするほどの音質の悪さでした。
クレアブラザース(Clair Brothers') S4のようなシングルボックスの時代になり、積み上げタイプのPAスピーカーシステムはすたれていきます。
Clair Brothers' S4 System
1970年代後半から1980年代前半の混乱期を経てD140系のウーファーは主力ユニットとして発展してゆきます。
JBLの業務用15インチユニットの歴史を総括すると、D130の開発が第一期、D130系からD140系への進化が第二期、1990年代後半のディファレンシャルドライブのウーファーへの進化が第三期ということになります。
そして、現在のJBL社は現行ユニットの販売をやめてしまい、それらのTSデータも開示しなくなってしまいました。
滅びの序章、残念無念の第四期でございます。